町工場プロダクツから踏み出す 町工場ブランド次の一歩

こんにちは。テクノポートの菊地です。2021年10月13日〜15日の3日間、東京ビックサイトで開催された『第92回東京インターナショナル・ギフトショー LIFE×DESIGN』に全国から集まった町工場26社が「町工場プロダクツ」として共同出展していたことはご存知でしょうか?町工場界隈のTwitterは、ギフトショー前から町工場プロダクツの話題で賑わっていました。

ギフトショーの出展を終え、今後の展開が気になる……ということで、町工場プロダクツ実行委員会委員長の眞鍋さんにお話を伺ってきました。

「町工場プロダクツ」とは

町工場プロダクツは、ものづくりコミュニティ「MAKERS LINK」から派生した新たな取り組み。オリジナル製品=プロダクツの開発/発表/販売を通じ町工場が元気になることを目的としています。

発起人はTwitter上で「おやっさん」としても知られている栗原稔さん(株式会社栗原精機 代表取締役社長 MAKERS LINK管理人)です。

実行委員長 眞鍋玲さん

デザイナー。REI DESIGN主宰。
今ギフトショー出展実行委員会委員長。栗原精機・栗原社長より町工場のギフトショー出展とりまとめを引き継ぎ2021年「町工場プロダクツ」を立ち上げる。町工場との協業で、もっと暮らしを楽しく豊かになることを目指し日々活動している。
https://www.reimanabedesign.com/

町工場プロダクツ ギフトショー出展を終えて

ー今回の町工場プロダクツはどれくらいの企業が参加していましたか?

26社ですね。募集をしたらすぐに手が上がった会社さんが20社くらいで、もう少しそのあと増えました。SNSで募集をしたらすぐに手が上がった会社さんが20社程度、コロナ禍もあり悩んだ末に出展を決めた方もおりそのあと徐々に増えていきました。
町工場プロダクツは共同出展なので、1社あたりの費用負担が少ないという出展のハードルの低さが特徴です。単独出展の場合、法人しか申し込み出来ませんが共同出展では個人事業主も出展できます。一人親方でも町工場プロダクツでなら出展できます。

ー「町工場」の定義も曖昧というか人によって違いますよね。

「町工場」と謳っているのは、ギフトショーを主催しているビジネスガイド社の鈴木美朝さんが生み出した「町工場NOW」という企画エリアの名前からきています。グループ会社をもつような大きな会社の方も、一人親方も「町工場」として参加しています。今は、金属加工の会社さんが多いので若干メカメカしさ目立ちますが、実際は製本やペーパークラフトの会社さんも参加しています。今後も布、革など他の素材でも町工場であればと参加大歓迎と思っております。

ー初めての方も複数回出展したことのある方もいたと思いますが、自社製品を企画〜販売するのに皆がぶつかる壁ってありますか?

多いのが値つけ、価格設定ですね。今回出展する方には「売値を決めてきてください!」と口酸っぱく伝えました。展示会なので上代(売値)だけでなく下代(卸値)もバイヤーさんからは聞かれます。買取だったら〇〇%で、委託だったら〇〇%で、とハッキリ数値を言ってしまうやり方もあるとは思います。ですが私も町工場ブランドの商いに触れていく中で、意思を持って強気に攻めている町工場さんの存在も見かけます。一般的な相場にあわせるべきか下手に出るか強気に出るか、そこは腹の探り合いですよね。

物だけでなくて値段の見せ方も大事だよなと感じていたので、とりあえず売値だけは決めてもらうようにしました。とにかく大事なのは売値です。「いったいこれをいくらで市場にだすのか」を考えて、その値段を聞いたお客さんが「高い!」と思うのか「ちょうど良い」と思うのか、その感覚が一番大事と考えています。事前に相談があったところには率直に「高いと感じます。」と言うこともありました。もちろん手間はよくわかるので……気持ちはわかるのですが……。工法が譲れない場合は仕方ないこともありますし、もうちょっとここ変えたら価格抑えられませんか?みたいなプチアドバイスは言わせていただきました。
値段が決まってないと、出展しても商談ができなくてもったいないので。

ー全国から町工場が集まって、面白いこととかが起きましたか?

アトツギと呼ばれる若手経営者たちの動きには私自身も楽しませていただきました。忙しい合間を縫いつつSNSでじゃんじゃん拡散してくれました。彼らはとにかく早い。


愛知県から出展してくださった製缶メーカーの側島製罐さんは、意図せずギフトショーのタイミングでTwitterやニュースサイトでバズを起こしてしまい商談会会場でもSNSにヒーヒー言いながら楽しそうに商談会をこなしていました。こういうタイミングでチャンスを持ち込んでくるのは若手のパワーですね。

ギフトショーは展示会なので、BtoBではありますがtoCの商材なので今後リアル物販イベントなどを考えるとそう言った拡散力があるとオンライン/オフライン共に面白くなりそうだなと考えます。SNSで話題になっていれば、バイヤーさんの仕入れのきっかけにもなりますしOEMに派生する可能性が生まれます。つまりギフトショーの商談はB to B to Cですね。

ーやっぱり百貨店をはじめ小売店との商談が多いですか?

そうですね。でも中には新規の小売店を開拓したのが1割くらいで、開発案件が9割くらいの会社もありました。商品力がつき、コラボなどの実績がついてくると『この町工場とだったら開発がうまく進められそうだぞ』と見てくださる会社が明らかに増えてきますね。前はもっと、ぼんやりしたコラボというか「一緒に何かできたらいいですね〜」みたいな感じで時間が過ぎることが多かったと思います。今は「これ作れるならお願いしたい」みたいな感じで具体的な商談が多くて嬉しいですね。

ーそこが本願ですよね。

もちろん出展者さんによっては、百貨店さんや小売店に卸すことをメインに商談を進めているところもあります。百貨店側もSDGsなど時代性・ストーリ性のあるものを求めているので、商品開発の小回りが利く町工場ブランドは相性がいいですね。

ー町工場プロダクツをやって発見した町工場のあたらしい顔ってありましたか?

今回2度目の参加となった町工場さんの中には、商談中のふとした瞬間に職人の顔から商売人の顔になっていることに気がつきました。有限会社小沢製作所の小沢さんとかシマワの島口さんは、バイヤーさんとの話っぷりが前回に比べ明らかに流暢になっていました。もともと素質が十分にあったのですがその切り替り代わりに、委員長としては萌えましたね。若いから柔軟性があるのかもしれないですけど、スッと切り替えられて異業種に入っていけたり、わからないことをすぐ調べたりできるのは素晴らしいですよね。課題が見つかれば、解決に切り替えて進む姿が頼もしいなぁと感心しています。

中堅〜ベテラン層の出展社の方々は普段経営者として会社を切り盛りされている方がほとんどですがアウェーでも恐れず楽しもう、と自分を鼓舞して参加してくださっている姿が印象的でした。『いくつになってもチャレンジできる』マインドさえあれば何歳だって『初めての自社製品』にチャレンジし新しい世界に触れられるチャンスがあります。持病や足腰の痛みと戦いながら若手に負けじとなんとか頑張っておられました。

町工場プロダクツ 次の挑戦

ー町工場プロダクツとして、次のステップはもう考えていますか?

次は、せっかくBtoCの商材を作っているので、やっぱり直接お客さんに販売してほしいと考えています。催事やポップアップの引き合いをいくつかいただいており、2022年はリアルイベントを町工場プロダクツでやろうと計画しています。

ー身内とか知り合いじゃない、一般のお客さんの顔が見えてくると、新しいことが見えてきそうですよね。

もちろん大変なこととかもあると思いますけど、販売イベントをやると明らかに嬉しいことがいっぱい発生することが見えています。だって、目の前で自分たちの製品を気に入ってくれたお客さんと出会えて買ってもらう瞬間があるんですよ。すごく「認められたな」って感じられる瞬間です。それを直接体感するって、下請けの企業さんはなかなか経験したことがないので、やっぱりそれを体験してもらいたいです。多少のトラブルもあるかもしれないけど、それはそれで素直に受け止めて勉強してもらうことも大事です。小売店に卸したとき、実際に店頭ではそういうことをやってくれていることを知るのも、作る側として認識しておいたほうがいいと考えています。

ーそうですね。どうやって売られているのかとか、どこをお客さんが気にするのかって店頭じゃないと知れないこともあります。

自社ECを運営されている会社さんもいますが、実際に店頭に立って接客して販売するのとは全然違う空気です。あとは、厳しい経験もしてもらうことも大事かなとも考えます。まだまだ商品力が弱かったり、安定しなかったりするので、そこを体感してもらって、その課題に向き合ってもらいたいというのもあります。嬉しいことも、耳の痛いこともお客さんの生の反応を見て、聞いてほしいと考えています。

ーこれから益々大きくなっていくんですね、町工場プロダクツ。

大きく、というと、たくさんの町工場さんに参加してもらって嬉しい気持ちもありますけど、丁寧にこちらも関わっていきたいですし、育っていって欲しいので展示会なら今の体制なら今くらいの規模が精一杯です。メンバーは固定ではなく入れ替わり立ち替わりで挑戦してもらっても良いと考えています。実行委員会のメンバーも固定ではないです。その代わり、絶やさないことが大事だと思っています。

to C向けのリアルイベントでも、ギフトショーのような大規模展示会でもパッと盛り上がって終わっちゃったとならないようにするつもりです。TwitterやInstagramとかのアカウントを今回から立ち上げたのも、継続していく意思があったので作りました。特に物販イベントを開催したときに、店側からは集客力がと売り上げが求められるので、ちゃんと集客ができるように普段から発信し続けていきます。展示会は自分たちで発信をしなくても来場者がいるので賑わいはどうにか作れます。一方、催事や販売イベントは予算設定もあるので事前から宣伝やファンを大事にしながら実際に来てもらえるようにしていかないとですよね。なんだかひとつのお店みたいです。

私としては『町工場プロダクツ』の見せ方に関し、物産展の雰囲気を目指しました。物産展ってすごく人集まるじゃないですか。私も大好きです。今回のブースはスッキリ見せるというよりは、ガチャガチャっと賑わっている雰囲気が出るようにしたのですがそれを百貨店などの催事場にもそのまま持っていきたいです。物産展って、「寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!」の堅くない感じと、その地域に思い入れのある人が集まる感じがいいですよね。自分や両親、友達の出身地とか、旅行に行った思い出があるとか。そういう場所とか地名の持つ力みたいなのって結構大きいと考えます。それを町工場に置き換えて「これ〇〇県で作っています〜」、「俺も〇〇県出身!」みたいに盛り上がれたら自分の町のアピールにもなりますしね。今後は、よりそういう「物産展感」を強めていきたいと思っています。楽しみにしていてください。

町工場プロダクツ 出展者一覧

今回、各社が掲げた出展テーマと共にご紹介します。(順不同)

町工場 × 愉しむメタル
株式会社栗原精機(埼玉)

町工場 × 缶
側島製罐株式会社(愛知)

町工場 × アウトドア
八王子工材株式会社(東京)

町工場 × スピーカー
株式会社シマワ(東京)

町工場 × アウトドア
有限会社小沢製作所(東京)

町工場 × 茶筒
ハタノ製作所(東京)

町工場 × 昆虫ワールド
有限会社大竹製作所(埼玉)

町工場 × 贈りもの
株式会社三共(埼玉)

町工場 × アート
株式会社積誠庵(静岡)

町工場 × ワクワク♪
株式会社パーツ精工(埼玉)

町工場 × アウトドア
有限会社泉和鉄工所(大阪)

町工場 × Hobby
有限会社山脇バネ製作所(滋賀)

町工場 × ふたりキャンプ
株式会社松長鐵工(宮崎)

町工場 × レーザー
株式会社レーザックス(愛知)

町工場 × かやり
有限会社宮本工業(埼玉)

町工場 × 文具
株式会社藤沢製本(滋賀)

町工場 × コロナ対策
有限会社大高製作所(神奈川)

町工場 × ドリッパー
株式会社エムエスパートナーズ(神奈川)

町工場 × デザイン
Pit-A-Pat(東京)

町工場 × ペーパークラフト
W2SSTUDIO(埼玉)

町工場 × アウトドア
株式会社小沢製作所(東京)

町工場 × ケズリダシ雑貨
斉藤製作所(茨城)

町工場 × デザイン
ECBB株式会社(東京)

町工場 × 自空感
株式会社TEKNIA(愛知)

町工場 × 鉄のロジー
郡山テックブートキャンプ2021
福島県郡山市産業創出課

町工場 × デザイン彫刻
植木製作所(東京)

まとめ

各社さんのことが知りたい、今後が気になるという方は、町工場プロダクツのTwitterアカウントからまずはチェックしてみてください。
@machikoba_pro
コロナ禍を経て、オンラインの繋がりが強まったこともあり、さまざまな取り組みが行われるようになりました。地域や昔からの繋がりから、ぐっと手を伸ばせる相手が広がったと言い換えられるかもしれません。これからの町工場プロダクツをはじめとした、町工場の活躍が楽しみです。

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