海外進出をスモールスタートする方法をまとめてみました

中小企業にも海外進出の必要性が迫られていますが、海外進出できるほど資金的に余裕のある企業も少ないと思います。

そこで現地に生産拠点を設けずに、海外進出を果す方法(スモールスタート)を勧める専門家も増えてきているようなので、下記に海外進出スモールスタートの方法をまとめてみました。

 

・海外言語サイトで海外メーカーからの引き合いを狙う

自社サイトに海外言語ページを作成し、海外検索エンジンで検索上位に引っ掛かるよう対策を施します(国によって使われている検索エンジンのシェアが異なるのでご注意を)。

例として、私の知合いが海外SEOのサービスを提供し、海外との取引を多く獲得した大阪のゼロムさんをご紹介します。ゼロムさんは業種的にも海外言語サイトでの展開が非常に向いている会社と言えます。

http://www.metalstampingxerom.com/

また、自社サイトでコストがかかりすぎる場合は、NCネットワークのような受発注サイトを利用するのも効率的です(下記は大阪の中田製作所さんの例)。実際に韓国メーカーからの引合獲得に成功しているそうです。

http://en.nc-net.or.jp/company/66404/

この方法は業種によっては実現性が低くなってしまいますが、それほどの費用を掛けず進出が可能となる方法です。その代わり、自社に海外言語対応できるスタッフの配置が必須となるのと、海外業者との新規取引によるリスクは拭いきれないのがデメリットです。

 

・レンタル工場の活用

初期投資を掛けずに自社工場と設備を持つ方法として、レンタル工場があります。現地へ派遣する工場長と、その国で働くワーカーが確保できればランニング費用のみで進出することが可能です。

以下にジェトロが作成した東南アジアのレンタル工場事情に関しての資料としてまとめてありますので、こちらも是非ご覧下さい。

http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000837/asia_rental_factory.pdf

 

・商社や代理店(エージェント)と組む

もっとも一般的な方法ですが、商社の場合、自社製品・技術を認めてもらう必要がありますし、代理店の場合でも信頼出来るパートナーがいる場合でないと難しいかと思います。

また、中間マージンの発生により利幅が小さくなってしまうのが難点です。

 

・NPO法人を使う

あまり知られていない方法として、NPO法人を使う手もあるようです。商社や代理店と違い、中小企業にとっても現実的な費用で海外のスモールスタートを支援してくれる可能性があります。

下記はABICという実績のあるNPO法人です。

http://www.abic.or.jp/

 

・海外に工場を持つ会社と組む

海外に工場を所有している会社と組み、協力工場として利用させていただくことにより、コスト競争力を身に付ける方法です。

この方法だと、海外に生産拠点として利用できる協力工場を設けるイメージなので、上述した海外言語サイトの開設と併せて実施すると良いかも知れません。

私のお知り合いの岐阜精器工業さん(東京都大田区)は上記のような考えを持ったパートナーと積極的に組んでいきたいと考えているそうです。

http://gifu-seiki.flips.jp/

 

数え上げればキリがないほど、様々な手法が存在します。スモールスタートなので、リスクな少ない分、リターンも少ないですが、進出先としてどの国が一番適しているかを調べるためのテストマーケティング的な役割も考慮して考えた方がベターかと思います。

様々な手法のメリット・デメリットを比較検討して、自社に合った手法で海外進出を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

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