職人コラボレーション車屋呉服店~親身に気長に挑戦する心(後編)

こんにちは、ものづくり経革広場の高野です!

前回に引き続き、車屋呉服店の新たな挑戦のインタビューの内容をお届けします。

前編はこちら

「着物を着た事がない人にも着物を楽しんでもらえる様な提案」

三代目慎太郎様:昔はたくさんあった呉服屋も、後継者問題や着物の需要減少などで数が減っていますし着物を着る方の年齢は上がり、人数は減っている様に感じます。また、ファッションに関する感覚も大きく変わってきています。今のうちから、着物を着た事がない人に着物を着ていみたいと思っていただける様な提案・品揃えをしてPRしていかなければならないと思っています。昔とは違うデザインの着物や組み合わせも、着る人が変われば受け取り方も変わります。何が正解かはわかりませんが、当店からの発信を強化していきたいと思います。

「車屋呉服店に合ったやり方をする」

ー本当に長い目で見ないといけないのですね・・・

三代目慎太郎様:Facebookもそうですね、もともとは外国人を取り込んでいきたいという思いがあったんですが。長い目ですね。東京駅や京都みたいに何もしなくても人が入る立地なら、英語で「KIMONO¥2,500」なんて書いておけばいいですけど、ここじゃそうもいかないから・・・ここにくれば丁寧に説明してくれるとか、職人芸が見れるとか、特徴がないと来てくれないです。

あと、外国の方がじゃあ¥2,500で着物買って着るのかって言ったら全然イメージ湧かないんですよね(笑)だから物を売るより、見てもらったり博物館に近しい方が、よそと差別化したり需要があるんじゃないかと思っています。ものづくりの中小企業でも同じだと思うんですよね、大手と中小が全く同じ様にやっては生き残れないですからね。

ここで今までの挑戦を紹介!

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二代目清次郎様:藍田正雄さんの染め技術を使った広幅(通常の二倍幅の反物)のものです。

製品化する前の試行錯誤の段階で、外国の方に気に入ってもらえたらタペストリーの様に額に入れて飾ったりするのもいいかなと考えているんです。でもそこでこれが10万円で売れるかとか数字を出すとまだまだ試行錯誤なんです。これは売り物じゃないから特別に落款(らっかん)があるけど、職人さんは普段着物じゃないものに落款押してくれないのでそこもまた・・・笑

大岡川紬

写真:お店の近くにある大岡川の桜の枝を煮出して染めた糸で作った真綿紬。桜は倒木の危険があり、伐採されたものを頂き制作したもの。

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こちらも大岡川の桜の木を使ってできた財布とカバン。割れなどの問題で製品化に至らなかったもの。

「変えてはいけないものと変えていくものの見極めが大切。」

ー最後に読者へメッセージをお願いします。

二代目清次郎様:お客様が時代とともに変化する中、それに合わせて変化をしつつも、当店のこだわり、お客様から認めてもらっている部分は残していく。このバランスだと思います。 

三代目慎太郎様:可能な限り新しい事に挑戦してみる事が大事だと思います。もちろんリスクを考える事は大事ですが、リスクばかり気にしていたら、何も始まらないと思います。私の好きな言葉にドラッカーの『変化はコントロールできない。できることは、その先頭に立つことだけである。』  という言葉があります。私たちを取り巻く環境が目紛しく変わる中でできるのは、いかに変化に適応するのかだと思います。もちろん、財務や人員などの問題でできること、できないことがあると思いますが、できることから始めていきればと、私自身も思っています。

 

車屋呉服店の吉原清次郎さん、吉原慎太郎さん、ありがとうございました!

お店に立つお二人には「ものづくり」と「経営者」二つの視点があり、だからこそ分かるものの考え方は胸を打たれるものばかりです。そして、伝統を未来へ継ぐ人たちだからこそ、長い目でものを考える感覚が深く根付いているのだと感じました。

 

これからの車屋呉服店様の活動と商品は要チェックです!

取材後・・・

藍田正雄さんの作品や、店内を拝見させて頂きました。(たかの興奮)

店内にはプレタ着物(仕立て上がっているすぐ着られる着物)もあり、はじめてさん~ベテランさんまで相談できるお店だと再認識!

 

車屋呉服店様HP:http://www.kurumaya.tv/

Facebook:https://www.facebook.com/kurumayagofuku

この記事の執筆者
テクノポート

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