繊維産業にも国内回帰の兆し?

皆さん、こんにちは!山口遥です(^^)

東京では、桜も散り、暖かい日が続いてますね!

 

そんな前向きな気分になってくる季節に、前向きなニュースを見つけました!

旭化成さんでは、国内工場にて新規投資をするそうです。

空洞化が進んでいる国内の繊維業界。

新たな風は生まれるのでしょうか?

 

「日本の近代化を支えた繊維産業」

小学校で習った“富岡製糸場”は、皆さん覚えていますか?

明治初期に明治政府の近代化のための政策として、設立されました。

1987年に、その役目を終えるまでは日本の近代化の先駆けとして活躍していました。

 

富岡製糸場は、貿易による外貨獲得を目指し、生糸の生産をしていました。

当時では珍しい、フランス人技師を指導に迎えたそうです。

フランスの思惑としては、

“日本を安価で大量な優秀生糸輸出国に発展させることが,フランス絹織物業界に大きな利益をもたらす”

と考えていたようです。

現在の日本と東南アジアのような関係ですね…

 

日本の製糸業は、その後最盛期を迎えますが、

戦後に急速に衰退していきます。

 

 

「日本繊維産業の衰退」

 

日本の繊維産業の衰退は急ピッチに自動化が進み、

コスト高などにより国際価格競争力が低下したことによります。

 

今、皆さんが着ている服はドコ製ですか?

 

ちなみに、私のTシャツはmade in Chinaでした(^_^;)

 

皆さんもご存じの通り、今現在日本に出回っている衣類はほとんどが中国やベトナムといったアジア諸国で作られたものです。

もはや、made in Japanの洋服を見ることなんてなかなかないだろう…

と、思ってましたが、冒頭に触れたように国内で繊維業への増資の動きがあるようです。

 

 

「40年ぶりの国内投資!!」

 

旭化成の延岡工場では、今年の4月に導入した化学繊維“ベンベルグ”の

糸生産設備を新しく導入しました。

さらに、新設備導入に合わせての新建屋の建設で、設備投資は30数億円だそうです。

 

化学繊維の世界生産に占めるシェアは、

中国が7割を超えているのに対し、日本は1~2%程度です。

旭化成も、これまでにアクリル繊維やポリエステル長繊維の生産からは撤退しています。

なぜ、これほどまで国内の空洞化が顕著な繊維産業において国内投資が可能だったのでしょうか…

 

それの秘密が“ベンベルグ”の特異性にあったと言います。

ドイツのベンベルグ社が1856年に開発に成功した“再生繊維”で、

その後、旭化成が日本での事業展開に関するライセンスを取得しました。

 

銅とアンモニウムを混ぜる前工程は高度な調整技術が必要な上に、

糸に加工した後の回収作業に手間がかかり、製造方法自体が他の繊維に比べて厄介とのことです。

しかし、旭化成は99%以上の銅を回収し、アンモニアを極限まで希釈化する独自技術を持っています。

 

さらに、ベンベルグ社が再選巣を発行した他の繊維メーカーは全て撤退しました。

その原因は工場周辺の環境問題だったようです。

旭化成は独自の環境対策で乗り切りました。

 

また、国内投資の理由には、

現在稼働している日本の工場と同スペックの工場を海外に立ち上げたところで、

イニシャルコストが掛かりすぎるためだそうです。

 

 

ベンベルグの需要も、時代と共に変わってきます。

 

戦後は、シルクのような肌触りを活かし女性用下着向けに、

その後は、スーツやスカートの裏地

そして、現在は民族衣装が売上高の3分の1を占めていると言います。

 

それぞれの時代のニーズを的確に捉え、実行してきた先見性を感じました。

現在の民族衣装に至っては、市場は海外だそうです!

特に、パキスタン、インド、アフガニスタンの民族衣装では人気を博しているようです。

 

旭化成の繊維事業の売上高は上方修正されたとのことです。

 

 

機械加工の製造業よりも顕著に空洞化が進んでいた繊維業界ですが、

今回の国内投資が製造業界全体に、良い流れを持って来てくれることを期待して止まないですね!

この記事の執筆者
テクノポート

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