マーケティングオートメーションまとめ

フリーランス・マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、近年国内の製造業での導入が進んでいる「マーケティングオートメーション」を取り上げます。

本記事では、製造業が導入すべき理由や、主なツール、業種別のおすすめなどをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

マーケティングオートメーションとは?

マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動を可視化し、業務を自動化することで効率化を高め生産性を向上させるものです。見込み客(リード)の情報を管理し、コミュニケーションによって興味関心を高め、購買の確度を高めて営業に引き渡す仕組みを構築します。リード情報の管理とコミュニケーションの自動化を行う、さまざまなデジタルツールが増えてきました。

製造業が取り組むべき理由

マーケティングオートメーションが日本で導入されはじめたのは、2010年に入ってからです。当初はIT企業を中心に導入されていましたが、ここ5〜6年の間に製造業でも浸透しつつあります。製造業の間で一般に普及されるようになった背景には、インターネットの普及によって、顧客の購買行動が変化したことがあります。

購買行動の変化としては主に2点。ひとつは情報収集方法です。従来、B2Bの領域では、製品やサービスの情報は、営業から提供されることが一般的でした。当時インターネットはありましたが、掲載されている情報はかなり限定的で最新情報を得ることは困難でした。

しかし、現在は多くの情報をネットで収集できるようになりました。企業のメルマガに登録すれば最新の製品や技術情報を定期的に入手できます。第一線のエンジニアが登壇するセミナーも常時開催されています。開発製品のデモさえ動画で閲覧できるのです。そのため購買担当者は、営業から直接情報をヒアリングする必要が薄れてしまいました。

その結果、営業がアプローチする前に水面下で検討を進めている傾向が強くなっています。CSO Insightsの調査によると、企業の購買担当者の約7割は営業される前に製品の検討段階を終えており、半数がなにを買うか特定しています。つまり、営業が連絡した時には「もうある程度決めてしまっている」ので、巻き返しが難しいのです。

もうひとつの変化は、企業の開発管理体制にあります。製品企画の検討プロセスが複雑になり、マネジメントがトップダウン型からボトムアップ型に切り替わっていることです。

従来のトップダウン型では、キーマンは製品開発の主導する立場でした。営業はキーマンとの関係性を構築できていればその企業の製品開発の情報やニーズをがっちり押さえられていました。

一方、ボトムアップ型の体制では、キーマンは中核製品には深く関与しますが、派生製品の詳細までは目が届きにくい傾向にあります。こうした製品の選定には、営業と日ごろ接点がない実務担当者が担当します。そのためキーマンを押さえているだけでは、ニーズを拾いきれなくなってしまうのです。

マーケティングオートメーションツール

マーケティング業務を自動化するツールの大半は、アメリカが発祥地です。もともとは、営業支援(SFA)や顧客管理(CRM)システムを補完するものとして開発されました。効率的にセールスを行うためのツールとして、米国内ではかなり早い段階で普及しました。そうした経緯もあり、ツールは米系のITベンダーのものが多くなっています。

一方、高度な専門知識がないと使いこなすのが難しく、有料のベンダーサポートを前提とするものも少なくありません。さらに、言語の壁もあります。現在は、使い勝手のよい国産のMAツールも製品化されています。ツールを使う目的・方針を明確化した上で選定するといいでしょう。

ここでは、B2Bの製造業で実績のある国内外の主なツールを紹介します。

Kairos3 (カイロスマーケティング株式会社)


引用:https://www.kairosmarketing.net/

Kairos3は、初期費用は1万円、月々6,000円から始められる国産マーケティングオートメーションツールです(*)。ユーザーの使い勝手を第一に開発されており、マニュアル一体型で直感的にわかる画面設計になっています。

Webサイトに計測タグを埋め込めば、即日利用も可能です。サポート費用は無料です。手軽に導入でき、すぐに使えるツールとしておすすめです。

*) 2021年4月より月額費用の最低価格が15,000円に価格改定される予定です。

List Finder(株式会社Innovation & Co.)


引用:https://promote.list-finder.jp/

List Finderは、B2Bに特化した国産マーケティングオートメーションツールです。月額3万9,800円からという低価格で、リード管理、メール配信、LP作成、見込み客の評価、営業連携までの基本的機能をカバーしています。シンプルで使いやすい操作性と、無料サポートが魅力です。名刺管理ツールのSanSanやSFDCとの連携もできます。

Salesforce Pardot(株式会社セールスフォース・ドットコム)


引用:https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/features/marketing-automation-software/

Salesforce Pardotは、顧客管理(CRM)システムのトップベンダーによるマーケティングオートメーションツールです。営業支援や顧客管理など他ツール間のシームレスな連携とデータの統合管理に強みがあります。

メールなどのマーケティング施策に対する投資対効果(ROI)を分析でき、営業活動全体を評価してプロセスのボトルネックを明らかにするライフサイクルレポートなど、マネジメント機能が充実しています。

HubSpot (ハブスポット社)


引用:https://www.hubspot.jp/

HubSpotは、2005年に開発されたインバウンドマーケティングのプラットフォームです。リード獲得からセールスまでのマーケティングファネルを一括で管理できます。顧客管理ツール「HubSpot CRM」と営業支援ツール「HubSpot Sales Hub」ももっており、ひとつでセールスマーケティングの全プロセスを統合管理できるのが特徴です。リード管理と簡単なメールコミュニケーション機能は無料で使えるので、中小企業でも導入しやすいでしょう。

業種ごとのおすすめツール

見込み客のリアルタイムの行動に合わせ、インテリジェントなコミュニケーションを可能にする高機能で魅力的なツールはたくさんあります。しかし、高度すぎてツールを使いこなせず、費用だけかかってしまうケースも珍しくありません。

例えば、マーケティングオートメーションで営業活動を効率化する上で重要な施策のひとつである「営業の名刺情報のデジタル化」。やり方次第ではかなり重い問題になります。

見込み客(リード)情報は、名刺情報とメルマガ登録データなどのハウスリストを統合管理する必要があります。しかし、このデータ管理の精度を追求すると、かなりの労力とお金がかかってしまいます。

個人が登録するデータは、各自が思い思いに入力しており、正確ではありません。データ統合による重複を除く「名寄せ」が必要です。情報は、漢字、平仮名、カタカナ、ローマ字が混在し、略称が使われることもあります。

例えば、先に挙げたベンダーの名前ひとつとっても、「株式会社セールスフセールスフォース・ドットコム」とフォームに登録せず、「セールスフォース」や「Salesforce」と登録するかもしれません。同じ社名なのに、10種類以上の別の会社が見かけ上存在することもよくあります。

これをひとつの社名に統合する作業は容易なことではありません。組織名の変更はよくありますし、M&Aで社名が変わることさえあります。何十万件のデータをリアルタイムで精査して統合していくのは非現実的です。

営業情報ツールを使う目的・方針を明確化した上で、最適なツール選定をする必要があります。目的は業種・業態によってある程度傾向が分かれてきます。ここでは、業種別にどんなツールがおすすめかを紹介します。

加工業

加工業の場合、多くの顧客を少ないリソースで対応しなければならないケースがあります。常時取引がある顧客はよいかもしれませんが、休眠顧客の掘り起こしはマンパワーが必要です。

こうした休眠顧客に向けた施策としては、メルマガなど定期情報発信で信頼関係を構築することが有効です。また、オウンドメディア上で、顧客が必要なときに資料請求や問い合わせを促すプル型の仕掛けを設ける手段もあります。

実際に実施している企業もたくさんありますので、今の延長上で活用できるでしょう。営業側は顧客の方からのアクションをトリガーとして効率的に業務を行えます。

現在はどのMAツールでもそうした機能はあります。複数商材・拠点での運用や、自社CRMシステムとのデータ連携など、複雑な連携が必要でないなら導入は簡単です。知識がなくても操作できるものを検討するのがいいでしょう。

メーカー

BtoB製造業では、潜在顧客に対する将来の種まきと、既存顧客の刈り取り効率化や顧客満足度の向上でコンテンツマーケティングが行われています。複数の製品、サービス、地域ごとの拠点があり、それらの間で相互連携しなければならないケースも多々あります。営業、マーケティング、開発事業部など関係部門間の調整だけでも一大業務です。

また既存の顧客管理システムとの統合まで視野に入れて検討しなければならないこともあるでしょう。そうなると、高度なデータ統合管理とシステム間連携が必須になります。

業態や規模、目的にもよりますので、一概にひとくくりにして語るのは適切ではないかもしれません。もし上記のような要素がある場合には、営業管理システムとの連携に強く、サポート体制が充実したベンダーを選定することをおすすめします。

商社

商社では、近年個々のコンポーネンツの単品売りから、システム化・パッケージ化したソリューション提案型の営業へと舵を切っている傾向があります。顧客が抱える課題に対して、「モノ」だけでなく付加価値として「機能・サービス」を売らなければならない時代になったと考えられるでしょう。

そうした時代に求められるのは、顧客の潜在ニーズをあらゆる角度から情報収集することです。そして、段階的に確度を上げていくための柔軟なマーケティング・キャンペーン設計が必要になります。

こうした用途では、動的セグメンテーション・キャンペーン機能を兼ね備えたツールがいいでしょう。様々なセグメント、検討プロセスにあるユーザーを動的にセグメンテーションし、働きかけることが有効と考えられます。

例えば、個人情報が取得できていない「未知」のユーザーに対しアプローチすることで、思わぬ潜在ニーズを発見できるかもしれません。また、WEBサイトの回遊行動やイベント参加状況などいろいろな確度から追跡し、自動的に最適なキャンペーンを割り当てられる機能があると効率的にユーザーを次の段階に誘導できます。

まとめ

マーケティングオートメーションツールは、営業業務の効率化や潜在顧客の確度見極めの可視化ツールとして有用です。ただし、導入には時間とお金がかかります。目的とゴールを明確にしない状態で安易にツールを導入してしまうと、本来の目的である業務の効率化につながらず、逆に非効率になってしまうこともあります。

あれもこれもと手を出さず、まずは「なにがやりたいのか」をよく見極めてから検討することをおすすめします。

テクノポートではコンテンツマーケティング支援の一環として、ツール活用のアドバイスも行っています。お気軽にご相談ください。

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