職人コラボレーション車屋呉服店~親身に気長に挑戦する心(前編)

はじめまして、ものづくり経革広場の髙野です!

これまでも、ものづくり経革広場では挑戦する会社に取材をして参りました。その中でも私は「伝統」をテーマに物書きをして参ります。記念すべき第1回は、
合資会社  車屋呉服店様 にお伺いさせて頂きました。

P1010065

車屋呉服店様は1950 年創業横浜市南区にお店を構える呉服関連専門の呉服屋さんです。地域に根づくお店ながら職人とコラボショーションしたオリジナル商品の開発や、Facebookでの英語発信をしている活動力溢れるお店です。

本日お話を聞かせてくださったのは 二代目、吉原清次郎様(右)  三代目、吉原慎太郎様(左)です。

 

「ただの物売りじゃないんです。」

ーオリジナル商品をはじめた経緯は何だったのですか?

二代目清次郎様: 作り手もお客様も私たちも喜ぶ作品を作りたかったんです。

売る為の仕事じゃもう時代に合わない、その先をと思いました。パターンは色々ありますが、問屋さんが私たちと職人の間に入るとお客様の声を反映させるのに伝言ゲームになってしまい、伝えたいことがぼやけてしまうことがありました。作り手と直接話せるのがとても大事でした。染め師や織り師としっかりお話をして、作り手が見えていないと私たちもお客様にきちんと説明できないですしね。

ー新しい商品を製作するとき大切にされていることはどこですか?

二代目清次郎様:職人の技は残してお客様に届けることです。

織り師さんも染め師さんも職人さんなので、自分の技術に自信があります。なので、やり過ぎちゃったりしちゃうんですよね。良い物は良いんですけど、お客様に販売するものとして単価の面でも理想と違ってきてしまうことがあります。

ー芸術品の様な物では買えないし着られないですよね・・・

三代目慎太郎様:良い着物だからといって、いくらでも良いという訳には行きません。製作した以上は、お客様に着てもらわなければ、当店も新しい着物を製作できませんしね。お客様に着てもらう(購入してもらう)為には、職人や当店だけが満足するのでは無く、お客様も含めた3者がみんな満足する様な、絶妙なバランスの商品を作る事が大事だと思います。

P1010041

【写真:訪問着(文結び) 東京友禅作家 真渕貴昭 作】

二代目清次郎様:この文結びも全体のバランスを考えて配置されているんですが、じゃあ職人さんだから全面に書こうと、帯で隠れてしまう真ん中まで書いて何万と値段が上がっては困るんです。見える部分だけ重点的にやって頂ければそれだけで値段を抑えることができますよね。もちろん、オリジナル商品なのでおよそにないものを作っていかないともいけませんね。

ーコラボレートしている藍田正雄さんとはどんな方ですか?

二代目清次郎様:江戸小紋師(群馬県指定重要無形文化財保持者)で、呉服業界では珍しく技術の伝承を積極的に行っている人です。職人さんは技術を隠したがるし、今でも目で見て覚えろとかいいますし(笑)・・・。現在藍田さんの愛弟子藍田愛郎さんは30代と若いのですが、後進への技術の伝承を行っています。私たちは藍田正雄さんの技術はもちろん、それを伝えていく姿勢に惚れ込んでしまったんです。

「どういう位置づけでお客様にみてもらいたいのか」

ー車屋呉服店様の挑戦ついて教えてください。

二代目清次郎様:やはりオリジナル商品の作成ですね。昔からオリジナル商品は作っていましたが、自分のイメージ通りのものが作成できる様になったのは最近のことです。

『着物を作る』というと簡単に聞こえますが、染料の調達し染める・織る と幾つかの工程に分かれますしそれぞれ得意な職人さんが違います。これならあの人に頼もう。という人脈や、自分の希望を聞いてくれる信頼関係を築くまでにはとても時間がかかりました。それまでには当然お客様には売れない失敗作もたくさん作りました(笑)

ー人と人との関係性がものづくりに大きく影響してくるのですね・・・

三代目慎太郎様:私は今Facebookを活用した新たな顧客関係の構築に取り組んでいます。

小売業、特に百貨店にには、外商と呼ばれるいわゆる営業マンがいます。しかし当店の様な小さいお店では、外商に割く人員も今はいないので顧客とのコミュニケーションを図り、お店のファン作りのためにFacebookを始めました。

ー着物屋さんがFacebook

三代目慎太郎様:私の世代では抵抗なく使っているツールということと、気に入った写真と文章を入れればできる手軽さがあったので、始めるにはやりやすいものだと思ったからです。

ー呉服関係は漢字や難しい言葉が多い中、すごく読みやすい印象だったのですが、気をつけていらっしゃるのですか?

三代目慎太郎様:元々僕は製造業に携わっていたので、着物については初心者なんです。なので自分がその時学んだことを理解しやすいように書いています。もちろんまだまだ書きたい事、書かなきゃいけない事はたくさんあるのですがいっぺんに書く必要はないと思っています。Facebook では記事がストックされていくので、着物に興味を持ってくれた方が、参考書の様な形で当店のFacebookを見てもらえたらと思っています。その過程で、お客様に『次はあの着物が欲しい』と思ってもらえたら最高ですね。

-もともと着物関係ではなかった慎太郎さんだからこその目線で書いているから読みやすかったんですね!

今は、何かを購入する際に、すぐにお店に行かず、ネットで下調べをしてから行きますよね。特に、着物は価格も高いので、色々調べてから来店される方が多いです。なので、HPにしてもFacebookにしても、どんなお客様が見てくれているか、どんな情報を知りたいのかという事は意識して、現在更新や作成を行っています。とはいえ、顧客との関係や商品購入までのスパンなどは、業界・製品によって異なります。なので、ある程度イメージができたら『とりあえずやってみる』で良いと思います。

ー接客時間は長いと思いますが、着物を知らない方に良さを説明するのは難しくないですか?

三代目慎太郎様:そうですね、だからその人その人に合ったご提案をしていかないといけませんね。良い物良い物と無理に100万の物を売ったらそれこそ押し売りです。価値は本当にあるものだけど、満足して買われるかはお客様次第ですので。

二代目清次郎様:まずは着物に親しんでもらうところからですね。お客さんにも、これ買ったら次はこれを紹介しようと、徐々に良さをわかってもらいながら、時間をかけて少しづつ、着物を楽しんでもらえればと思います。

三代目慎太郎様:量販店で売っている着物からいきなり高級な着物を見るからびっくりしてしまうんです。洋服やスーツでも、年齢や生活の変化と共に購入するお店や価格が変わっていくのと同じように、着物も少しづつ特徴や産地のことを勉強しながら気に入ったものを揃えていく、そんな感覚をお客様とお客様で共有できればいいですよね。

 

なんだか順風満帆に見える車屋呉服店様。しかしこういった営業活動を始めたのは、呉服店特有の悩みがあるからなのでした。

(後編へ続く・・・)

車屋呉服店様HP:http://www.kurumaya.tv/

Facebook:https://www.facebook.com/kurumayagofuku

関連記事一覧