町工場発のこだわり雑貨「鯔背家」~製品ではなく商品~(後編)
こんにちは、ものづくり経革広場の渡部です。前回に引き続き、山本社長にお伺いしたお話を掲載します。前回記事はこちら「町工場発のこだわり雑貨「鯔背家」~製品ではなく商品~(前編)」
株式会社山崎製作所のスマホスタンドも販売されてます。
初めて買ってくれたお客様を見て・・・
ーさまざまな町工場の商品を取り扱っているかと思いますが、印象に残っているエピソードはありますか?
鯔背家(いなせや)オープン初日の出来事ですね。オープン初日という事もあって製造してくれた方と一緒に接客をしていたんです。とはいっても店が狭くて外にいましたが。お客様が商品を手にとって買おうかな、どうしようかな、というのを見ては共にハラハラドキドキでした。その中の一人のお客様が商品をレジに持って行って会計を済ませた時です。となり見たら、製作をしてくれた製造業の専務の方が号泣してるんです。それでも涙をこらえながら、小声で「ありがとうございます。」って店を出て帰るお客様に、見えなくなっても深々お辞儀をしている風景は今でも鮮明に覚えています。
ーユーザーが直接見えるっていうBtoCの醍醐味ですね。
通常の業務だと発注があっての仕事がほとんどだから、自社の技術を認めて、手に取って、選んで、お金を出して買って頂くという感覚が特別だったんでしょうね。私は商売上、そういう仕事をずっとしてきていますが、商人としても原点に立ち返る印象深い出来事です。
ー売れ筋の商品ってありますか?
一番売れているのはこの手鏡です。
いなせな手鏡 (980円)
ラインナップはこんなにたくさん
キズが付きにくいステンレスを鏡面加工して、裏面にはシルク印刷でいろんなデザインを印刷しています。1年目で4000枚販売して、2年目の今年は、もう前年を上回るスピードで売れています。
ーこれも山本社長の企画、立案ですか?
そうですよ。もちろんこれを作って頂いている製造業の現場に押しかけ、スタッフの方々まで巻き込んで、必ず自分も実際に製作もさせてもらいながら(笑)。鯔背家の商品は、企画、立案、製作、包装、販売まで一貫し、トタールで我々自身がやっています。といっても「商売」としてはまだまだです。これからもっと「商売」として成立させる様に、頑張らないといけないことはたくさんありますね。
「製品」ではなく「商品」として見て欲しい
ー今、様々なところで自社製品を作り出そうとしている製造業の方が出てきていますが、この活動をしていて、何か気付いた事があれば教えてください。
製造業の皆様方は本当に素晴らしい技術をたくさん持っているのだから、もっとその技術を売り込んで欲しいと思いますね。あと製作したものを「製品」ではなく、しっかりと「商品」として見て欲しい。
ー「製品」ではなく「商品」といいますと?
私が発注をして、工場に「商品」を受け取りに行くことがあるのですが、始めた当初は商品を雑多に扱われることが普通でした。商品まとめて「どさっ」と渡されたりね。製作したものが一つの「商品」として販売されるのだから、ユーザー視点に立って、製作後も一つ一つ丁寧に扱って欲しいですね。自社製品を売り出していくには「一山いくら」の気質から抜け出さないと。
観光土産に工業製品があってもいいじゃない
ワイヤーカットで製作をしたアルファベットのオブジェ
ーこれからの鯔背家について教えてください。
まだまだ商品の種類が少ないので、これからもっと種類を増やしていきたいですね。今はまだ製造業の方が作ったもの以外のいわゆる一般雑貨も販売をしているので、最終的には製造業の方が作ったものだけにしたいです。老若男女誰が来ても対応できるように。それとさっきもお話しましたけど、「商売」として成り立つ様に販売を頑張らないとと思います。
ー全国展開とかですか?
その為に今、鯔背家のECサイトを立ち上げようと準備を進めています。あとせっかく店舗を持ってやっているので、観光土産としての立ち位置を強化したいですね。いろいろ地方に特有のお土産ってあると思うんですけど、観光土産に工業製品があってもいいじゃないかと思います。それにはもっと町工場としての特徴を出して、いろんな企画を考えていきたいです。
食品会社という事業の傍ら、製造業の素晴らしい技術を広めようとしている山本社長。我々も負けずに頑張りたいと思います。
大社の杜 みしま
http://taishanomori.jp/
鯔背家
http://www.yamamotofoods.co.jp/inaseya/
鯔背家 facebookページ
https://www.facebook.com/inaseyayfoods