新ものづくり拠点 Garage Sumida(ガレージスミダ) 【後編】

皆さまこんにちは、山口遥です!

前回は今話題のGarage Sumidaさんで、新ものづくり拠点として創設されたきっかけや、取り組まれている内容についてご紹介しました。
新ものづくり拠点 Garage Sumida(ガレージスミダ)【前編】

そして、謎の「浜野会」という言葉を残して後編に突入です。

皆さま、もう少々お付き合いくださいね。

ガレージスミダのお2人
―Garage Sumidaさんの役割として浜野製作所様と連動させての“ものづくりの相談窓口”や“インキュベーション”ということはわかったのですが…いったい浜野会って何なんですか??

(野村さん)これ、一時期結構話題になったんですよ。

(小林さん)実は新聞にも載ってたよね(笑)

―えっ?!新聞にまで??

(野)浜野会というのは、個別に相談にいらっしゃるお客様が多いので、せっかくGarage Sumidaに来るなら横の繋がりも提供できたらいいんじゃないか。ということで始めた会なんです。
と言っても、浜野製作所の社長が所有しているマンションの1室をお借りしてのただの飲み会です(笑)
しかし、その場で部品を持ち寄ってアイディアを出したりする飲み会です。
IT系や部品屋さん、時には経産省の方も来たりして様々な話し合いが行われて、そこから新たなプロジェクトを立ち上げたりしていました。様々なメディアにも取り上げられましたよ。

実はもう止めちゃったんですが、また「浜野会」再開しようかとも考えています。

今まで訪れた方は、集計取れている範囲で3000人くらいです。
恐らく5000人くらいはいらっしゃっていると思います。Garage Sumidaだけでなく、浜野製作所に団体で見学にいらっしゃる地方の方とかも併せてですが。今日もいらっしゃってますよ!
実際問い合わせに繋がる確率は低いんですが、個別でしっかり目的持っていらっしゃるかたは問合せに繋がってますね。

―DMM.makeさんも似た感じのことをやってますが、何が違うんですか?

(野)完全に棲み分けている訳ではないんですが、DMMさんはBtoC向けで、うちではBtoBといったイメージです。
Garage Sumidaでは板金や鋳造など、横の連携もある中小製造業で、精度が問われるものを得意としています。墨田エリアの昔からの特徴を強く引き継いでいるんです。
もちろん一般消費者向けのガジェット系のモノもできますが。

―先日、Makuake(クラウドファンディング)に出されていましたが、どういった目的だったんですか?

(野)実は、先にも申し上げた区の補助金もあったんですが、それはあくまで立ち上げ資金で、運用資金が必要だったんです。
町工場って、そもそもクラウドファンディングはあまり使わないじゃないですか。そういった先端ITサービスを町工場がやることの面白さをあえてやってみたかったんです。
しかも“ものづくり系”ではない異色のファンドでの話題性を狙いました。
schooにも出して社長に講義をやってもらいました。

※Makuakeのページはこちら:https://www.makuake.com/project/garagesumida/

―そういったのは全部野村さんがやってらっしゃるんですか?

(野)そうですね。僕は「怪しい担当」なんで(笑)

―月に問合せから試作をやっている案件はどのくらいあるんですか?

(小)様々な経由で色んな案件がくるんですが、新規は20~30件ですね。実際にGarage Sumidaの方で動いているのは10件ほどです。
人手が足りなくて止まっちゃている案件もあるんです。今年は6人新たに採用しました。

―4月からスタートして、困った!ってことは何ですか?

(小)困ったことですか…たくさんありますよ!(笑)
内部事情ですが、やはりメンバーの入れ替わりや人員の体制の問題はありますね(苦笑)
今までのノウハウのない加工の相談案件、例えば革や木材などの案件では失敗もありました。そもそも変わった依頼しか来ないのかもですけどね…

(野)永久機関とか…

―えっ?!永久機関?!テスラコイル作るんですか?!(驚)

(小)そうです。3ヶ月に1度は来てます(笑)悠々散歩に出演したり、メディア露出が多いためでしょうかね。自称発明家の方は結構いらっしゃいますからね。

ステラコイル

テスラコイル↑

―ここなら何かやってくれそう!って思わせるものがあるんですね!

(小)加山雄三効果ですよ(笑) 大泉洋の「1×8いこうよ!」とか…
意図してやっているわけではないんですが、浜野製作所もよくメディアに取り上げられることがありますね。

(野)キッザニアや配財プロジェクトなんかも、メディアは話題にしやすいみたいです。

(小)やっぱりインターネットでの検索で問い合わせが多いですね。ま、難しいのも多いんですが(苦笑)
うちの社長とかは、「なんでも来い!」って感覚なんです(笑)うちは他社より、トータルコーディネートの能力が高いので、その違いですね。
浜野製作所の今後の課題としては、生産キャパシティ的な問題ですね。
東京でものづくりを営んでいく上では、物理的なスペースや生産能力の問題がまず最初に出てきますね。
ここ数年の課題になると思います。

(野)浜野製作所としてもGarage Sumidaとしても、新しい開発ばかりだとそこまで大きな利益にならないんですが、ノウハウはちゃんと溜まっていきます。
そのノウハウを持って新しいインキュベーションを起こしていく。
今年は千代田・台東区・墨田区、この3区を中心に“ものづくりの一大インキュベーション”をができあがっていくと考えてます。
スタートアップで話題のWHILLさんの製品も、うちで試作していただきました。
それらはとても良い事例になってますね。
そこからアメリカの一流のスタートアップからの受注を狙っていけ、世界の試作屋の一大拠点になれるポテンシャルはあると思うし、目指していきたいと思っています。

記念写真
小林さん、野村さん有難うございました!

Garage Sumidaとしても浜野製作所としても、とても大きな素晴らしい目標を持っていらっしゃり、とても良い刺激をいただきました!
世界に名前を轟かせる日も、遠くないと思わせるパワーと情熱を感じました。
まだまだ日本のものづくりは面白くなる!と確信した山口でした。

この記事の執筆者
テクノポート

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