Webサイト刷新における失敗事例

中小企業専門の弁理士の亀山です。開業して約300社の中小企業様・個人事業主様のご相談を受けてまいりました。今回は、Webサイト刷新における失敗事例についてお話します。

とあるお客様との会話

お客様:以前、ご相談した商標「ESCAPEX」(仮の名前です)のロゴマークですが、無事に登録証が届きました。ありがとうございます。

かめやま:よかったですね。これから、ロゴマークを大切に使ってくださいね。

お客様:はい!せっかくなので、Webサイトも少し変更しようと思っているんです。

かめやま:新しいWebサイト楽しみにしています。

Webサイト刷新!!

それから数か月後。そのお客様のWebサイトを拝見すると・・・。あれ?登録したロゴマークがなくなっている。正確に言うと、ロゴのデザインが大きく変わっている・・・。この文字の崩れっぷりだと、商標権の範囲から外れてしまうかも!?

(イメージです)

お客様へ問い合わせ

かめやま:Webサイトが刷新されましたね!

お客様:そうなんです。社員たちもフレッシュな気分になったといっています。

かめやま:それは良かったですね。しかし、ロゴマーク、だいぶ変わりましたね~

お客様:そうなんです。最初は、サイトのデザインだけと思ったのですが、新デザインに前のロゴマークがマッチしなくなったので、少し変えました。

かめやま:なるほど。少し変えたのですね。

お客様:あれ?なんかまずかったですか?

かめやま:新しいロゴマークですが、先日商標登録したロゴマーク「ESCAPEX」から印象が大きく変わってしまいました。今回の新ロゴマークは、今回の商標権の範囲から外れてしまうかもしれません。

お客様:え?それでは意味がないじゃないですか?

かめやま:ロゴマークを戻すことはできないですか?

お客様:それは、困ったな~。HPデザインもロゴマークも、社員も私も、新しい方を気に入ったいるんですよね。

かめやま:困りましたね・・・そうすると、新ロゴマークについて、改めて調査、そして商標登録を済ませた方が良いです。

商標権の効力の範囲

かめやま:商標権の効力が及ぶ範囲は、登録商標の同一または類似であり、かつ、指定商品等と同一又は類似の範囲となります。今回の場合、登録商標の「ロゴマーク」に対し、新ロゴマークが類似であるか否か?が問題となります。

お客様:商標の類似はどのように判断されるのですか?

かめやま:外観(見た目)・称呼(発音の仕方)・観念(意味合い)の3点から分析する場合が多いです。今回の場合、称呼(発音の仕方)・観念(意味合い)の2点の影響が大きそうです。

称呼

文字部分「ESCAPEX」のうち文字「X」は、装飾の度合が強くなった結果、文字「X」と認識できなくなってしまいました。こうなると、登録商標の称呼「エスケイペックス」に対し、新ロゴマークの称呼は「エスケイプ」となるので、紛らわしいとは言いにくくなります。

観念

登録商標は、「ESCAPEX」という造語であり特定の観念を持たないですが、新ロゴマークは、「ESCAPE(逃げる)」という異なった意味合いが生じます。

このため、新ロゴマークは、登録商標に対して非類似と判断される可能性が高いです。

お客様:え~。なんだか難しいですね。どうすればよいですか?

かめやま:今回の場合、文字部分「ESCAPEX」の文字「X」の装飾が大きく崩れてしまったので、この装飾を弱めればよいと思います。

お客様:なるほど。文字「X」の部分が読み取れる程度にすればよいのですね。商標ってデザインにも深くかかわってくるんですね。

かめやま:確かにそれもあります。しかし、それ以上に、ロゴマーク等の商標は、「お客様の目印」なんですね。では、「お客様の目印」は誰のものですか?

お客様:誰のもの?って、うちの会社のものじゃないんですか?

かめやま:確かに、「お客様のもの」でもあります。しかし、ロゴマーク等の商標が「お客様の目印」である以上、「お客様のお客様」のものなのです。

お客様:え??どういうことですか?

かめやま:なぜならば、「お客様のお客様」は「お客様」を探すために、ロゴマークを目印にしています。肝心の目印となるロゴマークが、ガラッと変わってしまったり、コロコロ変わってしまっては、「お客様のお客様」は「お客様」を探せなくなってしまいます。ロゴマークを変更する都度、大企業のように、広告費をかけて、CMをバンバン打つなんてできませんよね。

お客様:言われてみれば確かにそうですね。商標もロゴマークも、見た目のカッコよさばかり気にしていましたが、「うちのお客様のもの」だなんて考えもしなったです。奥が深い世界ですね。

Webサイトのデザイン刷新の際に失敗しがちなこと

ロゴマークは誰のもの?

ロゴマークは、「お客様のお客様」が「お客様」を探すための目印です。その目印として機能するよう、そして、「お客様のお客様」が「お客様」をすぐに探せるようにしておくことが望ましいです。そうすると、ロゴマークとしては、「お客様のお客様」にとって見つけやすいもの、「お客様のお客様」にとってわかりやすいもの、「お客様のお客様」にとって覚えやすいものがよいです。そして、何よりも、頻繁な変更は望ましいとは言えません。

新ロゴマークのリスク1 模倣の取り締まりができなくなる?

新ロゴマークを安心して使えるようにするためには、新ロゴマークが登録商標と同一又は類似である必要があります。このため、Webサイトのデザインを刷新する際に、ロゴマークまで刷新してしまうと、商標権の効力の範囲から外れる結果、新しいロゴマークが商標法上保護されない場合も出てきます。こうなると、新ロゴマークの模倣行為を止めることができなくなります。

新ロゴマークのリスク2 折角取得した商標登録が取り消される?

さらに、新ロゴマークが登録商標の「社会通念上同一の範囲」でなければ、せっかく取得した登録商標が、第三者の不使用取消審判により取り消される場合も出てきます。

新ロゴマークのリスク3 他人の権利侵害となってしまう?

さらに、新ロゴマークの使用行為が第三者の商標権の侵害行為となる可能性もあります。このため、新ロゴマークが、商標権の範囲にあるのかな?というチェックは必要です。

 

まとめ

Webサイトのデザイン刷新の際に失敗しがちなこと

  1. ロゴマークは、あなたのお客様にとっての目印。
  2. ロゴマークは、誰のもの?「あなたのもの」でもあるし、「あなたのお客様のもの」でもある。
  3. ロゴマークは安易に変更しない。
  4. 新ロゴマークを採用する場合には、商標権の範囲であるか否か、そして、不使用取消審判の対象にならないか?を確認する。
  5. 新ロゴマークが商標権の範囲外になる場合には、再度、商標登録をする。

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