製造業や職人が大手企業にも勝てる!「D2C」に注目が集まる理由

【執筆者紹介】大後裕子
この記事の執筆者
大後裕子
会社名:C-OILING合同会社
役職:代表 ブランディングコンサルタント
執筆テーマ:製造業のブランディング

【経歴】
ブランディングを主軸に、生活用品メーカーで7年間企画職に従事の経験から、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、開発商品点数累計約1,200点。
開発商品は各種TV、雑誌など各種メディアに取り上げられる実績あり。
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こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

「D2C」の市場への浸透が会社の二極化をつくる

D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、「製造者がダイレクトに消費者と取り引きをする」という意味の言葉です。2020年あたりからクラウドファンディングなどを中心に取り組みを始める企業が急激に増えてきました。

なぜこれほどまでにD2Cに注目が集まっているのかというと、思い立ったら小さくでも始められるという点に大きな魅力があります。販売も小売店や卸業者に依存することなく、流通・製造・販売・マーケティング・サービス・利益を自社でコントロールすることができます。このことから今後は、大衆的に好まれる大手企業の大きなブランド「マクロD2C」と、熱心なファンの指示を集める小規模企業による小さなブランド「マイクロD2C」の二極化が進むと言われています。

D2Cブランドを作るメリット

まず、D2Cの3つのメリットについて見ていきましょう。

①コスト削減

ECサイトを自社で構築・運営することで、Amazon・楽天・BASEといった有名ショッピングモールを使用する際に発生する手数料や利用料などが必要なくなります。その浮いた費用分の価格商品価格から引くこともでき、顧客が買いやすい価格帯の商品を作ることができます。

②コアファンの獲得

また、ネット検索をはじめとするSNSの普及により、誰でも気軽に発信者になれる時代になりました。特に発信者が一方的に語りかける今までのネット検索と違い、SNSでは発信者と受信者が相互に関係を構築できる「双方向性」というコミュニケーションの形が生まれました。そのため、自社ブランドにかける想いや技術の奥深さを受信者と共有し続けることで、コアファンを獲得していくことができます。

③BtoB顧客への再アプローチ

D2C商品のリリースはBtoB顧客への再アプローチにも有効です。プレスリリースなどを通して自社の新たな試みを休眠顧客に伝えることで、取引が再開するきっかけを作ることもできます。また、D2C商品をリリースすることによって、従来の取引先とは全く違う業界からのオファーにつながる可能性も秘めているのです。

D2Cブランドを作るデメリット

しかし、D2Cブランドを立ち上げ・運営するにはメリットだけでなくデメリットも伴います。

構築にかかるコストとリソース

D2CビジネスをスタートするにあたってECサイトの構築や試作制作、それに伴う人件費といった初期投資が必要になります。他にも顧客への決済や発送の管理・カスタマーサポートなど、従来なかった新たな業務フローを確立する必要もあります。

ブランド認知のための活動

新規ブランドを立ち上げる場合や、知名度が少ない場合、ブランドをどのようにして多くの顧客に認知してもらうかという点が大きな課題になります。特に、自社で製造から販売まで一貫して手掛けると決定した場合、小売店やモール型の大手ショッピングサイトの宣伝力や集客力に頼ることができないので、効果的に自社SNS・メルマガ・コミュニティ運営などの認知のためのブランディングを行う必要があります。

D2Cに重要なLTVという考え方

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、「LTV」とは、顧客が生涯を通じて企業にもたらす価値を表す指標です。

顧客から見たD2Cのメリットは、「ブランドと直接コミュニケーションを取れること」です。つまり生産者の想いや顔がわかり、安心して愛着を持って製品を使い続けることができます。それはAがいいかBがいいかと毎回購入のたびに選択を迫られるストレスがなくなり、生活の快適さにもつながります。このようにD2Cにとって、長期にわたって顧客に支持されるLTVという考え方を前提にブランド構築をすることが重要です。

特にこれからはデジタル世代を中心に「意味のある消費」に価値を感じる層が拡大していきます。そこでD2Cブランドには自社が作りたいものを作る「プロダクトイン」という考え方以外に、ニーズを捉えた「マーケットイン」という考え方が求められます。社会貢献も含めて、企業のミッションやビジョンが問われる中で、D2Cは自社のシンボルにもなるでしょう。

【プロダクトインのものづくり】

  • 自社の想い
  • 自社の技術
  • 使用素材

【マーケットインのものづくり】

  • 顧客に求められるデザイン
  • 顧客に求められる過不足のない機能
  • 使用素材が選ばれる理由
  • ブランドのビジョン

そのために、自社が作りたいものを作るのではなく、自社の技術を活かして「顧客にとって嬉しいものを作る」というブランド視点に成功のカギが握られているのです。

まとめ

D2Cブランド立ち上げには、費用やリソースを策必要があります。しかし5年後、10年後の経営を想像した時に、D2Cブランドを起動に乗せることで「顧客からの支持」という、競合他社が一朝一夕で築くことのできない大きな会社の資産を築くことができます。今回の記事を参考に、D2Cブランドを経営戦略に組み込んでみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
大後裕子
会社名:C-OILING合同会社
役職:代表 ブランディングコンサルタント
執筆テーマ:製造業のブランディング

【経歴】
ブランディングを主軸に、生活用品メーカーで7年間企画職に従事の経験から、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、開発商品点数累計約1,200点。
開発商品は各種TV、雑誌など各種メディアに取り上げられる実績あり。
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