中小企業のブランディング ~番外編:ブランディング研究会立上げ~
製造業経革広場の徳山です。
3回連続で中小企業のブランディングについて書いてきましたが、Webマーケティング上の理論だけでなく、もっと経営そのものに役立つ実践的な手法が生み出せないかと思うようになりました。
そのために、今年は中小製造業のブランディングに関する研究会を立ち上げようと考えています。
年末年始に事前知識をつけるためにブランディングに関する書籍を数冊読みましたが、中小企業が直ぐに取り込めるような内容をカバーしているものはありませんでした。しかし、せっかく得た知識がありますので、その内容をまとめてみたいと思います。
今までBtoB取引を行う企業にとって「ブランド」という考えそのものが不必要だと考えられてきたように思います。
何故なら、BtoBの取引は経済合理性のもとで購買が行われるので、ブランドのような感覚的な価値で購買が行われることが無いと考えられてきたからです。
また、長期的な取引関係が前提となるBtoB取引は新規顧客開拓の必要性が少ないので、ブランドを築く必要性自体が少なかったのが以前までの状況ではないでしょうか。
しかし、市場の成熟化に伴う製品のコモディティ化や海外生産の増加に伴う国内需要の低下から新規顧客開拓の必要性が増し、BtoB取引を行う会社でもブランディングが必要になってきました。
長らくサプライヤーがブランドを活用し業績を急上昇させる事例もありませんでしたが、インテルのようにサプライヤーでありながらブランディング戦略の成功により、セットメーカーよりも大きな利益を挙げる例が出てきました。
サプライヤーと言っても、インテルは巨大企業です。まだまだインテルのような大企業の例が多く中小企業の例が殆ど無いのが現状かと思います。年末年始にいくつか書籍を読んでみたところ、やはり中小企業での活用法に関して理論化されているものが少なかったのですが、逆に研究対象としてとても面白いのではないかと思うようになりました。
一般的なブランディングプロセスは下記の流れになります。
1、ブランディングする技術・製品を選ぶ
2、ブランド戦略(ターゲットの選定やパッケージ化など)を策定する
3、ブランドコミュニケーションの施策準備(コンセプトやロゴなどの作成)
4、ブランドの告知
このプロセス通りにブランディングを進めるに当り、中小企業にとって難しいと思われるポイントがいくつかありました。
一つ目はブランディングする技術や製品の選定です。
大手企業と違い、中小企業では常に技術や特許のトレンドを追っている訳ではありません。そのため、自社で所有している技術がどれほどのレベルのものかが分からない事が多いと思います。
また、取り組んでいる内容に限りがあるため、そもそもブランディングすることができない技術しか取り扱っていない会社もいらっしゃるかと思います。その場合、ブランディングを行うための土俵にすら上がることができない事を意味し、その時点で諦めざるを得ません。
二つ目は技術のパッケージ化です。
普段、受注生産を行っていることが多い中小企業にとって、技術や製品のパッケージ化を行うことは初めての経験となる企業も多いはずです。
そもそも、パッケージ化とは何を行うことを指すのか?三省堂の大辞林によると「商品としてひとまとまりにセットしたもの」とあります。
旅行のパッケージ商品をイメージすると分かりやすいでしょうか。旅券、ホテル、食事などをひとまとめにし、値付けをした上で販売を行う。パッケージ化ではこれと同じ事を行う事になります。
ここでも業態や取引形態によって、パッケージ化が困難な場合もあるかと思います。しかし、パッケージ化ができないということはブランディングを行うための対象となる商品化ができないということになるので、その場合はまたもやブランディングを諦めざるを得ない事となります。
以上、色々と調べる中で中小製造業がブランディングに取り組む上で解決しなければならない課題がいくつか明らかになりました。いくつかの企業様に研究会のお誘いをしたところ、前のめりで賛同して頂ける方ばかりでした。
研究会では成功事例のケースを分析したり、これから実際にブランディングに取組む企業の支援を行う中で、中小企業のブランディング推進の正攻法を見出していきたいと思います。
研究会での取組みはブログを通じて発信していきたいと思いますので、楽しみにしていて下さい!
製造業経革広場 徳山