MFTフレームワーク活用による技術マーケティングの進め方

今回は製造業が技術マーケティングを行う上で役立つ「MFTフレームワーク」をご紹介します。このフレームワークは、どちらかというと装置や機械など最終製品を作っているメーカーの方が活用するケースが多いですが、技術の用途拡大を検討する際にも使えるフレームワークです。

【執筆者紹介】徳山 正康
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徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

【寄稿実績】
間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(MONOist)
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MFTフレームワークとは

MFTとは、Market(市場)、Function(機能)、Technology(技術)の略で、市場と技術の間にある機能に着目することで、技術の活用が可能な市場を幅広く検討できるフレームワークのことを示します。PRしたいと考えている技術をどの市場へ売り込もうかと考えるときに、いきなりターゲットとなりそうな市場を考えようとすると、どうしても視野が狭くなってしまいます。

そこで、技術と市場の間に「機能」を挟みます。これによって、技術の活用が可能な市場を幅広く検討できるようになります。このフレームワークを使うことで、ターゲットとする市場を幅広く効率的に見つけ出すことができるのです。

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MFTフレームワークの使い方

例として、摩擦・せん断力の測定ができるセンサー技術で考えてみましょう。

まずは、摩擦・せん断力センサーが持つ機能や効能を考えていきます。当技術にはさまざまな機能がありますが、ここでは「摩擦分布の測定ができること」と「ワーク間の滑りを見える化できること」に焦点を当てます。

次に、洗い出した機能から想定される市場を考えていきます。例えば、摩擦分布の測定であれば、タイヤと地面の摩擦測定に使うことで「滑りにくい自動車タイヤの開発」につながるのではないか、という利用用途が思いつきます。

また、ワーク間の滑りを見える化する、という機能に着目すれば「ロボットハンドの把持制御」や「義足のフィッティング」に使えるのではないか、という仮説も生まれるでしょう。

MFTフレームワーク

MFTフレームワークの結果を技術マーケティングに活かす

次のSTEPとして、MFTフレームワークで整理した情報をどのように技術マーケティングに活かすかを解説します。

弊社では、技術マーケティングの目的を「保有技術を、既に使用されている領域ではなく、新しい領域へ用途展開することで、競合企業をリードし、技術探索者であるメーカーに技術を高く買ってもらうこと」だと考えています。

それを実現するためには、さまざまな分野の技術者に技術を知ってもらう必要があります。その手法として最適なのがWebマーケティングなのです。Webマーケティングであれば、売り込み先を探し出してアプローチする必要もありません。顧客のほうから技術の利用用途を見出し連絡をくれるため、非常に効率的だといえるでしょう。

具体的には、自社のWebサイト上に技術に関わるさまざまな情報を掲載し、SEO対策やWeb広告などを使って露出を高めていきます。ただし、技術情報が競合他社にも知られてしまうので、どの程度詳細な情報を出すかの加減には注意が必要です。

MFTフレームワークで整理した情報をWebコンテンツ化する

MFTフレームワークで整理した情報をそれぞれWebコンテンツ化することで、さまざまな分野の技術者がWebサイトを訪問してくれる可能性を高めることができます。

技術者がWebを使い技術探索する場合、どのようなキーワードを使って検索するのでしょうか。技術者の立場によって使用する検索キーワードは大きく変わり、MFTの観点からもさまざまな見解を持つことができます。

MFTフレームワーク

例えば、技術(Technology)視点で技術探索する技術者は、該当技術に詳しい技術者が探すケースが多い傾向があります。また、機能(Function)視点で技術探索する技術者は、製品開発の途中で発生した技術課題の解決に向けて情報収集しているケースが多いといえます。そして、市場(Market)視点で技術探索する技術者は、持っていない技術を自社で開発せず、開発済みの技術をそのまま取り入れようとするケースが多い傾向にあります。

以上のように、何で困っている技術者をターゲットにしたいかによって、MFTのどの情報を多く打ち出していけばよいかを考えられます。掲載するコンテンツとしては、MTFのどの視点で探索するかによって異なりますが、具体的には下記のようなコンテンツが考えられます。

  • M視点で技術探索している技術者向け:具体的にどのような用途に使える可能性があるのか、その用途の市場性はどの程度あるのか、といった情報をコラム形式で掲載する
  • F視点の技術者向け:どのような技術課題を解決できる技術なのか、他技術と比べどのような機能的優位性があるのか、といった点をまとめて掲載する
  • T視点の技術者向け:技術の製法に関するノウハウやスペック情報をなるべく多く掲載する

さまざまな部署を巻き込んで実施しよう

このフレームワークを使う際は、営業部や技術部など、さまざまな事業部を巻き込んでのブレーンストーミング形式で行うと良いでしょう。

営業部であればMarket(市場)寄りの情報を持っていますし、技術部であればTechnology(技術)寄りの情報を持っているものです。

特定の事業部だけで考えると、アイデア創出に限界が出てしまいます。情報がなるべく偏らないように各部署のメンバーに参加してもらい、全社の知恵を結集することで、多様性あるアイデア創出につながります。

以上、MFTフレームワークを使い、技術マーケティングを推進する手法について解説しました。技術マーケティングに取り組まれている方にとって役に立つ情報になれば幸いです。

また、Webマーケティングに関する手法をまとめた記事Webサイト制作時における企画手法をまとめた記事もございますので、こちらもご参照ください。

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徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

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