日本企業の海外進出時の課題・解決策・事例5選

テクノポートの稲垣です。この記事は、以下のような課題を抱えている方に読んでいただきたい内容になります。

▶︎海外進出する日本企業の数はどのように変化しているのか?
▶︎日本企業が海外進出時に直面する課題は?
▶︎それらの課題の解決策は?

そこで、この記事では以下の内容について解説します。

・海外進出する日本企業の数の推移
・海外進出する日本企業が直面する課題
・課題を解決するための解決策と解決した事例

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日本企業が海外進出に際して抱える3つの課題

日本企業が海外進出の際に直面する3つの課題を説明します。これらの課題は、弊社のお客様にインタビューをさせていただいた内容を参考にしています。

①市場の選定

世界中の国と地域の中から「自社の製品・サービスの需要が見込める市場を絞り込む方法がわからない」という課題です。具体的には、以下のような課題が当てはまります。

・自社の製品、サービスが海外で需要があるのかどうかがわからない
・自社の競合・顧客となる企業が多く集まる地域がわからない
・自社と同じ業種、業界でオンライン上で競合となり得る企業がわからない
・海外の競合他社と比較したときに、自社製品の強みが何かわからない
・世界中の企業と取引を拡大するべきか、ある程度ターゲットを絞った方がいいのかわからない

海外の市場の選定方法は、こちらの記事にて詳しく解説しています。

②社内体制の整備

「社内体制」とは、具体的には以下のような業務を行える体制のことを指します。

・貿易の実務作業を行える人材の確保、貿易実務の実行
・料金回収の実務(例:信用状の作り方)
・取引相手の与信管理
・外国企業との取引におけるリスクマネジメント(例:法律リスクの管理、契約書の作成方法)
・外国企業からの問い合わせに対応できる人材の確保
・自社製品・サービスが海外で問題を起こしたときの顧客対応

これらの業務は社内に「外国企業との取引に関する専門知識を有する人材」と「語学力を有する人材」を確保していないと、実現が難しいため、国内の企業とのみ取引を行なってきた企業の多くが直面する課題であると言えます。

また、これらの取引体制の整備に加えて、外国企業との取引には法律上のリスク(例:法の未整備、外資規制)、カントリーリスク(例:進出先の経済状況の悪化、テロ、内乱)がともなうため、これらの問題への対処方法も考えておく必要があります。

③取引拡大の方法

「外国企業とどうやって取引を拡大させたらいいのかわからない」という課題です。具体的には、以下のような課題が当てはまります。

・自社の製品、サービスの販売を代行してくれる代理店の見つけ方がわからない
・海外展示会に参加を考えているが、どうやって取引企業・販売代理店を見つけるのかわからない
・外国企業との取引拡大をする方法は知っているが、どの方法が自社に適しているのかわからない
・外国語のWebサイトは持っているが、海外の企業からお問い合わせが来ることはほとんどなく、どうやって反響を出せばいいのかわからない

海外に自社の製品・サービスを売るためには、貿易を通した取引を行う場合は「取引を行なってくれる外国企業」、現地で製品を売る場合は「販売代理店」を見つける必要があります。

また、これらの方法で取引を行うにしても、複数ある手法の中からどの方法を採用するのかを検討する必要があります。(海外進出の方法については、こちらの記事を参照してください)

海外進出後に起こり得る「失敗」はこちらの記事で詳しく解説しています。

課題の解決策

次に先に挙げた3つの課題の解決方法を3つ紹介します。

①海外進出支援サービスの活用

これは、先に挙げた課題の中でも「②社内体制の整備」と「③市場の選定」の解決策となり得る方法です。例えば、以下のような利用法が考えられます。

・海外企業との取引業務、リスクマネジメント業務を代行してくれる社外の専門業者(副業人材)に外注する
・海外進出先の選定、拠点設立に関して専門家から助言をもらう
・進出先で販売ネットワークを持っている販売代理店に製品の販売、顧客対応、料金の回収を依頼する
・国際展示会の出展支援サービスを活用する

これらの方法の共通のメリットは、海外進出に必要な自社の人材・労力の使用を最小限に抑え、外部のプロフェッショナルのノウハウ、労力を活用できることです。

したがって、前者のメリットは社内の人件費の節約、後者のメリットは海外進出の成功確率向上につながることだと言えます。

一方で、これらの方法の共通のデメリットとして、外注するための費用がかかることが挙げられます。そのほかに外注先の候補となる企業の選定、そもそもの外注するべきサービスの選定にも、時間と労力をかける必要があります。

②国際展示会への出展

これは、先に挙げた課題のうち「②社内体制の整備」、「③取引拡大の方法」の解決策となり得る方法です。例えば、以下のような利用法が考えられます。

・自社の製品、サービスに興味を持ってくれるお客様を発掘する
・自社の製品、サービスの販売代理店の候補を発掘する
・自社と海外で協業、パートナー関係を結ぶ候補となる企業を発掘する

国際展示会へ出展する最大のメリットは、海外の顧客開拓と同時に、販売代理店の候補を発掘できる点です。

というのも、国際展示会には新しい商材を探している小規模な商社や販売代理業者も数多く来場しているため、それらの業者に向けて発信をすれば、彼らの興味を引くことができます。

したがって、展示会に出展する際は必ず目的を明確に設定し「どのターゲットに向けて情報発信をするのか」をあらかじめ設定しておく必要があります。ターゲットが決まったら、そのターゲットに向けた文章(例:〜の地域における販売代理店募集)を掲載する必要があります。(海外展示会で代理店開発をする詳しい方法は、こちらの記事をご参照ください)

一方で、国際展示会へ出典するデメリットは、出展のための費用と労力がかかることです。

国内で開催される展示会と比べても、外国語での資料の準備、外国への渡航費・機材の輸送費(外国で開催する場合)、外国語対応できる人材の準備を行う必要があります。

③外国語Webサイトの制作・運用

これは、先に挙げたすべての課題(「①市場の選定」「②社内体制の整備」、「③取引拡大の方法」)の解決策となり得る方法です。例えば、以下のような利用法が考えられれます。

・外国企業からの直接の問い合わせを獲得する
・世界中に情報発信を行うことで、自社の製品・サービスに興味を示してくれる企業が多い場所、需要が見込める地域を発見する
・進出先の言語でWebサイトを制作し、信頼の構築、現地企業との取引獲得の確率を高める
・外国人の採用力を強化し、社内で外国企業への対応を完結させる

外国語Webサイトの制作・運用を行う最大のメリットは、比較的低予算で新規顧客の開拓、進出先の候補となる市場の発掘を行えることです。加えて、外国語Webサイトを外国人労働者の求人用に活用することもできるため、社内で外国語に対応できる人材を揃える上でも役に立ちます。

一方で、外国語Webサイトの制作・運用を行うデメリットは、制作・運用にある程度の知識とノウハウがある人材を揃える必要になります。そのため、そもそもWebサイト制作のノウハウに加えて、外国語への翻訳作業が発生することが大きな理由です。

また、制作だけは自社で行うことができても、実際に成果を上げるための作業にも専門的な知識が必要になるため、自社でWebサイトの運用に詳しい人材がいない場合は、業者に外注する必要があると言えます。

加えて、お問い合わせに外国語で対応する人材、貿易実務の対応は社内で行う必要が生じます。これらの業務に対して社内体制の準備が整っていない場合は、自社で完結できない業務のみを「①海外進出支援サービスの活用」で補う必要があります。

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海外進出における課題を解決した事例5選

次に、海外進出における課題を解決した事例を5つ紹介します。

①株式会社メルテック

本社 千葉県流山市
社員数 100名
事業内容 フォトエッチング加工、エンコーダ用スケールの設計、製造、販売
取材記事 英語サイトで「海外の新規顧客開拓」と「製品の需要調査」を実現

同社は、海外との貿易業務、外国語対応できる人材は有していましたが、海外の新規顧客の開拓に課題を抱えていました。

そこで、英語サイトの制作・運用に本格的に取り組んだ結果、現在では安定して月に7~8件のお問い合わせを獲得できています。

また、英語Webサイトを経由したお問い合わせを通して、自社の製品・サービスに対する海外の顧客の需要を把握することにも役立てています。

②株式会社大武・ルート工業

本社 岩手県一関市
社員数 49名
事業内容 医療用機器の製造、スポーツ機器の製造販売、小型産業機器などの製造販売
取材記事 海外展開成功事例集|JETRO

同社は1992年に開発に着手した「レール式ネジ供給機」の販路をさらに多くの国へと拡大する上で、現地への進出が必要だと感じていました。

そして2019年2月に米国拠点を開設し、北米への販路拡大に成功しました。同社は米国への進出のみならず「越境EC」を活用し、国内がへの販路開拓に成功しています。

③引地精工株式会社

本社 宮城県岩沼市
社員数 70名
事業内容 生産ラインの構想、設計、部品製作、組立、設置、メンテナンス/ 治工具設計製作、部品単品加工、他
取材記事 海外展開成功事例集|JETRO

同社は業界内の国内大手企業が供給先を海外へとシフトする流れを感じており、国内の需要が今後も低迷することを懸念し、海外展開を考えていました。特に中国、ベトナム、タイなどへの海外展開に可能性を感じてはいたものの、失敗リスクに対する不安が大きく海外進出に踏み切れないという課題を抱えていました。(海外進出にともなうリスクはこちらの記事で詳しく解説しています)

しかし、海外進出のための事前調査や海外進出支援機関からの支援を継続的に受けることで、2016年にタイへの進出を実現させました。進出に成功した今では、国内では顧客になり得ないような大手企業との取引を順調に拡大しています。

④株式会社久力製作所

本社 茨城県行方市
社員数 68名
事業内容 レバーハンドル、ドア金物、引き戸金物、収納金物、 浴室・洗面トイレ用アクセサリーの設計開発・製造および販売
取材記事 海外展開成功事例集|JETRO

同社は、日本国内の人口減少、世帯数の減少にともなう国内需要の低下を懸念し、海外への事業展開を検討していました。

そこでシンガポールのホテル市場にターゲットを絞り、現地で行われた国際展示会へ出展し、現地の顧客が自社の商品に対してどのような反応を示すのかを調査しました。結果として現地での市場調査を行っただけでなく、現地での商談の獲得にも成功しました。

⑤株式会社ケーエムエフ

本社 東京都港区
社員数 168名
事業内容 金属製品(鋼製型枠など)製造業
取材記事 海外展開成功事例集|JETRO

同社は元々100%国内向けにコンクリート製品用の鋼製型枠を製造していました。同社はインドネシアからの技能実習生を積極的に採用しており、彼らのまじめな仕事ぶりに感心し、インドネシア現地への事業展開を考え始めました。

海外の市場調査では、インドネシアにおいては中国製やタイ製のコンクリート製品が主なシェアを獲得していることがわかり、これらの鋼製型枠が使い物にならず困っている企業がいる、という情報を得ました。

そこで2017年12月に合弁でインドネシア法人を設立し、現在では同社を通してサモア、バングラディシュからも案件を獲得しています。

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統計情報

ここでは、海外進出する日本企業の数の推移を調査した結果を紹介します。(製造業の海外進出事情はこちらの記事にて詳しく解説しています)

海外進出の日本企業拠点数の推移

下のグラフは、外務省の「海外在留邦人数統計」のデータを用いて、海外の日本企業の拠点数を地域別にまとめたグラフです。

データ引用元:統計表一覧(令和2年(2020年)以前)|外務省

こちらのグラフを見ると、どの地域においても(多少の増減はあるものの)日本企業の拠点数は増え続けていることが確認できます。この結果から、日本企業の海外進出への機運は年々高まっていることが予想されます。

海外の日本企業拠点数の年成長率の推移

下の図は、それぞれの地域の拠点数の年成長率の推移を表すグラフです。

データ引用元:統計表一覧(令和2年(2020年)以前)|外務省

こちらのグラフを見ると、中南米に進出する企業の成長率が大きく伸びていることが確認できます。この要因として、中南米の自動車市場向けの工場建設や、生産設備の拡大が考えられます。(参考:「2019年度 中南米進出日系企業実態調査」の結果について | 2020年 – 記者発表 – お知らせ・記者発表 – ジェトロ

地域別の日本企業の拠点数の割合

また、下の図は、2020年10月時点の地域別の日本企業の拠点数の割合を示したグラフです。


データ引用元:統計表一覧(令和2年(2020年)以前)|外務省

こちらのグラフを見ると、海外の日本企業の拠点の約7割がアジアに位置していることがわかります。これは、中国をはじめとする新興国市場の急成長が関係していると考えられます。

参考記事

まとめ

本記事では、以下の内容を解説しました。

  • 海外進出する日本企業の数:どの地域においても、日本企業の拠点数は増加傾向、2020年10月時点ではアジアが全体の7割
  • 日本企業が海外進出において抱える課題:①社内体制の整備、②取引拡大の方法、③市場の選定
  • 課題の解決策:①海外進出支援サービスの活用、②国際展示会への参加、③外国語Webサイトの制作・運用

海外進出における課題解決に、本記事の内容が参考になれば幸いです。

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