海外展示会潜入レポート【台湾偏】

初めまして、株式会社日本クロス圧延の岡と申します。

中小製造業の海外進出の手段のひとつ「海外展示会」というテーマでコラムを書かせて頂きます。

 

海外展示会に挑戦するきっかけ

簡単に弊社の説明をしますと、弊社は主に電子部品に使用されるニッケル合金などの金属材料を製造するメーカーです。

材料メーカーと言っても、以前はお客様であるプレスメーカーや電子部品メーカーから素材を支給され、注文のサイズに加工して納入する、いわゆる下請けメーカーでしたが、海外展開がきっかけとなって、自社製品や、ブランディングということを考えるようになり、今では「R&D Materials」という自社ブランドで現在も海外展開を進めています。

さて、私が海外の展示会に関心を持つようになったのは、2007年ごろから電子部品の生産拠点が、国内から台湾、韓国などの海外へ移転が進んできました頃です。

それによって注文も少しずつ減少していきました。 そのころから今の下請け工場としてのやり方ではダメだ、得意先だっていつかは海外生産に切り替えるにきまっている、そうなれば一気に仕事は少なくなってしまう。

「早く脱却しないと」といつも危機感を感じていました。

 

台湾の展示会で受けた衝撃

そんなある日、「海外に仕事が取られているのだから、一度海外の展示会を見学しにいけば色々わかるかもしれない」という考えが頭に浮かび、とくに商談とかの目的が無いまま、初めて海外の展示会(台湾のセミコン)の見学に出発しました。

完成したばかりでピカピカの台湾国際展示場の中に入ると、衝撃を受けました。

なにしろ勢いが違います。南国だからではなく全てにおいて熱いのです。

冷やかしで部品メーカーが展示している、何に使うのかよくわからない部品を眺めていると、すぐに営業されます、そしてその場でロットあたりの単価を教えてくれます。

周りを見れば工業製品なのに市場で買い物するかのごとく、当たり前のように価格の交渉をしているのをよく目にします。

その光景を見ていると「日本は、のんびりしてるなあ」と考えてしまいました。

初めての台湾での展示会見学で感じたのは、彼らはパワフルでガッツがあって、躊躇や物怖じせず、いつも強気です。

こいつらと競争して勝てるのか?と思ったほどです(笑) 考えてみれば、日本国内の製造業は国内のマーケットが大きいため、海外に売らなくとも国内取引だけでやっていけましたが、台湾や韓国などの企業は、国内のマーケットが小さいので、昔から海外に向けて積極的に売りこんでいました。

だから日本の企業に比べると海外へ販売するノウハウははるかに進んでいるだろうということを実感しました。

 

海外展示会への挑戦

というわけで海外展示会の「熱さ」を体験したとことから、私の海外展示会への取り組みが始まりました。

私も「熱さ」を貰ったみたいで「やるぞ!」とワクワクしてきました。

そしてSIIの工業版電子辞書を片手に展示用ポスターを作り始めました。

現在でもそうですが、展示ポスターやカタログはすべて自分でデザインしています。

そして同じポスターは2度使いません、結果が出なくても展示会が終わる頃には「次回はこうしよう」と新たなプランをたて、ポスターを改善すると、また新たに「次こそは!」と決意が湧いてきます。

後日コラムで記載しますが、それから3年ほどは試行錯誤と苦悩、失敗の連続でした。 そして初めて海外から注文をもらった時は、なんとも言えない達成感で最高の気分でした。

大した金額ではなかったのですが、仕事を受注したことがこんなに嬉しかったことって初めてかもしれません。

最後に、このコラムの連載を通して、町工場でも海外展開をすることは不可能じゃないということを知ってもらい、また海外への展開を考えている方たちへの情報として少しでもお役に立てればとても嬉しいです。

この記事の執筆者
岡 正俊

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