新しいものづくりのかたち~みんなで作り上げるWemake~(前編)
こんにちは、ものづくり経革広場の渡部です。
今、ブランディング研究会では、クラウドソーシングを使ってオープンイノベーションを起こそうという取り組みをおこなっています。facebookで何度か登場している岸本工業様は今、製品化に向けて、活動を続けているところです。
日本でもQuirkyの様なオープンイノベーションが
そんな中、少し前から日本でもアメリカのQuirkyの様な取り組みが行われている事をご存じでしょうか?
想像はここでかたちに Wemake https://www.wemake.jp/
Quirkyについては過去に徳山が記事を書いていますので、下記を参照してください。
Quirky(クァーキー)の成功要因と日本での可能性について考える(前編) (後編)
今年の3月に第一弾のコンセプトが発表され、多くのユーザーからの意見、改善点などが議論され、実際に今、製品化を前提に活動を続けています。私もこの活動を縁あって聞きつけ、拝見したのですが、弊社の関わったクラウドワークスを使った方法とは違った良い点もあると感じていました。
そこで、今回はその活動を主催している株式会社A(エイス)の鳫子(がんこ)様と、実際にデザイナー、クリエイターとして参加され、見事優秀賞を獲得されたコメヤデザインの山下様にお話を伺いました。
(左 株式会社A(エイス) プロダクトマネージャー 鳫子 貴之 様
右 コメヤデザイン 山下 公明 様)
あれ?右の方、どこかで見たことありませんか?実は以前に川田製作所の取材に伺ったときに、同じグループで活動していると少しだけ登場した、あの山下様です。
(参考記事)
地域とつながる町工場「出張まち工場」~身近な活動からはじまるメイカーズ~
https://keikakuhiroba-mfi.com/archives/7402
みんなで作り上げよう
プロジェクトの名前にも、その理念が反映されている様なこの活動。一体どういった仕組みなのでしょうか?
前回ブランディング研究会で取り組んだクラウドソーシングを使ったオープンイノベーションでは以下の様な流れです。
自社の技術などを説明し、アイデアを募集する
↓
それに対し、一般の方が自身で考えたアイデアを投稿する(募集期間中は他者のアイデアを見ることができない)
↓
投稿された様々なアイデアの中から、最も優秀だと判断した方に報酬を支払う
それに対し、Wemakeの仕組みは下記の通りです。
自社(自身)で考えたコンセプトや試作品を披露する
↓
それに対し、一般の方がアイデアや、改善案などを投稿し、またそれらに対して議論する(募集期間中は他者のアイデアを見ることができる)
↓
最も多くの投票獲得した最優秀賞や、優秀賞に選ばれたコンセプトが実際に製品化し、販売ができた際に関わった人にロイヤリティを支払う
(Wemakeについて詳しくは、こちらを参照してください。)
クラウドソーシングを使う手法と違う点
どちらもオープンイノベーションの手法には間違いないのですが、お話をお聞きして、私が最も違うと感じた点は以下の2つです。
1、アイデア投稿期間中に個人の考えだけではなく、他者の意見を元に更なる改善点の議論が行われる点
期間中に他者の意見を見ることで、それに対して反論や、更なる意見が飛び交う事が起こり、山下様のコンセプトも最初のモデルから最終的には違ったデザインに変更になっています。
Wemakeでの議論、改善後
コンセプト発表時
山下様・・・2年ぐらい前から試作は続けていたんです。実際にいろんな人に使ってもらって改善を重ねていたんですが、今回参加することで、更なる改善点が見つかり、また、抱えていた課題に対して議論して頂くことで、今までになかった発想も生まれました。
2、アイデアや意見を投稿してから、報酬が支払われるまでの期間が長い点
製品化して販売となると、自分のアイデアを投稿してからロイヤリティが支払われるまでに、早くても半年、長ければ数年かかることもあるかもしれません。
鳫子様・・・お金に関する関わりが少し遠い分、本当に欲しい人としての意見が議論されていると思います。アイデアの中で一番を決めるやり方ではなくて、コンセプトに対して「良くしよう」という試行錯誤が起こるので、みんなでものを作る新しい新しい物づくりのかたちになればと思っています。
次回は実際に参加された山下様から、オープンイノベーションに参加する上での心構えや、そのメリットを感じている生の声と、Wemakeを運営している鳫子様から、壮大な今後についてのお話をお届けします。