中小製造業に必要な「ブランディング戦略」
こんにちは、株式会社日本クロス圧延の岡です。
このブログは中小製造業の海外進出のノウハウを発信します。
私も経験しましたが「海外に進出するぞ!」と気合を入れて海外の展示会に出展しても、思ったより成果がなくガッカリした経験がありませんか?
だけどお客様との最初の接点である展示ポスターとプロモーションの方法しだいで反響が全く違うものになります。
海外のお客さまのハートを「キャッチ」するノウハウを一緒に考えていきましょう。
今回も「ブランディング」というテーマで考えていきます。
ブランド戦略っていうと最終製品を製造している会社にしか必要ないと思うかもしれません。しかし視点を変えることで、中間製品や製造技術などもブランディングすることが可能です。
そしてブランディングすることで、びっくりするくらいスムーズに海外展開できるようになります。とても重要なことなので、これから数回にわたって考えていきますので、どうぞお付き合いください。
よく見ると、あらゆるものがブランディングされています。
前回のコラムで、名前とロゴマークだけのブランドで失敗した話をしましたが、それから他の製品のブランディングってどうなってるのだろうか?
と、いろいろな製品のブランディングに興味がわいてきました。そして気にするようになると、いろいろ見えてきました。
ブランドっていうと高級ブランドが、パッと思い浮かびますが、安売りのブランドだってあります、それにファッション、食品、工具、メディカル、健康、ホビーなどなど、世の中にはありとあらゆるものがブランディングされていますね。
どんな製品にも、かならず商品名とブランド名があることに気づくと思います、場合によっては製造会社名が小さくて、ブランド名のほうが目立っているなんてこともありますよね。製造している会社名より、ブランドイメージのほうが販売しやすいってことなのでしょうね。
こんなのは「うーん」って思います。
安価な商品なのに、高級なブランドイメージをしていたり、実態と乖離しているブランディングもありました、しかし歴史のあるブランドは、製品の立ち位置とブランドイメージがキッチリとマッチしていて、さすがだな~なんて思ったりします。
そして重要な事に気づきました。
世の中の製品でブランディングされているものって、最終製品ばかりなのです。
弊社もそうですが、中小製造業って中間の製品ばかりで、最終製品を製造販売している会社ってホント少なく、それゆえ中間製品でブランディングができている例ってほとんど見当たらないのです。
中間製品のブランディングという、取り組むべき課題の難しさに直面しました。
食品、ファッション、ホビーなど、いわゆるBtoCのブランディングのほうが進んでいるということなのでしょうね。
新ブランド:R&D Materials
金属材料メーカーゆえ同じ材料を製造している会社は数多くあります、そして金属材料なんて原始的過ぎて、規格内であれば機能性や品質での優位性なんて全くないのです。
だから今一度弊社の製品や顧客について何度も自問自答をしました。
弊社の製品は◯◯◯が購入する。
弊社の製品は◯◯◯に利用される。
弊社の製品のメリットは◯◯◯
弊社の製品の売価は◯◯◯
弊社の製品の強みは◯◯◯
弊社の製品の弱みは◯◯◯
ブレインストーミングの幼稚版です(笑)
顧客リストの客層を再度検証していると、あれっ?と気づきました。
大学やメーカーのR&Dセクションからの取引の件数が結構多かったのです、弊社は小規模な材料メーカーなので小ロットでも受注していたからです。だけど儲けにならない小ロットの安い仕事なので重要視していませんでした。
しかし、研究開発向けに少ないロットでの製造ができることって、他の材料メーカーにはできない弊社の強みなのでは?と考えこれを「ブランディング」しようと決めました。
そしてできたのが、 新ブランド:R&D Materials
We produce small lots of products for research and development.
直球です!!「研究開発用材料」ということで、ブランド名を見ただけで、このメーカーは、「研究開発向けの少ロットの材料を製造している」ということがわかるようにしました。
R&D Materialsは海外の大学、研究所をメインに現在も継続して普及活動をしています。
研究開発向けと分野を絞ったことで、多くの国の研究開発や試作の関係者から引き合いが来るようになりました。国内のマーケットだけでは、「儲けにならない小ロットの安い仕事」でしたが、海外展開と合わせることで、受注件数が増え事業として成り立つようになりました。
さいごに
中小製造業って、同じような業種の会社が数多くあると思いますが、その中から「選択」してもらえるようになることが大切で、じゃあ「何」をもって選択しているか?を考えることが重要です。
R&D Materialsは、R&D向けの材料を探している人から、「選択」してくれますが、逆にそれ以外のユーザーからは「選択」してもらえません。
ブランディングって、ある種のフィルタリングのような感じがしますね、尖っているからこそ、「選択」されますがそれゆえに、除外もされることもあるのです。
ブランディングは奥が深いですねえ
R&D Materialsブランドは、弊社のブランディング戦略の布石なのです。
もう1歩海外展開を前進させるための戦略が隠されています。
次回はその戦略を説明いたします。
前にも言いましたが、戦略なくして海外展開はできないのです。
今週もお付き合いありがとうございました、次回もブランディングと戦略について考えていきましょう!
日本の中小製造業の海外販路開拓に少しでもお役に立てればと思いブログを書かせていただきました。何かの参考になれば幸いです。
次回もまたよろしくお願いいたします。