Web広告のタイプ別費用相場と外注費

【執筆者紹介】椎名真弓
この記事の執筆者
椎名真弓
フリーランス・マーコム・サポーター
執筆テーマ:IT、製造にかかわるマーケティング全般

【経歴】
20年超にわたり、半導体・ディスプレイ関連のマーケティング業務に従事。市場分析から戦略立案、販売促進まで幅広い業務に携わった経験がある。現在はフリーランスにて中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っている。
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マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はWeb広告の費用相場や外注費をテーマに取り上げたいと思います。Web広告は、低額予算からはじめられることや、即効性があること、細かいターゲッティングができることなど様々なメリットがあります。特に予算がかけられない中小企業にとっては、むしろ大手よりも活用しやすいものといえるでしょう。

ただし、初めるにあたってハードルが高いのも事実です。Web広告の専門知識がなかったり、担当者をアサインするリソースがなかったりといった課題にぶち当たります。広告運用を外注するにしても、「なににどのくらいの費用をかけたらよいのか」と悩む担当者も少なくないかもしれません。

そこで、本記事では、広告の主なタイプ別の費用感と外注費について解説いたします。

タイプ別のWeb広告費

Web広告は、広告の種類と課金形態で費用が異なります。広告の種類としては、純広告、検索広告、動画広告、SNS広告などがあり、課金形態では、インプレッションや、クリックが発生する都度課金される方式や、PVや掲載を保証するものなどさまざまです。

主な広告の種類と課金形態について表にまとめておきます。

広告の種類 課金形態 価格相場
純広告 期間保証型課金
インプレッション課金
期間保証型では、数万円~/週、インプレッション型では10円~/1000回
検索(リスティング)広告 クリック課金 1クリックあたり10円~数千円
動画広告 再生課金
インプレッション課金
クリック課金
各々単価10円~数百円程度
アドネットワーク

(ディスプレイ)広告

クリック課金 1クリックあたり10円~数百円程度
SNS広告 インプレッション課金
クリック課金
1クリック or 1000インプレッションあたり10円~数百円程度
メール広告 配信課金 1配信あたり5円~数十円程度

表1 主な広告の種類と課金形態

広告タイプによって、費用のかかり方が大きく異なります。以下に、主な広告タイプについて解説いたします。

純広告

純広告は特定のメディアが提供する広告枠を買い取るものです。課金方式には、広告配信期間を保証する「期間保証型」と広告の表示回数で課金する「インプレッション型」があります。金額相場は、期間保証型では、数万円~/週、インプレッション型では10円~/1000回となります。

検索(リスティング)広告

検索広告は、Googleなどの検索エンジンでユーザが検索するキーワードをトリガーに広告出稿されるものです。1クリックあたりいくらの費用がかかる「クリック単価制」となっており、広告が表示されただけでは費用は発生しないのが特徴です。検索キーワードのクリック単価は入札制となっており、人気度/競合度によって10円~数千円と幅があります。

動画広告

動画の再生途中などに流れる広告です。バナー広告のようにYouTubeサイトの右側に置かれるものもあります。動画広告の課金方式は、再生数、インプレッション、クリックの3種類です。再生数の場合、1回再生されるごとに課金となりますが、一定秒数経過しないと課金対象にならない仕組みです。例えばYouTubeの場合、30秒以上再生すると課金されます。

費用相場は、プラットフォームによりますが、おおむね10円~数百円程度です。

アドネットワーク(ディスプレイ)広告

アドネットワーク広告は、複数の広告媒体(Webサイト、SNS等)を集め広告配信ネットワークを作り、まとめて配信する広告手法です。多くの媒体で効率的に広告が出せる反面、意図していないサイトに広告が表示されることもあります。検索広告同様、クリック単価制で、金額相場は、1クリックあたり10円~数百円程度です。

SNS広告

SNS広告は、Twitter、Facebook、InstagramやTikTokの投稿フィードに表示するなどの方法で配信する広告です。SNSページの右側の固定場所に出るバナー広告タイプや動画広告など様々な手法があります。課金方式は、主にクリック課金型とインプレッション課金型の2種類。費用相場は1クリック、あるいは1000回表示で 10円~数百円程度になります。

メール広告

電子メールで広告を配信する手法です。メルマガのコンテンツ内に広告文を挿入するタイプと、1通丸ごと広告を配信するタイプの2種類あります。1通いくらの配信課金型で、1通あたりの費用は5円~数十円程度です。

Web広告の費用対効果

Web広告はたくさんの手法があり、選ぶ媒体によっても費用対効果は大きく異なります。

  • ターゲットがどこにいて、どんな関心を持っているのか、
  • ターゲットがどの検討ステージにいるか

狙いたいターゲットの状態に合わせて、どの媒体でどういう広告を打つか決めることで費用対効果が高くなります。ここでは、ターゲットが顕在層か、潜在層にわけて一般的に効果的な手法をご紹介します。

顕在層に働きかけ行動喚起したい場合

購入する商品を探している顕在層にアプローチしたい場合、一般的に効果が高いのが検索広告です。ユーザが商品を探す際に使うキーワードを対象に、購入を促すランディングページを用意することで費用対効果が高くなります。また、関連する商品コンテンツの閲覧者に対するリターゲティング広告も有効です。

潜在層に働きかけ行動喚起したい場合

商品を知らない、漠然とした関心しかない潜在層に働きかけたい場合、検索広告は効果的ではありません。まずターゲットの悩みや関心を掘り起こして気づいてもらうことが必要になります。

その場合、ターゲットがよく見るサイトやSNSが何かを事前に仮説をたてておくことが重要です。媒体がある特定のメディアなら、そのメディアへの純広告が有効になります。例えば、自動車関係の技術者や自動運転に興味がある人に対しては、彼らが常日頃読むであろう自動車エレクトロニクスやAI関係の専門メディアへの広告が有効となります。

一方、対象のニーズが漠然としている場合、記事広告などで問題提起するのも費用対効果が高い施策となります。メディアが不特定多数なら、アドネットワーク広告で関連するWebサイトに広告出稿するのも有効です。

Web広告を外注する場合の費用・効果

Web広告は専門知識が必要であり、運用工数もかかってしまいます。広告の最新手法やトレンドを常に押さえておく必要があり、自社内で運用が難しい場合もあるでしょう。そうした状況では、社内で検討するよりも、外部の広告会社に委託する方が短期で成果をあげやすいといえます。

外部に委託するメリットは、運用の手間が省けるだけではありません。広告会社は多くの企業を運用した実績があります。広告のノウハウもあり、最新のトレンドもおさえています。そのため、自社内で運用するよりも費用対効果が高くなる可能性があるのです。広告の運用だけでなく、コンテンツの制作までまとめて依頼できるのも魅力のひとつでしょう。

Web広告の外注費用

では、具体的にWeb広告を外注する場合、どのくらい費用が必要になるのでしょうか?Web広告では、個々の広告の運用代行だけを行うケースと、制作物まで含め企画から運用進行管理まで総合的に行う場合があります。

個々の運用代行の場合、費用相場は、広告費の20%が多いです。ただし、業者や広告運用金額によって異なり、中には10%程度で運用したり、定額制のサービスを実施したりしているところもあります。

コンテンツ制作物まで含め依頼する場合、別途コピーライティングやコーディング、バナー画像制作料金が上乗せされます。こうした制作物は、内容や業者によってまちまちです。例えば広告ランディングページの場合、10万円~数十万程度かかるでしょう。

外注に依頼する際、注意したいこと

一方、Web広告を外注することのデメリットもあります。ひとつは、外注頼みになってしまい自社にノウハウがたまらないことです。そのため、ずっと外注にお願いし続けなければならず、長期的にみると費用対効果が悪くなる可能性があります。

中には料金をかさ上げするために、不必要な提案を盛り込んでくる業者もいるかもしれません。自社にノウハウがないと、そうした提案の要不要を見極めることも困難になります。

もうひとつは、自社の製品サービス領域に対する専門性の問題です。外注先の中には、自社のビジネス領域について広告運用の実績が少ない企業もあります。その場合、運用担当者が業界や製品サービスへの知識がないことが多々あります。

その場合、適切でない広告クリエイティブで運用されてしまい、費用対効果が下がってしまうリスクがあります。自社のテーマでどの程度実績があるか確認しておくといいでしょう。

まとめ

Web広告は、広告の種類や課金形態としてさまざまなものがあります。効果的に広告を打つには、ターゲットや目的によって使い分ける必要があります。ターゲットの興味関心や検討ステージに合わせて、費用対効果の高い、広告手法・媒体を選ぶ必要があります。

Web広告の浅い企業の場合、自社で運用するには、担当者の専門知識やリソース不足など様々な課題もあります。外注を活用することで、ノウハウや最新トレンドを取り入れることができ、効率的に成果をあげやすくなるでしょう。

一方、外注に丸投げにしてしまうと、かえって費用対効果が悪くなるリスクもあります。運用会社の実績・専門領域をしっかり見た上で、外注任せにせず、自社でもしっかり検証できる体制を構築することが重要です。

この記事の執筆者
椎名真弓
フリーランス・マーコム・サポーター
執筆テーマ:IT、製造にかかわるマーケティング全般

【経歴】
20年超にわたり、半導体・ディスプレイ関連のマーケティング業務に従事。市場分析から戦略立案、販売促進まで幅広い業務に携わった経験がある。現在はフリーランスにて中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っている。
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