情報発信が取材に繋がる ハタノ製作所の「広報」を聞く

テクノポートの菊地です。2020年からのコロナ禍を経て、情報発信に積極的に取り組む企業が増えています。その傾向は製造業でも高まっており、ブログやオウンドメディア、SNS、プレスリリースなど様々な手段が用いられています。情報発信の目的は会社や方法によって異なると思いますが、今回は私が「広報」の視点で情報発信に工夫されていると感じていた、「ハタノ製作所」の波田野さんにお話を伺いました。

広報ってどういうこと?という方は、こちらの記事がおすすめです。

ハタノ製作所について

引用:ハタノ製作所Webサイト

ハタノ製作所は、東京都大田区京浜島に拠点を構える2020年10月に創業したばかりの町工場です。TIG溶接を主とした金属加工をおこなっていますが、特筆すべきは従来の溶接工の枠組みに捉われない様々な分野での活動、コラボレーションではないでしょうか。

地域のメディアに留まらず、NHKの首都圏ネットワークや美術手帖など数多くのメディア露出を叶えています。

【主なメディア実績】
NHK総合 首都圏ネットワーク「町工場 若手職人の挑戦」
首都圏ニュース 生活情報
美術手帖  「町工場とクリエイターの協働から生まれる「遊具」とは? 大森のKOCAで「ラウンドテーブル2020」が開催」
「KOCA」Youtubeチャンネル

代表 波田野哲二さん

1986年東京都大田区生まれ。工業高校卒業後、一般企業で5年、大田区の溶接工場で10年勤続を経てハタノ製作所を創業。TIG溶接を主とした金属加工を行い製造業の仕事に加え、デザイナー・アーティスト向けに金属製品の少量受注生産及び工場見学&溶接体験の受け入れを行なっている。デザイナーユニットYOCHIYAと協働し、溶接の繊細さを活かしたプロダクト「SUS 50A」を開発。おおたオープンファクトリーをはじめとした大田観光協会の各種イベントに積極的に協力をしている。町工場の若手職人を集めたコミュニティを作り、自身が主催する「#町工場LT」で要素技術の魅力を伝える活動を行っている。キャッチコピーは「人を繋ぐ溶接工」。
Twitter:@hatano_work

伺ったお話を5つの項目でご紹介していきます!

①広報活動に取り組んだ背景

現代美術家 金子未弥さんとの協働作品  ガードレールを溶接している

ーメディアに取り上げてもらおう、とか広報活動しようと感じたきっかけを教えてください。

実は、「広報をしないと」とか「メディアで取り上げてもらうために何かしよう」という狙いで情報発信に取り組んでいたわけではなくて。もともとは広報しようとかってイメージではなかったんです。

ーそうだったんですね。 Twitterを使ってらっしゃると思うのですが、いつから使っていますか?

2018年ですね。創業するよりも前に、閉鎖的な町工場から他の会社さんがどんなことをやっているのかとかを情報収集するためにTwitterをはじめました。最初は大田区の町工場の人です、みたいな匿名アカウントでしたね。とはいえ見るだけだとつまらないので、アットカマタさんの「おおたオープンファクトリー」とかそういうイベントがありますよとか信頼性のある発信をしながら、他の工場の方はどういうふうに思ってるのかなというのを知りたくて少しずつ交流をしていったというのがはじめです。
もちろんものづくりのことを広く色んな方に知ってほしいという気持ちもありますし、情報発信しないといけないとは思っています。

ー情報収集やコミュニケーションの手段としてTwitterを使っていたんですね。

そうですね。その時はまだ、独立する前だったというのもあって自分の会社の宣伝がしたいというよりは、個人として他の人のお話を聞きたいとか、どんなことをやっているか知りたいという感じでした。

ー先ほどの「広く知って欲しい」というのは製造業の人に限らずですか?

はい。製造業の方向けではなくて一般の方とかクリエイターの方とかに溶接やものづくりについて何か気付いてもらえるような発信の仕方をするように心がけてます。そういう意味では差別化しながら発信しているっていうんですかね。他の人がしないことをやるっていうのがあるので、それがうまくメディアの方々の目に留っているんじゃないかなと思ってます。

ー広報的ですね!波田野さんの投稿ってあまり宣伝ぽさがないですよね。製造業の方同士で専門的な話題で盛り上がったりするのはよく見かけますが、一般の人に知って欲しいというのはなにかきっかけがありましたか?

創業前になるんですけど、おおたオープンファクトリーというイベントに参加して工場見学で一般の方を受け入れたんですね。閉鎖的な町工場が当たり前だと思っていたんですけど、地域の方とか街づくりを学んでいる大学生とか、本当に色んな方が来てくれたんです。その時に僕が溶接しているのを見てた小さい男の子が「お兄さんかっこいい」って言ってくれたのがすごく嬉しくて。もっといろんな人に溶接に限らないんですけど、町工場の人や技術を知って欲しいと思ったんです。

②取材獲得のための工夫

ーいろんな人に知ってもらうためにメディア露出は良い手段だと思います。NHKなど取材を受けてこられてますが、「僕こういうことやってるんですけど、取材しませんか!」とかって連絡したりしてるんですか?

それが全部受け身で…。メディアの方からお声掛けいただいて、という感じですね。

ーうらやましい…。先ほどおっしゃっていた「広く知って欲しい」という情報発信の仕方が広報の要素なので、きっとそれが目に留まるんですね。

別に僕は世界一溶接がうまいわけではないので、その溶接工がどう生き残っていくかと考えたときに、他の人がやらない領域に手を伸ばしていくことと、相見積もりとかで同じ金額とクオリティの時に波田野にやって欲しいよねと思ってもらえるようにならないといけないとずっと思っていて。情報発信していたこととか、クリエイターさんとのものづくりとか色々取り組んできたことが見つけてもらえたり、KOCA(大田区のインキュベーション施設)のインタビューに喜んで出してもらったりとか。

ー差別化、とも言えますね。

あと、町工場さんってお客様の製品を扱っているので機密情報があったり、そもそもテレビとか出たくないと思っていたりする方もいると思うので断っちゃったりするかもしれないですよね。その点、僕は情報発信をするべきだと思ってますし、今のところ機密に触れるものもないので来ていただいた時に見せられるような準備はしてありますね。心構えと言いますか。これからはプレスリリースを書いたりもしていきたいので、勉強しているところです。

③取材やメディア露出で困ったこと

ーときどき、自分の発言が意図しない方向性で取り上げられてしまった、という話を耳にすることもあるのですが、取材を受けたことで困ったり嫌な思いをしたことってありますか?

全然ないんですよ。「幸せ!ボンビーガール」でクレープ食べてたっていじられるとか?笑

すごく皆さん私の気持ちを汲み取ってくれて、丁寧に報道してくれました。放送前も、どういう意図でその発言をしたかを誤解されないように何度も確認してくれたり。やろうとしていること自体がちょっと変わっていることというのもありますし、町工場が衰退しているとかネガティブな業界のイメージがある中で、何かやろうとしている人と取材していただいているので、最終的な着地点が明るい方向になっていて、そこに助けられている部分はあると思います。

④メディア露出をしてよかったこと

SUS 50A: 溶接の技術とビート(溶接跡)の色目の美しさを活かしたステンレス茶筒

ーTVやWebメディアに出てよかったこととか、反響も教えてください。

結構色々あって、まず、妻のご両親がNHK見てくれたんですけどすっごい喜んでくれました。あとは加工をお願いしている町工場の会長の奥様からも「NHK見ましたよ」って言っていただいたりとか。

ーいいですね。嬉しい。

NHKで取材していただいた時は社名とかは出なかったんですけど、名前で検索してくれたみたいで、直接の問い合わせが多かったですね。あと、メディア露出ではないんですけど「波田野さんいつもTwitter見てます!」って言われて驚いたらある企業の「中の人」でした。いや、ありがたいですね。

⑤今後のハタノ製作所

ーこれから出演したいメディアや取り組んでいきたいことはありますか?

そうですね…、一般の人向けに製造業や金属加工で新しく取り組んでいることを取り上げてもらえると嬉しいです。そもそも製造業を盛り上げないといけないし、素晴らしいと思っているイベントの紹介したり、イベントがなくても技術は伝えられるのでそういうのを発信したりはこれからもしていきたいですね。

広報のテーマで言うと、僕は「日本一話しかけやすい町工場の職人」を目指しているので声かけていただければ基本的には断らないようにと思っていたんですよ。ただ、一緒にステンレス茶筒に取り組んでいるクリエイターの方が、世界観とかブランディングとか含めてゆくゆくは世界に届けたいねと企画してくれていて、そういうことも考えると出す部分は選ばないといけないと改めて思いました。

WBSのディレクターの方が書いた本に、例えばバラエティとかに出てしまうと経済番組には呼ばれなくなってしまうと言うようなことが書かれていたのもありますね。Twitterの見せ方も気をつけているんですけど、メディアに出る時も同じようにブランディングとか考えていきたいです。

まとめ

今回は、広報や情報発信についてハタノ製作所の波田野さんにお話を伺いました。他の人がどう考えているか知りたい・情報収集がしたいというスタートや、製造業に関わる人に限らず広くたくさんの人に町工場のことを知って欲しいという気持ちは、PR(パブリックリレーション)そのものでした。製造業への考えやTwitterへの姿勢から趣味など、書ききれないほどたくさんのお話をお聞きしたので、また別の機会にお伝えできたらと思います。

波田野さん、ご協力いただきありがとうございました。

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