製造業の中国事情 世界の工場の今

皆さんこんにちは!製造業経革広場の山口遥です。

 

よくお客様から、

「仕事が海外に出ちゃって…」

「海外の値段には勝てないよ…」

といったお話を聞きます。

 

世界の工場として、たくさんの仕事が集まる中国。

バブルは弾けた?東南アジアにシフトしている?

色んな噂が飛び交いますが、今日はそんな中国事情に視点を当ててみたいと思います。

“鈍化する製造業の活動”

購買担当者景気指数(PMI)を集計して分析したフィナンシャルタイムズ(FT)では、「中国国家統計局は、6月のPMIが50.1で前月より0.7ポイント下落したと明らかにした。これは最近5カ月間で最も低い水準だ。」

と言っています。

PMIとは景気転換の先行指標であり、製造業の購買担当者へのアンケート調査をもとに指数化しているものです。

PMIが50を切ると景気萎縮、ということになるそうです。

 

GDP世界第2位となった中国の景気動向は、日本やアメリカを始めとする主要貿易相手国に大きく影響しているようです。

 

“日本企業の動向 中国からのシフト”

JETROの調査によると、中国に進出している日本企業は22,790社(2011年末現在)だそうです。

海外への新規進出件数は2004年のピークとほぼ並んでいます。

リーマンショック前までは進出国のトップはもちろん中国でした。

しかし、近年では進出先が分散傾向にあるとのことです。

2004年の新規進出では中国本土が5割を占めていましたが、12年は28.7%とシェアが低下しています。

それに対しASEAN10カ国の合計が32.7%と中国を上回る結果となってきました。中でもインドネシア、タイ、ベトナムが目っています。

 

確かに、色々なお客様とお話ししていると、最近では中国進出の声が減っている印象です。

逆に増えているのは、タイ・ベトナム・マレーシア・フィリピンといったASEAN諸国です。

 

こうした動きの中、特に成長が著しいのがインドネシアです。

2012年までの新規進出した現地法人は70件、2013年以降の進出予定も14件と国別では中国に次ぐ第2位へと上昇しています。

 

インドネシアでは、自動車の需要が増え、輸送機器関連の新規進出が目立っているそうです。

また、インドネシアはイスラム教徒が多いながらもイスラム教を国教とはしておらず、イスラム圏諸国の中では宗教的制約のハードルは比較的低いとされ、進出の足掛かりに適しているとの見解もあります。

 

一方で、中国からは「撤退したい」との声が日系企業から増えているとのことです。

理由は様々ではありますが、一番の理由は「人件費の上昇」です。

JETROの2012年の調査では営業利益が悪化する理由として

「人件費の上昇」57.6%

「現地市場での売り上げ減少」55.2%

といった結果でした。

 

コスト削減を求めて海外進出している企業にとって、現地の人件費が上がるということはデメリット以外の何物でもないでしょうね…。

バブル景気で現地の所得も上がり、富裕層も増えている中国。

日本の観光地でも中国人を見ないことはありません。

 

ちなみに非製造業では、中国企業との競争で最も苦労するのは、

「コスト競争力」71% ですが、

それに次ぐのが「現地政府との関係/人脈」33% となっています。

また、アジアを中心とした新興国(13カ国が対象)の中で、進出した邦人企業がトラブルに巻き込まれるケースも、中国がダントツで多くなっているのが現状です。

「チャイナ・リスク」という言葉も聞かれるようになってきました。

 

「中国の起業セミナー」に代わって、「中国からの撤退セミナー」があるとか、ないとか…

コスト削減のための中国進出は、既に遠い過去となってしまったのでしょうね。

とは言っても、まだまだ中国に進出する企業もいれば、現地で頑張っている日本企業も多くいます。

現状を見極め、時期を間違わないように進出・撤退していくべきなのでしょう。

それが容易にできたら苦労はしませんが…

この記事の執筆者
テクノポート

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