コンテンツマーケティングのネタの探し方

【執筆者紹介】椎名真弓
この記事の執筆者
椎名真弓
フリーランス・マーコム・サポーター
執筆テーマ:IT、製造にかかわるマーケティング全般

【経歴】
20年超にわたり、半導体・ディスプレイ関連のマーケティング業務に従事。市場分析から戦略立案、販売促進まで幅広い業務に携わった経験がある。現在はフリーランスにて中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っている。
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マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、「コンテンツマーケティング」における現場担当者のよくある悩みについて取り上げました。

オウンドメディアやブログの担当者が日々頭を抱えるのが「コンテンツのネタ探し」です。

「コンテンツの質」がサイトの価値を決めるといっても過言ではないため、ネタ集めは重要な位置づけにあります。しかしながら、読者の悩みに刺さるコンテンツを量産し続けるのは容易なことではありません。外部のライターに執筆を依頼するにしても、ネタ出しの部分まで一任してしまうと、目的・意図から外れた内容になってしまい、成果をあげることが難しくなります。

B2B製造業における「ネタ探し」の課題

コンテンツのネタ探しは、B2CでもB2Bでも大きな課題ですが、B2Bのほうが、ハードルが高いかもしれません。B2B製造業では、オウンドメディアのターゲット層として顧客企業の技術者を想定している企業が多いです。しかしながら、以下のような課題があります。

顧客の生の声を聴く機会がない

B2Bの場合、顧客企業との接点があったとしても、実際に顔をつきあわせて話ができる人間は限られています。現場の開発エンジニアと直接会話できる機会はなかなかありません。また、開発状況はクローズドなので、リレーションが薄い顧客がどのような課題を抱えているのか、今何に関心をもっているのかを把握することはとても難しいでしょう。

部門間の情報共有/連携が不足しがち

コンテンツマーケティングは、主に広報宣伝やWeb関係の部署に在籍する人間が担当しています。こうした部署では、そもそもあまり顧客との直接のやりとりがありません。縦割り組織の弊害で、顧客と直接接する営業部門との連携がうまくいっていないケースも多く、情報が共有されないこともあります。

もちろん、こうした問題に対して組織の垣根を取り払い、横断的な体制を構築して問題解決に取り組めている企業もあります。しかしながら、こうした取り組みを実現するには、複数の組織の協力体制が必要です。各部門の理解を得るまでに時間もかかるかもしれませんが、中長期で計画を立てて実現させましょう。

そこで今回は、顧客との接点が少ない、社内協力が得にくい場合でも比較的有効性が高いネタ探しのやり方をご紹介します。

ネタ探しの方法5選

客先エンジニアのニーズは、直接ヒアリングができなくても、Webや社内に蓄積するデータを活用すれば間接的に情報収集できます。ここでは、継続して回せるネタ探しのやり方を5つ紹介します。

キーワードを分析する

BtoB製造業に関連するキーワードは、特殊な単語が多く、一般の方はあまり使いません。つまり、顧客を含めた業界人が、実際にその単語を使って情報収集していると考えます。そのため、自社のWebサイトに来訪するユーザの検索キーワードからSEOコンテンツを作ると、ニーズに刺さりやすいコンテンツができます。

キーワードの情報は、アクセス解析ツールやGoogleが提供するsearch consoleで調べられます。キーワードは、何百、何千とありすべてをチェックするのは難しいため、ボリュームの大きいビッグワードに目がいきがちです。しかし、上位ワードは社名や、誰でも検索する共通の単語ばかりなので、コンテンツマーケティングのネタ探しの参考にはならないかもしれません。

ネタ収集には上位よりもむしろテールを見ることが有効です。テールのキーワードには、いくつかの単語を組み合わせた複合ワードや、ニッチな単語が含まれていることがあります。これらはユーザがピンポイントでその情報を探していると考えられます。検索ボリュームが少なくても、次のアクションにつなげられる確率があると考えてよいでしょう     。

FAQ情報をチェックする

顧客からの問い合わせや意見からコンテンツを作るのも有効です。問い合わせには、顧客が抱える課題やニーズが詰まっています。それらに基づいたコンテンツは、同じ悩みをかかえるユーザによって貴重な情報源です。

顧客の声を拾うコミュニティサイトや質問を募るコーナーを設置するなど、定期的に情報が入ってくるような仕掛けを作るのもよいでしょう。ニーズ収集からコンテンツ制作までを業務フローに組み込むことで、スムーズなサイクルの構築が可能です。

ただし、商材や社内リソースの問題でこうした取り組みを行うことが難しいケースもあるかもしれません。自社での情報収集が難しい場合は、外部のQAサイトを活用するのもひとつの手だと考えます。

製造業向けのサイトとしては「技術の森」が有名です。

引用:https://www.nc-net.or.jp/mori/

このサイトは年間7,000万人が利用する国内最大級のQ&Aサイト【OKWAVEコニュニティー】と連携しており、幅広いテーマに関する質問が寄せられています。検索窓から関連キーワードを入れることにより、どのような質問があるのか 確認できます。例えば、「ロボット 制御」と検索すると、以下のような情報が閲覧できます。

Google Scholarを活用する

コンテンツのネタは、日ごろのニュースや学術論文、特許などから情報を得ることができます。このうち誰もが注目する情報はメディアで取り上げられますが、ニッチな領域はあまりニュースにはなりません。自社に関連するニッチな領域をネタにすることで、濃い潜在層に対してアプローチできるのでおすすめです。

とはいえ、情報量は膨大であり、自社に関係するものを定期的に効率よく入手したいと思う人も多いでしょう。そこでおすすめなのが、Google Scholarでキーワードのアラートを活用するやり方です。

引用:https://scholar.google.com/

Google Scholarは、学術論文や関連書籍、特許、法律関係の情報をキーワードで簡単に全文検索できます。キーワードはアラートを作成できるので、新しい論文が追加されると、自動的にメールで通知をしてくれるので効率のよい情報収集が可能です。

ソーシャルリスニング

B2B製造業では、秘匿性の高い情報を扱うこと多い傾向にあります。WebやSNSで情報発信する内容は公開できる情報だけに限定されてしまいます。そのため、技術者が本当に知りたい情報は、ネットで探すことは難しいでしょう。

しかしながら最近は、徐々にクローズドな情報も見られるように変化しています 。関係者が個人的にSNSで情報発信や情報交換を積極的に行っているためです。開発中の情報が表にでることはありませんが、どのような話題が興味をもたれているのかの傾向を分析できます。ソーシャルリスニングは足元のトレンドをつかむには有効な手段です。

認知喚起にSNSを活用する企業も多いため、どのようなコンテンツが拡散されやすいのかを調査しておくのもよいでしょう。ツールなどを使って、効率的にリサーチすることをおすすめします。

アンケートを実施

最近では、専門家へのヒアリングや、アンケート調査を手軽に実施できるサービスも増えています。これらは有料にはなりますが、効率的に一次情報を取得できます。ここでは代表的な2社のサービスを紹介します。

ビザスク

引用:https://service.visasq.com/

ビザスクは、さまざまなビジネス領域の専門家に1時間からのスポットコンサルを提供するサービスです。登録されている専門アドバイザーは10万人以上で、うち7割は現職に従事されています。キーワード検索でアドバイザーを探すことができ、電話や対面で相談できます。

イプロスリサーチ

引用:https://marketing.ipros.jp/service/ad/research/

イプロスリサーチは、日本最大級のものづくり分野のB2Bデータベースサイトとして知られるイプロスが運営するアンケート調査のサービスです。イプロス会員の中から任意の業種・職種・役職・エリアで絞り込めます。ネットリサーチなので、短期調査が可能です。

まとめ

B2B製造業におけるコンテンツマーケティングのネタ探しは困難ですが、Webや各種ツールを活用することで効率的に情報収集ができます。日ごろからルーチンワークとして収集する習慣をつけておくとよいでしょう。気になったネタはエクセルなどでリスト化しておき、優先順位付けを行っておけば計画的にコンテンツの量産ができます。

テクノポートは製造業の現場経験・工業知識をもつ技術ライターがコンテンツの執筆を対応いたします。ぜひご相談ください。

この記事の執筆者
椎名真弓
フリーランス・マーコム・サポーター
執筆テーマ:IT、製造にかかわるマーケティング全般

【経歴】
20年超にわたり、半導体・ディスプレイ関連のマーケティング業務に従事。市場分析から戦略立案、販売促進まで幅広い業務に携わった経験がある。現在はフリーランスにて中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っている。
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