ユーザーエクスプローラー分析によるアクセスユーザーの行動分析手法

【執筆者紹介】徳山 正康
この記事の執筆者
徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

【寄稿実績】
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テクノポートの徳山です。「Webサイトへのアクセスは十分に稼げているが、問い合わせ数の増加に結びつかない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。

そのような課題を解決するための一つの手法として、ユーザーの行動特性を知り、問い合わせ率の改善につなげることができる「ユーザーエクスプローラー分析」があります。

今回は、ユーザーエクスプローラー分析の概要から具体的な導入方法まで解説いたします。

ユーザーエクスプローラー分析とは

Google Analyticsの機能の一つである「ユーザーエクスプローラー」から取得できる情報を使い、セッション単位で個別のユーザーの行動を分析することで、Webサイトの改善につなげる手法のことです。

どのような課題を解決できるのか

ユーザーエクスプローラー分析により解決が期待できる課題は以下のとおりです。

  • Webサイトのアクセス数は一定数あるが、問い合わせ率が低く、期待するコンバージョン数を獲得できていない
  • Webサイトのコンテンツをやみくもに増やしているが、どのようなコンテンツを増やしていくのが効果的なのかわからない
  • アクセスキーワードや統計データだけではユーザーの心理状況まで掴み取ることができない

ユーザーエクスプローラー分析でできること

ユーザーエクスプローラー分析により可能になることは以下のとおりです。

  • ユーザーごとの行動ログ(どこから流入し、どのページをどの順番で閲覧したか)がわかる
  • コンバージョンしたユーザーなど、特定のユーザーに対象を絞り込んで行動ログが見られる
  • 行動ログからユーザーの傾向を掴みWebサイトの改善につなげることができる

ユーザーエクスプローラー分析の手順

①Google Analyticsで目標を設定をする

ユーザーエクスプローラーからはさまざまな情報を得ることができますが、今回は筆者が最も効果的と考えている「コンバージョンしたユーザー」に対象を絞る方法を解説します。そのためには、事前にGoogle Analyticsで「目標設定」を行う必要があります。

1、GoogleAnalyticsの管理ページから「目標」を選択します。

2、目標のタイプは「到達ページ」を選択します。

3、「到達ページ」に問い合わせ完了ページのURLを記載します。これで準備は完了です。

②ユーザーエクスプローラーを見る

Google Analyticsで目標設定が完了したうえで、コンバージョンを獲得できたら、ユーザーエクスプローラーのデータを見ていきます。閲覧の手順は以下のとおりです。

1、左メニュー「ユーザー」内の「ユーザーエクスプローラー」を選択すると、全ユーザーの行動ログが表示されます。コンバージョンしたユーザーのみの閲覧データに絞り込むために「セグメントを追加」をクリックします。

2、セグメントの「コンバージョンに至ったユーザー」を選択すると、あらかじめ設定しておいた目標達成したユーザーのみのデータに絞り込みができます。

3、絞り込んだうえで、ユーザーごとの行動ログを確認してみます。右下に表示されているデータが、該当ユーザーがWebサイト上でどのような行動を行ったのかのログデータとなります。

4、各セッションをクリックすると、どのページをどの順番で閲覧していったのか、といった詳細なデータを見ることができます。

5、コンバージョンしたユーザーの行動ログを一通り確認し、分析を行っていきます。

③データをもとに分析を行う

データが集まったらさまざまな角度から分析ができます。例として、以下のような方法により分析を行うとよいでしょう。

例1:閲覧率の高いページを知り、コンテンツ戦略を見直す

コンバージョンしたユーザーがどのようなページを見ることが多いのか、傾向を掴むことができますので、以下のような施策を実施することにつなげられます。

  • 見られる頻度の高いコンテンツを中心に今後コンテンツを増やしていく(例:導入事例が多く見られる傾向にあるので、導入事例の更新頻度を上げる)
  • 見てほしいのに見られていないコンテンツがあることがわかったら、ユーザーの導線に合わせてコンテンツを配置し直す(例:自社の強みを紹介しているページを見てほしいのにアクセスがない場合は、ランディングページにその要素を追加する)

例2:コンバージョン率の高いランディングページを知り、サイトマップの見直しを行う

ランディングページごとに問い合わせ数÷閲覧開始数を計算してみると、コンバージョンに至る可能性の高いユーザーがどのページから流入しているかがわかります。それにより、以下のような施策の実施につながります。

  • コンバージョンに至りやすい検索キーワードの傾向を掴むことでSEO対策に役立てる
  • ランディングページに掲載しているコンテンツを他のページにも展開する

分析例はあくまで弊社でよく行う手法となりますので、業態や目的によって臨機応変にデータ分析を行ってください。

ユーザーエクスプローラー分析の活用事例(作業服製造メーカーの事例)

ユーザーエクスプローラー分析により新たな改善施策を見出した事例として、某作業服製造メーカー様の事例をご紹介します。

分析前に抱えていた課題

分析を実施する半年ほど前にWebサイトのリニューアルをお手伝いさせていただき、リニューアル後も継続的にWebコンサルティングのご支援をさせていただきました。その結果、多数のビッグキーワードによるSEO対策が成功し、アクセス数はリニューアル前の5倍近くに膨れ上がりました。しかし、問い合わせ数は2倍程度しか伸びず、アクセスユーザーの大半を問い合わせにつなげられていない状況でした。

分析により判明したこと

問い合わせ率の改善を目的にユーザーエクスプローラー分析を行った結果、以下のことが判明しました。

  • コンバージョンに至ったユーザーのほとんどがランディングページからそのまま問い合わせページへ進み、問い合わせに至っていることがわかった
  • 労力をかけて作成した会社の特徴ページはほとんど見られていなかった
  • BtoB企業では必ず見られると考えられていた会社紹介のページもほとんど見られていなかった

分析結果に基づき行った改善施策

上述した分析結果から、以下の改善施策を実施いたしました。

  • コンバージョン率の高いランディングページのSEO対策を強化
  • 閲覧開始数が多いがコンバージョン率の低いランディングページ内に、会社の強みを伝えられるコンテンツを効果的に配置
  • ランディングしたユーザーに対し、すぐに問い合わせができるようランディングページ内にコンタクトフォームへの導線を増やす
  • ページ内にコンタクトフォームを設置

 

以上、今回はユーザーエクスプローラー分析を活用したWebサイトの改善施策についてご紹介しました。今回ご紹介した分析手法は中級者〜上級者向けの高度な内容となっておりますので、自社だけで悩まず、場合によっては専門業者に相談してみてください。

弊社では、ユーザーエクスプローラー分析をはじめ、さまざまな分析手法を用い、Webコンサルティングを行っております。Webからの新規顧客獲得にお困りの方はぜひご相談ください。

この記事の執筆者
徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

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