海外SEO対策の本質(ポイント、便利ツール、進め方、事例)

テクノポート株式会社の稲垣です。
製造業企業様向けの「海外Webマーケティング」サービスの責任者を務めています。

この記事では「海外SEO」について、私が持てるノウハウを余すことなく公開しています。

 

【執筆者紹介】稲垣 達也
この記事の執筆者
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稲垣 達也
【経歴】
テクノポート株式会社「海外Webマーケティング」サービスの責任者
名古屋工業大学大学院 電気機械工学専攻 博士前期課程卒業
同大学 機械工学科卒業

【保有資格】
TOEIC L&R:990/990、英検一級:合格、TOEFL iBT:108/120
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この記事の目次

海外SEO対策の基礎

「海外SEO対策」とは?

この記事では「海外SEO対策」を「外国語サイトに施すSEO対策」であると定義して話を進めます。

丁寧に言い換えると「海外で検索が行われた際、自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させるための施策」と言えます。なおこの記事では2022年4月現在、世界の検索エンジンのシェア約92%のGoogleでの英語のSEO対策を解説しています。

参照

Search Engine Market Share Worldwide | Statcounter Global Stats

海外SEO対策のポイント4選

本題の「海外SEO対策のポイント」を4つ解説します。

ポイント1. キーワードの選び方

外国語のキーワード選定の方法は、基本的には言語の違い以外に日本語のそれと大きな違いはありません。ただ外国語のキーワードは日本語話者にとってはなじみのないことが多いため、海外のユーザー、競合他社がどんなキーワードを使っているのかを徹底的に調査する必要があります。

私が普段、英語のSEO対策においてキーワード選定を行う際に意識していることをまとめます。

1-1. 海外の英語圏の同業他社が使用しているキーワードを調査する

英語圏の企業が使っている製品・サービスの呼び名は正しいであろう、という仮定のもと海外企業のWebサイト(特に英語圏の企業)を重点的に調べ、彼らがサイト上で使用しているキーワードをリストアップします。

リストアップしたキーワードの中から「月間平均検索ボリュームが大きい」かつ「自社の製品・サービスを正確に表すもの」をSEO対策するキーワードとして選定します。特に英語は類語が多いため、日本語では一つの呼び名しかないものに、複数の呼び名が当てられていることもあるので、注意が必要です。

細かな外国語キーワードのニュアンスがわからない場合は、Googleの画像検索をすることで、キーワードがイメージ通りのニュアンスを持っているかを確認できる場合もあります。

1-2. 問合せに使用されているキーワードを使用する

外国語サイトに問合せが既に来ている場合、問合せの文章に使用されているキーワードをSEO対策のキーワード候補として検討することも重要です。

特に、こちらが意図したキーワードとは別のキーワードを使用したお問合せが来た場合は、両方のキーワードの月間平均検索ボリューム、海外のGoogleでの検索結果をよく調べ、お客さまが使用しているキーワードに合わせた方が良いのかを検討する必要があります。

実際に弊社が海外Webマーケティングを支援させていただいている企業様でも、同様の状況になったことがあります。

1-3. 海外の競合サイトは専用のツールを使用して調べる

キーワード選定を行う際に海外の競合サイトが使用しているキーワードを調べる必要があります。海外の競合サイトを探す際に一つ注意することは、検索結果の表示の仕方です。というのは、Googleは検索者が使用するGoogleの言語と位置情報によって検索結果の表示を変えるためです。

例えば、同じアメリカのGoogleを使用して検索を行ったとしても、日本から検索を行った場合とアメリカで検索を行った場合では、検索結果が変わります。そのためアメリカの検索結果を調べるためには、専用のツールを用いて仮想的にアメリカから検索を行う必要が生じます。(詳しくは記事の後半「海外SEO対策に使えるツール」で紹介しています)

これは細かいテクニック的な話ですが、キーワード選定の精度を上げるためにも意識しておくべきことだと思います。

ポイント2. コンテンツの作り方

外国語コンテンツ(記事の中身)を作る上で最も重要なのは、文章の質です。まず、外国語話者が読んで誤解を与えない文章(意味が一意に取れる文章)を掲載することが最低限必要です。これができていない場合、誤解を与え、トラブルに発展するおそれがあるためです。

そのほかで私が普段意識していることを以下にまとめます。

2-1. 翻訳はわかりやすさを最優先する

翻訳は、何よりも「わかりやすさ」を最優先させましょう。理由は、英語サイトはネイティブだけでなく、非ネイティブも閲覧する可能性があるからです。

英語を第二言語として使用するユーザーにとって、長文の英語を読んで意味を正確に理解することは大変な作業です。したがって、彼らにも意味が伝わりやすいように、以下のような工夫をすることをおすすめします。

  • 箇条書きを使用する
  • 図・表を使う
  • 長文は短く区切る
  • シンプルな文法・単語を使う

私たち日本人が、英語の文章を読み際にも同じことが言えると思います。読み手側の気持ちを考慮し、ネイティブにも非ネイティブに伝わりやすい英語文章の作成を心がけましょう。

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Webサイト上での日英翻訳の注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

機械翻訳の翻訳精度と使用上の注意点は、以下の記事で解説しています。

2-2. 英語文章の作成パターン

一般に、英語記事を新規で作成する場合、以下2つのパターンが考えられます。

  • 日本語の文章を作成し、その文章を翻訳する
  • 英語で文章をゼロから作成する

私は英語文章する場合、海外の記事執筆サービスを利用する方法が良いと考えます。理由は、かかる工数に対して得られる成果物の質が高いためです。

前者の場合、「翻訳」という工程が加わる分、工数がかかるのは明らかです。加えて、記事の品質を担保するためには、文章の構成、文章の正確性という確認項目に加え、翻訳の正確性も確認する必要が生じます。また翻訳という形態をとる以上、あくまで日本語の表現を英語化した文章になります。すなわち、ネイティブが実際に書くような文章にはなり得ません。

一方、後者の場合、工数が少なくより自然な英語の文章が仕上がり、かつ翻訳確認も不要であるため、メリットが大きいと言えます。デメリットを挙げると、社内で英語文章を確認することが難しい場合、記事の品質担保(文章の構成、文章の正確性の確認)が難しくなります。

弊社では、基本的に後者の方法をおすすめし、英語での文章確認が難しい場合は、前者の方法を取り入れています。

ポイント3. サーバーの選び方

海外SEOを行う場合、サーバーの選び方も上位表示を狙うために重要な項目の一つになります。

特に重要なことは「特定の国と地域で速い速度で表示させたいのか?」それとも「世界中どこからアクセスされても速い速度で表示させたいのか?」ということです。

前者の場合は、対象の国、地域からアクセスされた際に早く表示されるサーバー(例:現地にサーバーを有する会社)と契約することが効果的な対策になります。

一方、後者の場合は、弊社ではクラウドサーバーの一つである「AWS(Amazon Web Services)」使用を推奨しています。AWSとは、ショッピングサイトで有名なAmazonが提供しているクラウド型のWebサービスです。

このサーバーを使用するメリットは「CDN(Content Delivery Network)」と呼ばれる世界中に張り巡らされたネットワーク回線を利用して、世界中のどの地域からアクセスされても高速でWebサイトを表示できる点です。(詳しくはこちら

またAmazonが管理していることもあり、セキュリティのレベルも担保されているため安心して利用できます。

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サーバーの設置位置が外国語サイトの表示速度に与える影響は、以下の記事で解説しています。

ポイント4. ドメインの選び方

外国語サイトでSEO対策を行う場合、ドメインは大きな意味を持ちます。

まず大前提として、国内企業向けドメイン.co.jp」の配下に外国語サイトを格納している場合、海外SEO対策ではかなり不利になります。これは海外のGoogleで検索が行われた際「.co.jp」ドメインのサイトは検索結果に表示されづらくなることが大きな理由です。

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外国語サイトのドメインの選び方は、以下の記事で解説しています

では「.co.jp」以外のドメインを使用するとして、考えられるのは以下の4パターンです。

4-1. 全世界用ドメイン

全世界向けドメインを日本語サイトとは別に取得する方法です。

例えば、日本語サイトが国内企業向けドメイン「.co.jp」を使用している場合、外国語サイトでは地域性を持たないジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)である「.com」や「.net」を使用するという方法です。

こちらの方法を採用することで、世界中のどの国と地域から検索された場合でも、検索結果の上位に表示される可能性を高めることができます。(検索者が使用している言語がWebサイトの言語と一致していることが前提です)

一方で、日本語サイトとは別でドメインを取得するための費用が発生します。(年額 1,000〜1,500円程度)

※Googleサーチコンソールの「インターナショナルターゲティング」という機能を使うと、サイトがジェネリックトップレベルドメイン(.com や .org など)を使用している場合でも、どの国を重要視しているかの判断材料となる情報をGoogleに提供することができます。

4-2. 国別専用ドメイン

特定の国と地域で上位表示を狙う場合に有効な手法です。

例えば、韓国語のWebサイトを作成し、ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)と呼ばれる韓国企業が使用できるドメイン「.co.kr」を利用するというイメージです。こうすることで、韓国で検索が行われた際に検索結果の上位に表示されやすくなります。(国別コードトップレベルドメイン一覧はこちら

こちらも先のジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)を取得する場合と同様に、ドメインの取得費用が日本語サイトとは別に発生します。また、こちらのccTLDは現地に法人がないと取得できない場合もあるため、取得自体が難しいケースもあります。

4-3. サブドメイン

同じ内容のWebサイトを多言語で運営する場合に適した方法です。

例えば、「en.xxxx.com」は英語サイト、「cn.xxxx.com」は中国語サイト、「de.xxxx.com」はドイツ語サイトのように、一つのジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)に対して、複数のサブドメインを作成する方法です。

サブドメインを使用するメリットは、作成したサブドメインごとに最適なサーバーを使い分けることができる点です。例えば、「cn.xxxx.com」というサブドメインで作成した中国語サイトは、中国本土のサーバーを使い、「de.xxxx.com」はドイツ本土のサーバーを使う、といったイメージです。

このように国別にサーバーを契約することで、地域毎にWebサイトの高速化を実現できます。また日本国内のサーバーを使用し中国語のWebサイトを作成した場合、中国政府の検閲によりサイトが表示されなくなったり、表示されたとしても表示速度が極端に遅くなったりする場合があります。そのような国別の規制の影響を受けないようにするためにも、地域ごとにサーバーを契約するのは有効な手段になります。

ただこちらの方法も、サーバーの契約毎に料金が発生する、契約情報の管理が煩雑になるというデメリットはあります。

4-4. サブディレクトリ

こちらも3のサブドメインと同様に、同じ内容のWebサイトを多言語で運営する場合に適した方法です。

例えば、一つのgTLD「xxxx.com」に対して、英語サイトは「xxxx.com/en」、中国語サイト「xxxx.com/cn」、ドイツ語サイト「xxxx.com/de」といった感じです。

③サブドメインで管理する方法との違いは、すべてのドメインが一つのサーバーに集約される点です。これはすべての多言語サイトが一つのgTLD「xxxx.com」の配下に属しているためです。

この方法のメリットは、複数のサーバーを契約しない分、サーバーの管理費が安く済むことです。一方で、3のサブドメインで国別にサーバーを契約する場合と比較すると、世界各国からアクセスされた際に当該のWebサイトの表示速度が遅くなる可能性が高いです。

 

海外SEO対策に使えるツール5選

次に私が普段使用している海外SEO対策に使えるツールを5つ紹介します。

ツール1. Google広告|キーワードプランナー

キーワード調査を行う際に使用します。

海外SEO対策時にキーワードプランナーでは、主に世界全域における月間平均検索ボリューム、関連キーワードを調査するために使用しています。特定の国における場合でも使えるため非常に便利です。

またキーワードプランナーは「WebサイトのURL」を入力するだけで、該当のWebサイトの関連性が高いキーワードを一覧で表示することができます。これは特に競合のWebサイトがどのようなキーワードで流入を獲得しているかを調べる際に役に立つので、積極的に活用されることをおすすめします。

先ほど紹介した「言語」と「地域」の設定を組み合わせることで、かなりの情報を取得することができます。

ツール2. Ubersuggest

こちらのツールはSEO対策全般に非常に役立つツールです。

私が主に使っている機能は以下の3つです。

項目名 用途
ランク追跡 国別にキーワードの検索順位を測定
キーワード候補 キーワードの月間平均検索ボリューム、関連キーワードの調査
海外の検索結果の調査
トラフィック概要 競合他社サイトが獲得している流入時に使用されているキーワードの調査

キーワードプランナーだけでも十分ではありますが、さらに深く抜け漏れがないように調べる意味で使用しています。また海外のGoogleの検索結果が手軽に調べられる点でもとても便利です。

ツール3. Windscribe

このツールは海外のGoogleの検索結果を表示する際に非常に役に立ちます。

このツールはVPN接続と呼ばれる方法で、仮想的に海外からの位置情報を利用してインターネットに接続できます。要は海外の位置情報を利用して検索できるということです。

これは海外の競合サイトを調べる際に使えるため、海外SEO対策では役に立ちます。(もしくは2.Ubersuggestで検索結果を調べる方法でも全く問題ありません)

ツール4. WebPageTest

こちらのサイトはWebサイトの表示速度を測る際に使用できます。

こちらのツールではWebサイトが世界の指定の地域からアクセスされた時の表示速度を計測できます。したがって、アメリカのGoogleでSEO対策をしたいという場合には、アメリカでの表示速度を測定し改善するべきかどうかを判断することができます。

ちなみにGoogle公式の計測ツール「PageSpeed Insights」は世界の4ヶ所(アメリカ:オレゴン、南カリフォルニア、オランダ、台湾)の一番近いロケーションから測定されているそうです。

参照

How does Calibre differ from Google PageSpeed?

ツール5. Google トレンド

こちらはGoogle公式のツールで、キーワードが「どの国から検索を集めているのか?」を調査する際に使うことができます。

例えば「machining tool(工作機械)」というキーワードを入力してみると、以下のような結果が表示されます。※2022年6月9日時点

これは”machining tool”というキーワードが、どの国からよく検索されているかを示したものです。右の国名とその隣の数値は、インドからの検索数を100とした場合、他の国からのアクセス数を相対的な比率として示したものです。

こちらのツールを先に紹介した「キーワードプランナー」と合わせて使用することで、キーワードの全地域における検索数に加えて、各国からの検索数も調べることができます。特に英語キーワードは、英語圏以外の国からもよく検索されているため、ターゲット地域を見定めるために貴重な情報になります。

 

海外SEO対策の具体的な進め方

次に海外SEO対策の具体的な進め方を6つのステップに分けて解説します。国内のSEO対策と違いがある部分を中心に解説しています。

ステップ1. キーワード候補の洗い出し

まずSEO対策をするキーワード候補を洗い出しスプレッドシートにまとめます。特に英語でSEO対策を行う場合、製品名に複数の名称がないか入念に確認しましょう。

ここでは私がキーワード候補の洗い出しを行う際に、実際に使用しているツールを紹介します。なお主に以下のツールではキーワード候補の「月間平均検索ボリューム」と「関連キーワード」を調査します。

Google広告|キーワードプランナー

Google公式のキーワード調査ツールです。外国語キーワードを調査する場合は「言語」と「地域設定」を対象の言語、地域に合わせて設定するようにしましょう。(画像赤枠部を参照)

また「地域設定」は複数の地域を選択することができるため、例えば以下のようにASEAN地域に絞ってキーワードの「月間平均検索ボリューム」を調べることもできます。(※「キーワード候補」を調べる際は最大10ヶ所指定可能です)

これは例えば東南アジア向けにリスティング広告を出す際に、キーワードの「月間平均検索ボリューム」を調べる時に非常に役に立ちます。

上記の違いを除けば、基本的な使い方は日本語キーワードを調査するときと変わりません。

UberSuggest

こちらのツールも外国語キーワード調査をする際に便利です。

サイドメニューの「キーワード候補」からこちらの画面に入り、「言語」と「ロケーション」を設定することで、対象の言語、地域におけるキーワード調査が可能です。(画像赤枠部を参照)

これらのツールを用いてキーワード候補を洗い出すことに加えて、必ず実際の検索結果を確認しましょう。そうすることで、キーワードが意図した製品・サービスを的確に表しているか?、競合他社は違うキーワードを使っていないか?、の2点を確認することができます。

またUbersuggestには「トラフィック」というメニューがあり、特定のWebサイトのURLを入力することで、そのWebサイトが国別でどのようなキーワードで流入を獲得しているかを調査できます。この機能もキーワード候補を洗い出す上でも、見当違いなキーワードを選ばないためにも役に立つ機能です。

これら2点を確認し、ツールを用いた調査で洗い出せていなかったキーワードがあった場合は、それらのキーワードを再度ツールを使って「月間平均検索ボリューム」と「関連キーワード」を調査しましょう。

ステップ2. 対策キーワードの選定

次に「1. キーワード候補の洗い出し」で洗い出したキーワードの中から海外SEO対策を進めるキーワードを選定します。選定基準の例は以下のとおりです。

  • キーワードを使用するユーザーは自社の製品・サービスの顧客を含んでいるか
  • キーワードと自社の製品・サービスは十分に関連性が高いか
  • キーワードを使用するユーザーの検索需要を満たすコンテンツが自社で用意できそうか
  • キーワードの「月平均検索ボリューム」は十分大きいか
  • キーワードはSEO対策で十分に上位表示できる可能性があるか

これらを判断するためには、海外SEO対策を試行錯誤してきた経験による直感と丁寧な調査が必要です。しかもこれらの判断と判断に必要な調査を外国語で行う必要があるため、必然的に難度は高くなります。

よくある失敗パターンとして、「月平均検索ボリューム」が大きいという理由だけでキーワードを選定し海外SEO対策を行った結果、自社の製品・サービスには関心度の薄いユーザーから大量のアクセスが来たが、お問合せの件数は変化しなかった、というケースがあります。

このような失敗を防ぐためには、海外SEO対策を行う目的をキーワード選定の段階から明確にしておくことが必要です。そうすることで、判断軸も明確になり作業自体もスムーズに進みます。

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英語キーワードの選定については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

ステップ3. 記事の見出しを作る

このステップは海外SEO対策の中でも最もセンスが求められる部分です。基本的な作業は国内SEO対策と同じですが、外国語になる分難度は高くなります。

②までのステップで対策するキーワードが決定しています。次に「キーワードを検索するユーザーがどのような情報、コンテンツを求めているのか?」、仮説を立てます。この仮説をもとに見出しを決定します。

例えば「cmm machines(三次元測定機)」という英語キーワードを使って検索を行うユーザーは、大きく以下のような情報を求めていることが予想されます。

  • 三次元測定機が欲しい(どんな製品があるのか知りたい)
  • 三次元測定機について知りたい(情報収集がしたい)

この中でも前者「どんな製品があるのか知りたい」という検索需要に対しては「三次元測定機の製品一覧」のような製品紹介ページが上位に表示されます。一方、後者の「情報収集がしたい」という検索需要に対しては「三次元測定機についての一般知識」のようなコラム記事が上位に表示されます。

英語キーワードの検索結果を確認する際は、英語の記事が世界で最も多く集まっているアメリカの検索結果を参照することをおすすめします。世界で最も競争が盛んなアメリカの検索結果で上位表示できれば、他の国でも上位表示できるであろう、という判断です。(ただしアメリカ英語とイギリス英語でキーワードが異なる場合は別で調査する必要があります)

次にこれら大きな分類分けをした「検索需要のどれを満たすのか?」を決めます。今回は、後者の「情報収集がしたい」を満たす記事を作成する場合を考えます。この時やるべきことは、キーワードを実際に検索した際に現在上位表示されている記事のコンテンツ(記事の見出し)を全て洗い出し、ユーザーが具体的にどのような情報を求めているのかについて仮説を立てることです。

今回の「三次元測定機」というキーワードの例では、以下のような情報をユーザーが求めているだろうと仮説を立てました。

  • 三次元測定機とは
  • 三次元測定機の特徴
  • 三次元測定機の種類
  • 三次元測定機を使うメリット
  • 三次元測定機を使うデメリット
  • 三次元測定機の機器構成
  • 三次元測定機の測定方法
  • 三次元測定機の選び方
  • 三次元測定機の製造メーカー

最後にこれらの情報の中でどの需要を満たすのか?を決めます。これがそのまま記事の見出しになります。この工程で決定した見出しによって検索順位が決まると言っても過言ではないほど重要な工程です。

もし記事の検索順位が上がってこない場合は、上記で決定した仮説が間違っている、もしくは仮説はあっているが記事に含んでいない、のどちらかになります。まずは仮説で洗い出した見出しを全て含める形に記事を加筆・修正し、それでも検索順位が上がってこない場合は、上記の仮説自体を再度考え直す必要があります。

ステップ4. 記事を執筆する

記事の見出しが決まったら執筆に移ります。執筆は自社で行う場合は誤解を招くような表現がないかのチェックだけは必ず行いましょう。可能であればネイティブ、もしくはネイティブ並みに外国語が堪能な方に表現のチェックをしてもらえればより良いと思います。

記事を自社で用意することが難しい場合は、ライティング代行サービスを利用することも検討しましょう。そして文章が揃い次第、Webサイトへの反映、その他の必要な設定も国内SEO同様に行いましょう。

記事執筆と合わせて、記事の投稿に必要な情報(例:ページタイトル、ディスクリプション、altタグの設定)も行います。特にページタイトルは、クリック率に与える影響が大きいため、重要です。

ページタイトルの付け方については、以下の記事で詳しく解説しています。

ステップ5. 効果測定

記事をWebサイトで公開後に効果測定を行います。効果測定では主に対策しているキーワードでの検索順位を調査します。

海外SEO対策の場合は、どの国における検索順位を調査するのかを決める必要があります。ターゲット地域が明確に決まっている場合は、その国における検索順位、特にターゲット地域がない場合はアメリカの検索順位を調べておくことをおすすめします。(理由は先ほどと同様です)

検索順位の追跡には、先ほど紹介したUberSuggestが使えます。

ステップ6. 加筆・修正

記事の検索順位が上がってこない場合は、加筆・修正を行いましょう。目安としては、3ヶ月経っても低い順位で変動しないようであれば加筆・修正が必要と考えて間違いないと思います。

加筆・修正の手順は以下の記事で詳しく解説しています。

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公開した英語記事(英語サイト全体)の改善方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

海外SEO対策の対策の実例

ここでは弊社が実際に海外SEO対策を支援した実例を紹介します。

株式会社メルテック

本社 千葉県流山市
社員数 100名
事業内容 フォトエッチング加工、エンコーダ用スケールの設計、製造、販売
取材記事 英語サイトで「海外の新規顧客開拓」と「製品の需要調査」を実現

株式会社メルテックは、エッチング加工を主事業とする金属薄板加工を行っています。このエッチング加工の技術を用いて製造することができる製品の一つに「エンコーダー用スケール」と呼ばれる部品に関するキーワードを中心にSEO対策を行いました。

以前は広告を使っていましたが、現在ではSEO対策のみで東南アジア、ヨーロッパ、北米の企業を中心に世界各国から問い合わせが来ています。

詳しくはこちら

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外国語サイトの制作事例については、以下の記事で紹介しています。

 

国内SEO対策と海外SEO対策の違い6選

結論から言うと、国内であっても海外であっても同じ検索エンジンを使用する場合、本質的な違いはないと考えます。国内でも海外でもSEO対策の本質は「検索者の意図(需要)を満たす情報を提供する」ことだからです。

ただ、検索エンジンのアルゴリズム自体は同じでも、言語や環境の違いによって、サイトを検索結果の上位に表示させるポイントは変わります。今回は私が考える6つの違いを紹介します。

違い1. 競合サイト

まず競合サイトの数、質が変わります。

例えば、海外のGoogle向けにSEO対策を行う場合、(その言葉の話者の数に比例し)競合サイトの数が増えます。単純計算で、英語話者は世界に約15億人いるため、日本語話者より10倍以上多い、すなわち競合サイトも10倍以上多いと言えます。

これは後ほど説明しますが、良い意味でも悪い意味でも海外SEO対策の重要な観点の一つになります。

参照

Most spoken languages in the world | Statista

違い2. キーワード選定

言語が変わればキーワード選定のコツも変わります。

特に英語は、日本語では一つの呼び方である言葉に対して、複数の呼び方がつけられることも多々あります。すなわち、盲目的に日本語から機械翻訳を使って翻訳したキーワードでSEO対策をしても、英語話者からすると見当違いなキーワードを選定してしまっている場合があります。

これは海外SEO対策をする上で最も難いため、丁寧かつ根気強い調査が求められます。

違い3. 検索エンジン

国によって、独自の検索エンジンが使われていることがあります。

有名な例は、中国のBaidu(シェア84.27%)、ロシアのYANDEX(シェア50.4%)韓国のNAVER(シェア17.49%)が挙げられます。これらの検索エンジンでSEO対策を行う場合は、Googleのアルゴリズムが適用されない可能性もあります。(私は詳しくありませんので、これ以上のことは言えません)

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世界の検索エンジンは、こちらの記事で詳しく解説しています。

参照

違い4. 表示速度

これはややテクニカルな違いですが、Webサイトの表示速度が国内と海外で変わる可能性があります。

例えば、国内で速い速度で表示されていたWebサイトが、海外からアクセスされると表示速度が落ちることがあります。これは、Webサイトが使用するサーバーの位置によって回線の速度が変わるためです。(国内のサーバーを使っている場合、海外からのアクセスには時間がかかる傾向があります)

Webサイトの表示速度はGoogleが「検索順位を決定する上で重要視する項目の一つである」と公式に発表しているため、海外SEOを進めるにおいて、こちらも考慮する必要があります。

ページの読み込み時間を最適化します。表示の速いサイトはユーザーの満足度を高め、ウェブ全体の質を向上させます(特にインターネット接続速度が遅い場合)。PageSpeed InsightsWebpagetest.org などのツールを使用してページの読み込み速度をテストすることをおすすめします。

(引用:ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン) | Google 検索セントラル  |  ドキュメント  |  Google Developers

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サーバーの設置場所と表示速度の関係は、以下の記事で詳しく解説しています。

違い5. 対象地域

対象とする国によって、SEO対策の施策も変わります。

具体的には、Webサイトのドメインの選び方、および「ターゲティング設定」と呼ばれるWebサイトの対象地域設定が変わります。これは後半で詳しく解説しますが、海外SEOを進める上でとても重要な視点になりますので、必ず考慮する必要があります。

違い6. 検索エンジンのバージョン

これは頭の片隅入れておく程度で大丈夫ですが、国内と海外の検索エンジンのバージョンが異なる場合があります。

特にGoogleは研究開発を行う本社がアメリカに位置するため、最新のアップデート、実験的なアップデートはアメリカの英語検索が初めに行われるためです。(例:Googleレンズとテキスト検索を組み合わせたmultisearchをGoogleが導入 – 海外SEO情報ブログ

特に大きな問題にならないことがほとんどなので、個人的にはあまり気にしなくてもいいと思います。

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国内と海外の「Webマーケティング全体における違い」は、以下の記事で詳しく解説しています。

 

海外SEOのメリット

次に海外SEOを行うことのメリットを解説します。国内のSEOとも重複する内容は割愛しています。

メリット1. 市場が大きい

海外SEOを行う最大のメリットは、ターゲットとする市場の大きさです。

先にも述べましたが、英語話者は日本語話者の10倍以上存在します。それは競合が多くなるという負の側面ももたらしますが、一方で国内とは比べ物にならない数の潜在顧客がいることも意味します。

すでに国内に需要が存在する製品・サービスはもちろんですが、国内では需要がないようなニッチな製品・サービスでも、海外に市場を広げることで顧客を獲得できます。海外SEOに本格的に取り組むことにより、(広告を使うより低予算で)この大きな市場に対して自社の製品・サービスをアピールできます。

メリット2. 新市場の発掘が可能

Google広告をはじめとするリスティング広告を外国語サイトに使用する場合、ある程度需要が見込める地域を絞って掲載することが現実的です。そのため、ある地域における需要調査には向いていますが、全くの新規の市場を発掘することには不向きと言えます。

一方、海外SEOはSEOという手法の特性上、対象地域は国外全域になります。例えば、英語サイトでSEO対策を行った場合、世界中に存在する潜在顧客がその英語サイトにアクセスする可能性があります。

すなわち英語サイトにSEO対策を行うことで、世界中の新規顧客の開拓が可能になります。これはSEOという手法ならではのメリットと言えます。

海外SEOのデメリット

次に海外SEOのデメリットを解説します。こちらも国内のSEOとも重複する内容は割愛しています。

デメリット1. 競合が多い(難度が高い)

先ほどメリットで「市場が大きい」と説明しましたが、同時に海外SEOは競合が多くSEO対策の難度が高くなります。(※日本語より話者が少ない言語でSEO対策をする場合は当てはまりません)

検索順位は、他の競合サイトと自社サイトの相対評価によって決定されます。したがって、あるキーワードで国内のGoogleで検索結果1位のページをそのまま翻訳し外国語サイトに公開しても、対象の英語キーワードで検索結果1位を取れる可能性は低いです。(国内で一定の反響があるサイトをそのまま英訳しても、国内ほど反響が出ないのはこれが一つの原因です)

すなわち英語サイトでSEO対策を行う場合は、日本国内の検索順位は全て忘れ、一から海外の競合サイトを調査し「上位表示させるためにはどのようなコンテンツが必要なのか」を別途調査する必要があります。そして調査の結果、ほとんどの場合、日本語ページよりもより質の高いコンテンツ(検索者の意図を多く満たすページ)が求められます。

デメリット2. コストがかかる

英語サイトの専用のドメイン・サーバーを用意するためのコストがかかります。(現在、日本語サイトのみ持っている場合、もしくは日本語サイトのドメイン配下に英語サイトが格納されている場合)

これは海外SEO対策を本格的に進めるにあたって、ドメイン・サーバーを国内とは別に用意することが有効であるためです。特に国内企業向けドメイン(.co.jp)に英語サイトが格納されている場合、海外からの検索結果に表示される可能性が低くなるため、.comをはじめとするgTLD(Global Top Level Domain)に切り替えることをおすすめします。(詳しくは記事の後半で解説します)

ドメインとサーバーの費用は一般的には、ドメイン費(年額 約1,500円)、サーバー料金(安いもので月額 2,000〜5,000円、高いもので月額 10,000円〜)となります。サイトに予想されるアクセス数、サイトの用途・目的を複合的に考慮して選定することをおすすめします。

 

海外SEO対策の2つのパターン

海外SEO対策には、以下の2つのパターンがあると考えます。

  1. グローバルSEO対策
  2. ローカルSEO対策

パターン1. グローバルSEO対策

グローバルSEO対策とは「全世界向けの海外SEO対策」と定義します。このパターンでは、特定の国や地域にターゲットを絞らず、全世界からアクセス・引き合いの獲得を狙います。

グローバルSEO対策を行う場合、以下の2つの言語設定のパターンが考えられます。(サイトのドメインは、いずれも全世界向けドメイン(例:.com、.net)を採用することをおすすめします)

言語の設定パターン

  1. 英語」をサイトの設定言語としたWebサイトを構築する
  2. 各国の言語」を地域によって切り替えることができるWebサイトを構築する

このパターンの特徴は以下の通りです。

特徴

  • 国ごとに製品・サービスの需要を調査することができる(テストマーケティングの目的でも活用可能)
  • サイトの更新が行われてから、各国の検索結果に順位が反映されるまでの期間が長め(明確なデータがあるわけではありません)
  • 英語をサイト言語として採用する場合、英語圏 or 英語を公用語とするアジアの国(例:インド、香港、シンガポール)からのアクセスが集まりやすい

パターン2. ローカルSEO対策

ローカルSEO対策とは「特定の国や地域向けの海外SEO対策」と定義します。このパターンでは、特定の国や地域にターゲットを絞り、アクセス・引き合いの獲得を狙います。

ローカルSEO対策を行う場合、以下の2つのドメイン設定のパターンが考えられます。(サイトの設定言語は、ターゲット地域の公用語・母国語を採用することをおすすめします)

ドメインの設定パターン

  1. 国別ドメイン」を取得する(例:.co.us)
  2. 全世界向けドメイン」を使用し、各言語のコンテンツの地域設定を「hreflang」タグで指定する(※「2022年9月以降「インターナショナルターゲティング」と呼ばれる国単位のターゲット設定は廃止になりました)

このパターンの特徴は以下の通りです。

特徴

  • 特定の地域における製品・サービスの需要を調査することができる(複数地域分サイトを制作し、比較することも可能)
  • ターゲット国の検索結果において上位表示が狙える
  • GoogleMapでのMEO対策(Map Engine Optimization)が有効

地域別の海外SEO対策3選

ここでは、地域別の海外SEO対策のポイントを紹介します。各国に共通の事項は省略し、当該地域に当てはまるポイントを中心に解説しています。

地域1. 北米

検索エンジン

北米地域(アメリカ、カナダ、メキシコ、カリブ海の島国と定義)では、Googleが検索エンジンとして約90%のシェアを獲得しています。

そのため、GoogleでのSEO対策を主軸に考える形で問題ないと思います。

また北米の中でもアメリカのGoogleは、Google本社がアメリカにあることもあり、全世界に先駆けて最新のアップデートが実装されます。そのため、国内とは異なる検索エンジンのバージョンが適用される可能性があることを念頭に置き、変化によって引き起こされる影響を事前に予測し、必要な対策を考え実行することが重要です。

Googleが独自に開発しているAI「Bard」の実装も、おそらくアメリカのGoogleが先行する形で導入されると思います。

言語

北米地域における主要言語は「英語」と「スペイン語」です。
統計によると、北米地域の総人口約6億人の中で、英語を主言語として話す人口は約3.3億人で、半数以上が英語を日常的に使用していることがわかります。

次に多い言語がスペイン語で、約1.3億人が日常的に使用しています。

北米向けの海外SEO対策は、英語もしくはスペイン語で行う形で問題ないと言えます。

参照

The 10 Most Spoken Languages In North America

地域2. ヨーロッパ

検索エンジン

ヨーロッパ地域では、Googleが検索エンジンとして90%以上のシェアを獲得しています。

したがって、GoogleでのSEO対策を主軸に考える形で問題ないと思います。

言語

ヨーロッパ地域において使用されている言語は以下の表を参照ください。母国語として使用する話者の数が多い順にまとめた表です。

順位 言語 母国語として使用する話者の人口
1 ロシア語 160,000,000
2 ドイツ語 97,000,000
3 フランス語 71,500,000
4 イタリア語 65,000,000
5 英語 63,000,000
6 スペイン語 47,000,000
7 ポーランド語 38,500,000
8 ウクライナ語 32,600,000
9 ルーマニア語 24,000,000
10 オランダ語 22,000,000

出典:Most Spoken Languages in Europe (2022): Facts and Figures

上記の表が示す通り、ヨーロッパ地域では各国が独自の言語を使用しているため、ある特定の言語で全ての国をカバーすることは困難に思えます。

しかし、こちらの記事によるとヨーロッパの総人口約4.5億人の中で約82%にあたる3.7億人が英語を話すことができるそうです。これはヨーロッパ圏の言語の多くが、同じ言語グループ(インド・ヨーロッパ語族)に属しており、各言語同士で共通点が多いことも関係しています。

したがって、以下の考え方で問題ないと考えます。

  1. ヨーロッパ全地域に対してSEO対策を行う場合、英語をサイト言語として設定する(ドメインは「.eu」ドメインがおすすめ)
  2. ヨーロッパ圏内の特定の国に対してSEO対策を行う場合、その国の母国語をサイト言語として設定する(ドメインは当該の国の「国別トップレベルドメイン(例:.co.de)」がおすすめ)

地域3. アジア

検索エンジン

アジア地域においても、Googleが検索エンジンとして90%以上のシェアを獲得しています。

こちらも、GoogleでのSEO対策を主軸に考える形で問題ないと思います。

言語

順位 言語 母国語として使用する話者
1 中国語(北京語) 1,200,000,000
2 ヒンディー語 550,000,000
3 インドネシア語 260,000,000
4 ロシア語 260,000,000
5 アラビア語 230,000,000
6 ベンガル語 230,000,000
7 ペルシャ語 130,000,000
8 日本語 120,000,000
9 パンジャブ語 100,000,000
10 マラーティー語 99,000,000

上記の表が示す通り、アジア地域では中国語話者の数が圧倒的です。またヒンディー語やインドネシア語など、日本人にはなじみが薄い言語も多くランクインしています。

一方で、上記の上位TOP10には入っていないものの、英語を第二・第三言語として使用する国も多くあります。例えば、香港では人口の約52%、インドでは人口の約40%が英語を話すことができます。またフィリピン、シンガポール、マレーシアの3つの東南アジア諸国では、英語により学校教育が行われていることもあり、英語を話すことができる人口が多いです。

また英語はグローバル言語として、アジア各国でも積極的に教育が行われているため、今後もアジア地域における英語話者の人口は増えていくことが予想されます。

したがって、以下の考え方で問題ないと考えます。

  1. アジア全地域に対してSEO対策を行う場合、単一の言語で多くの地域をカバーすることは難しい
  2. 「英語」を使用することで、東南アジアや英語を第二言語として使用する国と地域を中心にSEO対策を行うことができる
参照

国別の海外SEO対策3選

続いて国別の海外SEO対策のポイントを紹介します。特定の国における特有のSEO対策のポイントを解説しています。

国1. 中国

独自の検索エンジン「Baidu」

中国では、Baiduが検索エンジンとして約73%のシェアを獲得しています。

また、Googleのシェアが約2.5%と、他の先進国と比較して圧倒的に低いこともわかります。すなわちSEO対策は、Baiduを主軸に考えることが必須です。(対策方法は後述します)

ICPライセンスの取得

中国向けにSEO対策を行う場合、中国本土のサーバーを使用したHPが検索結果で優遇される傾向があります。また中国本土のサーバーを使用しWebサイトを公開する場合、「ICP登録」と呼ばれる中国政府からの許可を取得する必要があります。

この「ICP登録」を行うためには、以下のいずれかの事業所が中国本土にあることが条件になります。

  • 中国法人
  • 中国駐在所

したがって、中国向けにSEO対策を行うためには、中国本土に事業所があることが条件と言えます。

中国国内に法人がない場合でも、隣国の香港にサーバーを設置する方法が有効とされています。ただ中国政府による情報規制の影響により、通信がシャットダウンされる可能性があることを念頭に置く必要があります。

国2. ロシア

独自の検索エンジン「Yandex」

ロシアでは、Yandexが検索エンジンとして約50%のシェアを獲得しています。

Yandexはロシア語での使用が標準であるため、YandexでのSEO対策はロシア語ページを制作することが必須と言えます。ただ基本的なSEO対策の考え方は、Googleのそれと同じであると言われているため、Yandexにおいて特別な施策が必要になる可能性は低いと考えます。

国3. 韓国

独自の検索エンジン「Naver」

韓国では、Naverが検索エンジンとして約25%のシェアを獲得しています。

Naverには、Googleにはない独自の機能も備わっているため、SEO対策にも注意が必要です。

中でも最大の特徴が、検索結果がページのカテゴリ別にまとめられた状態で表示される点です。

例えば、Naverでキーワード「ChatGPT」と検索すると、検索結果のページがカテゴリ別にまとめられた状態で表示されます。(キーワード「ChatGPT」の場合、公式サイト、インフルエンサー関係、コラム記事、そのほか、Q&A、ニュース、広告の順に表示されました)

したがって、特定のキーワードでSEO対策を行う際は、まず当該のキーワードの検索結果ページにどのようなカテゴリが表示されているのかを把握する必要があります。そしてそのカテゴリの中でどの場所に表示させるのか、明確に決めた上でページ制作を行う必要があると考えます。

例えば、ライバルが少ないカテゴリでの表示を狙う、ライバルは多いが上位に表示されているカテゴリを狙う、といった戦略が考えられます。

検索エンジン別の海外SEO対策

次に検索エンジン別の海外SEO対策を解説します。

Google

この記事を含めおそらく世間一般で言われる「SEO対策」=「(Googleにおける)SEO対策」という認識で問題ないと思います。したがって、GoogleのSEO対策は、基本的にはこの記事内で解説している通りの内容です。

Google独自のSEO対策ポイントとして、2023年2月での導入が予想されているAI回答システム「Bard」の実装が挙げられます。プレスリリース記事での動作イメージを見る限り、検索結果の最上部にAIにより自動生成された回答が表示されるようです。

AIが検索エンジンに導入されることで起こり得る変化については、後日別記事で解説予定です。

Yahoo!

Yahoo!は、Googleと同じアルゴリズムを採用しているため、基本的なSEO対策の考え方はGoogleと同じです。

一点、「ユーザーの層」という違いが挙げられます。具体的には以下通りです。

年齢層 yahoo.com, % google.com, %
18-24 19.06 24.01
24-34 27.57 30.40
35-44 19.57 18.81
45-54 14.91 12.61
55-64 11.23 8.55
65+ 7.66 5.63

こちらの表は「yahoo.com」と「google.com」を使用するユーザーを年齢別にまとめたものです。比率が大きい方を太字にしています。(similarwebのデータを使用して作成しました)

こちらの結果からYahoo!は35歳以上のユーザーが全体の半数以上を占めていることがわかります。この結果からSEO対策に対して何か示唆が得られるわけではありませんが、大きな違いがあるということは、頭に入れておくとよいでしょう。(広告出稿の際は、この数字が重要になります)

Bing

BingのSEO対策も基本的にはGoogleのそれと同じであると言われており、私もその認識で問題ないと考えます。したがって、GoogleのSEO対策をきちんと行えば、Bingでも同じような効果が期待できると考えて良いでしょう。

検索結果画面を見ても、Googleとは多少レイアウトは違いますが、同じような表示(例:強調スニペット、公式情報、関連キーワード、他の人はこちらも質問)が確認できます。

一点、大きな違いとして、2023年2月現在、導入が進んでいる「ChatGPT」が挙げられます。この変更によりそれまでGoogleのみを使用してきたユーザーが、Bingに乗り換える可能性も出てきています。この辺りのAI回答システムの導入が検索エンジンおよびSEO対策に与える影響は、後日別記事で解説予定です。

 

まとめ

本記事では「海外SEO対策の本質」と題して、私が考える海外SEO対策に関する見解、ノウハウを説明しました。

まとめると、国内SEO対策と海外SEO対策は本質的には同じですが、言語と環境が変わる分、難度は上がる上に必要なテクニックも変わります。そのため、やるからにはしっかりと時間を投資して取り組むことをおすすめします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

弊社(テクノポート株式会社)では、製造業向けの「海外SEO対策コンサルティング」サービスを提供しています。
無料相談」も実施していますので、お気軽ににお声がけいただければ嬉しく思います。

 

この記事の執筆者
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稲垣 達也
【経歴】
テクノポート株式会社「海外Webマーケティング」サービスの責任者
名古屋工業大学大学院 電気機械工学専攻 博士前期課程卒業
同大学 機械工学科卒業

【保有資格】
TOEIC L&R:990/990、英検一級:合格、TOEFL iBT:108/120
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