ホームページ制作案件から反響の出た要因を考察
ものづくり経革広場の井上です。
今回はホームページリニューアルに携わった企業様の公開後の受注動向から成功要因について考察しました。
この記事の目次
企業紹介
今回考察した企業は茨城県にある自動機・専用機の設計製作からメンテナンス、部品加工をメインに行っている会社です。
会社名:株式会社汎用
事業内容:自動機設計製作・部品加工及びメンテナンス
所在地:茨城県稲敷郡
従業員:29名
公開後の反応
ホームページ公開後の問い合わせを多い順に並べると以下の通りです。
- 機械修理・メンテナンス系
- 機械設計製作(その中でも圧入機の問い合わせが非常に多い)
- 部品加工
機械修理での問い合わせが一番多く、その次が機械設計製作です。機械設計製作はなんでも出来るのでもちろんそこをPRしているのですが、限定的に圧入機に関する問い合わせが多いのには理由があります。その理由は後ほどご紹介します。
どこにでも出来る仕事のほうが仕事はある!?
汎用様の例を見て感じることは独自性があるから仕事が来ているわけではないことです。圧入機に関しても装置屋さんであれば作れる会社は多いそうです。「どこでも出来ないような仕事じゃないとなかなか来ないでしょ」とおっしゃる方って多いのですが、私はそんなことはないと思っています。どこにも出来ないような技術の仕事は世の中の仕事のごくわずかで、大半のものはどこでも出来るような仕事で回っているはずです。しかし、どこでも出来るはずの仕事だからこそ受注するには努力が必要です。だからこそ、Webを活用した営業戦略で差別化を図ろうとしているのです。
営業力で差別化を
汎用様の事例から少し話題が逸れますが、一般的な差別化のポイントとして品質、コスト、納期、技術が挙げられると思います。ただ、この領域は製造業の皆様が日々努力して積み上げてきたもののため差別化が図りづらいのが現状です。そこで、少し視点を変え営業力について考えてみると、ここには他社に差をつけるチャンスがあると考えられます。理由として、もともとは営業をする必要がなかった業界だったことと、自社製品を持たない業態のため営業が難しいことの2つの理由があり、それゆえ営業を苦手とする会社が多いためです。この営業力の差によって、同じような設備、技術を持っていたとしても仕事の流れは大きく変わります。仕事がある会社と無い会社の2極化が進んでいる一つの要因もここにあると思います。
用途を限定するだけでも差別化になる
汎用様に話を戻し、具体的なWebでの差別化の方法の一つをご説明します。どこでも出来るはずの仕事を自社に呼び込むには用途を限定した差別化が重要です。同社はどのような機械でも作れます。しかし、なんでも作りますというPRの仕方は顧客にとっては刺さりにくいものです。一人の顧客の用途は一つです。「なんでも機械作って欲しい」と相談を持ってくるのではなく、「この機械を作って欲しい」と相談をしてくるわけです。頼む側の心理として「なんでも作れますよ」よりも「この機械が得意です」と言っている会社に相談したくなるはずです。つまり、たとえ何でも作れるとしても、需要がありそうな具体的なものに照準を絞るだけでも差別化の一要素になるということです。汎用様では機械設計のPRだけでなく、照準を絞り「圧入機」「洗浄機」「アンダーカットマシン」に関してのコンテンツを単独で設けキーワードの対策を行っています。
なんでもやっているという業態から、用途を絞りそれぞれに合わせたコンテンツを用意し個別のニーズに対する訴求を強めることで差別化を図ることが重要です。
更新を継続的に行う意図
いくつかのターゲットを想定しコンテンツを作り、試し、良ければコンテンツを拡充し、反応が悪ければ変更する、といったような更新を続けていけば、効率良くテストマーケティングができ新しい市場の開拓にもつながるはずです。他社にはない技術ばかりを探しても差別化することは難しいですが、市場のニーズや、自社の得意分野に照準を絞ったPRコンテンツを用意することが、Web上では差別化につながることがあります。ただ、気をつけなければいけない点は、他社でも同じような用途の限定的な差別化を行ってくる可能性があるということです。その領域で差別化を図れるように早い段階で実績を作り、ノウハウを貯めることで本当の差別化のポイントを見出すことが必要になってきます。
積極的にホームページの更新を行っていく一つの材料にしていただけたら幸いです。