中小企業のためのクラウドソーシング活用①

ものづくり経革広場の徳山です。

先日、クラウドソーシングプロデューサーになってからの初仕事である「クラウドソーシング体験会」が無事終わりました。

今回の体験会では、中小企業の方がクラウドソーシングを実際に体験しその有用性を感じていただくことで、その後の経営活動にクラウドソーシングを役立てていただきたい、という趣旨のもと行われました。体験会では参加企業へ3万円分の無料券が配られ、チラシデザインの発注(コンペ)を体験していただくというものです。

弊社では日常的にクラウドソーシングを利用しているのですが、IT系の会社なら取り入れやすいツールではあるものの、製造業という業態で取り入れる余地がどの程度あるのかは正直なところ半信半疑でした。しかし、体験会の中で行われた意見交換で「製造業ならではの使い方」について面白い意見がいくつかあったのでご紹介したいと思います。

【執筆者紹介】徳山 正康
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徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

【寄稿実績】
間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(MONOist)
精密板金企業が「Webでの引き合い」を売上につなげることができた、たった一つの理由(ビジネス+IT)
製造業のSEO対策を基礎から解説、「加工事例」が超重要なワケとは(ビジネス+IT)
製造業の「技術マーケティング」戦略、事例で読み解く自社技術の可能性を広げる方法(ビジネス+IT)
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まずはクラウドソーシングの一般的な活用法を復習しましょう

製造業ならではの使い方を考える前に、クラウドソーシングの一般的な活用法を復習してみましょう。下記はクラウドソーシング体験会の中で使用したスライド(クラウドソーシング協会作成)です。

CS活用法

上記スライドについて、順番に説明していきたいと思います。

専門職に依頼したい

今までも専門業者へ”アウトソーシング”していたような仕事をクラウドソーシングに変えることによって、大きくコストを削減できるという活用法です。クラウドソーシングの特徴である「フリーランス(個人)」へ発注できること(法人よりも個人の方が安い)、群衆を相手に発注できること(価格競争の原理が働きやすい)、を活かすことで大きくコスト削減の可能性を見出すことが可能となります。

単純作業を早く終わらせたい

中小企業の大きな経営課題となっている「人材不足」を解消する一助となる活用法です。特に事務職の方にお願いするような単純作業は大きくコスト削減できる可能性があります。また、イレギュラーな仕事(展示会のアンケート集計、年賀状の作成など)は出来るだけ変動費化したいと思いますので、必要な時に必要なリソースを調達できるクラウドソーシングは利用価値大です。

アイディアがほしい

上記2つのようなコスト削減メリットではなく、オープンイノベーション的な使い方です。中小企業内でブレーンストーミングなどを行っても参加できる人数が限られているし、同じ属性の人間同士が集まってもなかなか目新しいアイディアは生まれにくいものです。そこで群衆に向けて様々なアイディアを一気に収集できるクラウドソーシングを活用する、という活用法です。

上記を踏まえ、製造業ならではのクラウドソーシング活用法を考える

上記の一般的な活用法を踏まえた上で、製造業であればどのような活用アイディアが考えられるでしょうか?参加者の方と意見交換した結果がこちらです。

金型設計業務をクラウドソーシング

時間と労力のかかる試作金型の設計データ作成の仕事をクラウドソーシングで発注できないか、というアイディアです。もちろん自社の生産環境に合わせた最終的なデータの調整は自社内で行わなければなりませんが、繁忙期における設計業務の負担を軽減できるなら大きなメリットがあるということでした。

取引のない人にいきなり大事な仕事を任せるのは不安だという場合は、金型設計データの作成コンペを行うことで実力値を測ってみてはどうか、というアイディアも出ました。

見積り業務をクラウドソーシング

製造業の事務作業の定番である見積り業務。業種によっては月1,000枚以上の見積りを行っている会社もいらっしゃると思います。この作業は知識や営業的な勘がモノを言う作業ではありますので、なかなか外注するのは難しいと思いますが、うまく要件定義し誰でもこなすことのできる単純作業にできれば安く発注することも可能なのではないでしょうか。

繁忙期だけ作業の一部を外注できれば社長が徹夜する必要もなくなるかも知れません・・・

海外マーケティング調査をクラウドソーシング

最近海外進出を目指す中小企業が増えていますが、現地視察したり展示会に出展するのはコストが掛かりすぎる、ということで海外企業からの受注を目指した海外WEBマーケティングの依頼を受けることが増えました。

ただ、外国語サイトを作ったからと言ってなかなか見てもらえないので、海外のワーカーに現地の検索エンジンを使ってもらいDM送付企業リストを作ってもらいDMを送ることでサイトへのアクセスを増やせないか、というアイディアです。これは実際に試してみようと考えています。

 

上記はまだアイディアベースで実際に仕事を発注したものではありません。クラウドソーシングプロデューサーとして、製造業界での活用を促すべく今回の体験会参加者の皆様と共に色々なアイディアを実践していきたいと思います。

皆さまも面白いアイディアがあれば発注のお手伝いをしますので、お気軽にご連絡ください。

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徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

【寄稿実績】
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