「現場で使う人の声を直接聞く」シェア80%!あの鏡を生んだコミ―株式会社のものづくりの原点とは
本日は埼玉県・川口市のコミ―株式会社の小宮山栄社長に、お話を伺ってきました。
会社に到着し、入口のチャイムを押そうとした時にこんな張り紙を発見…なんと!私、鈴木の名前が!!
お心遣いが素敵すぎて…とても温かい気持ちになりました!
ありがとうございました!!
コミ―株式会社様は、世界で初めてフラットなのに視野が広いミラーを開発した会社で
80%以上のシェアをとっているコンビニの気配りミラーをはじめ、エレベータ・駐車場の安全確認ミラー、ATMの後方確認ミラー、航空機の忘れ物チェックやセキュリティチェックミラー、などなどなど。
誰もが日々接している製品を作っている、とってもスゴい会社なのです。
そんなヒット商品を生み出した背景や、小宮山社長が注力されている社外活動のお話をうかがってきました!
コミ―株式会社、小宮山栄社長
―貴社がヒット商品を生み出した秘訣を教えてください。
よく、顧客満足度「CS」(カスタマー・サティスファクション)という言葉が使われますが、コミ―では「US」(ユーザー・サティスファクション)という言葉を使います。コミ―の商品が現場で役に立っているかどうかを使う人に直接聞き、結果を出すことが目的です。
うちで作った商品が役に立っているのか、立っていないなら、なぜ役に立たないものを取り付けちゃったのか。役に立っているとしたら隠しておかないで堂々と説明すればいいんじゃないか、というのがUSです。
―CS(カスタマー・サティスファクション)とUS(ユーザー・サティスファクション)って、どう違うのですか?
カスタマーにはコミ―の鏡を売ってくれるお客様、買ってくれるお客様、現場で使うお客様がいますよね。コミ―はその中でも特に現場で使う人、ユーザーの意見を大切にしています。
例えば飛行機の中につけるミラーだったら、モノ流れは、コミ―が商社を通してボーイングへ、その後さらにエアラインへ流れるわけですよ。コミ―が直接お金をもらうのは、商社からになります。そこから飛行機をつくっているお客さん、飛行機を買って商売をするエアラインに製品が渡っていきます。
そして実際に鏡を使う乗客がいますよね。乗客はエアラインにお金を払います。
この流れだと、実際に鏡を使う乗客の役に立っているのかどうかわからないんですよ。だから、現場で使うお客様から直接意見を聞くっていうのがコミ―のUSなんです
―なるほど!実際に取引をしている仲介業者ではなく、使う人に聞くってことですね。
仲介の人が偉そうに商品のことを言うわけですよ。それは違うんだよ、と。現場で使う人の意見を聞くことがうちの原点なんです。
航空機の荷物の棚についている鏡、これは誰の役に立っていると思います?
―CA(客室乗務員)さんが荷物のチェックをするときに、でしょうか…?
つくった当初の目的は、乗客に忘れ物が無いかという確認をするための目的だったんですよ。そしたらエアラインの人に、「忘れ物はないか」って、いう表示を貼れば済むんじゃないかと言われたんです。
一方で、スカンジナビア航空は爆弾チェックのために使っている、と言ったんです。
忘れもののように見せかけて、どっかに爆弾が隠れていたとなれば飛行機が墜落することもありますよね。それを防ぐために飛行機会社は、乗客を降ろしたあと全部CAが手荷物入れをチェックしないといけないんですよ。その時に鏡があると椅子に乗らなくてもできるので確認が格段に早くなったとのことで。
我々は乗客のために忘れ物がないかと作ったつもりだったけど、実際はUSを徹底してみたら爆弾チェックにも使っていた。これが1番重要な仕事だったんですよ
―思いもよらぬところで役に立っているものなんですね。USでの発見で製品を改良した例とかもあるんですか?
もちろんありますよ。駅にミラーがついていても、何のためについてるかわからないと意味が無い。自分の顔をみるためのものじゃないよ、衝突防止用のミラーですよ、ってわかることが必要。
例えばこんな感じに周りに注意表示がなければ気が付かなかったりしますよね。ミラーはつけても使ってもらわないと意味がない。周りのステッカーが大切なのです。
―ただ設置されるのでは意味がなくて「役に立っているか」というところに注力している御社の情熱をひしひしと感じます。小宮山社長は社外活動にも非常にお力を入れられているようですね。
「国際箸学会」を設立して、「箸文化を学び、新しい箸文化をつくり、箸を通じて世界中の人と共に喜ぶ」という理念のもと活動をしています。
―どんな活動をされているのですか?
箸ピーゲームという、「殻付ピーナッツを箸で1分間に何個移動できるか?」というゲームや「箸の唄」を世界に広げる活動などをしています。
―「箸の唄」って、どういうものなんですか?
名刺に歌詞が書いてあるのですが1番は日本の食への感謝を表しています。外国の食事は「ごちそうさま」と「いただきます」を言わないんです。
2番は箸の持ち方です。箸って5本指を全部使って持つもので、1本もさぼってないわけなんですよ。その正しい持ち方を紹介しています。
3番は機能です。箸2本でこれだけのことができるんです。
この歌詞は、右下に書いてあるように七五調のリズムに合うように作られています。
―すごく勉強になる歌詞ですね!ヨドバシカメラのリズムで歌うと面白いです(笑)
これを小学生に教えています。日本食はこういうことですよ、箸の持ちかたはこうやるのですよ、ということが覚えられるんです。
英訳もあるので、世界中に伝えることができます。箸というのはこんなに多様性がありますよ、とこれからどんどん発信していきます。
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そう語ってくれた小宮山社長。製品の話は熱く、国際箸学会の話はすごく楽しそうにお話してくだったのが印象的でした。
現在、コミ―株式会社の向かい側に国際箸学会の事務局ができて、新しい拠点が整ったところです。
今後どんどん拡大していく活動に目が離せません!