世界の製造業⑭「中国」

テクノポートの稲垣です。今回は「中国の製造業」を紹介します。

新型コロナウイルスによるパンデミックの発信地となってしまった中国ですが、現在は世界の中でもトップクラスの速度で経済の回復を記録しています。また、次期アメリカ大統領のバイデン氏が米中貿易戦争にどのような対処をするのか世界中から注目を集めています。今回は、その中国の製造業の現状と今後を進出する日本企業の視点から掘り下げていきます。

基本情報

  • 正式名称:中華人民共和国(People’s Republic of China)
  • 首都:北京(Beijing)
  • 元首:習近平(2016年4月~)
  • 通貨:中国人民元(1中国人民元=15.95円 ※2020年12月5日時点)
  • 人口:約14億3565万人
  • 面積:約960万km2
  • 公用語:中国語
  • 宗教:イスラム教、仏教、キリスト教
  • 平均寿命:男73.6歳、女79.4歳

経済の特徴

強み

  1. 国内需要:14億人を超える巨大な国内市場と国内E-Commerceの普及
  2. 都市化:大規模なインフラ投資による都市部の拡大
  3. 生活水準:人口のわずか3.3%が貧困層以下の生活(2020年10月の調査)
  4. 技術力:5G技術の先駆けとなったHuaweiを始め、特にテレコミュニケーション分野で著しい成長

弱み

  1. 少子高齢化:生産年齢人口(15~64歳)の人口減少が進行し経済成長の鈍化につながる可能性
  2. 賃金上昇:経済発展と共に賃金・製造コストが上昇傾向
  3. 人口集中:都市部への人口流入が加速により、住宅価格の高騰、公害、貧富の差の拡大等の問題が発生

産業構造

まずは中国の産業構造の調査結果を紹介します。下の図は中国の国内総生産(GDP)における各経済部門の占める割合の遷移を示したグラフです。


データ引用元:China: Sectoral composition of the economy of China| TheGolobalEconomy.com

グラフと関連データから以下のことが分かります。

  • GDPに占める製造業の割合は年々減少傾向
  • 2019年のGDPは11.5兆ドルで世界第2位(世界第1位はアメリカの18.3兆ドル)

現状

  • 2020年第3クォーター(7月~9月)のGDPの伸び率は5.2%を記録する見込みで、第2クォーターと比較し2.0%の増加(国外からの医薬品需要の増加などが主な要因)
  • 2020年の経済活動レベルが前年と同水準にまで回復する見込み(現在、約80%まで回復)

今後

  • バイデン大統領が米中間貿易の関税への対処が中国の経済成長が大きく左右される見込み
  • 経済の専門家の予想では、2021年のGDPは前年比7.8%の上昇、2022年は前年比5.4%の上昇見込み

製造業全体

次に中国の製造業の調査結果を紹介します。下の図は中国の製造業が生み出す付加価値の遷移を示したグラフです。(縦軸は10億U.Sドル)


データ引用元:China: Manufacturing value added| TheGolobalEconomy.com

グラフと関連データから以下のことが分かります。

  • 統計を開始した2004年から増加傾向が続く
  • 2019年の製造業が生み出す付加価値は3.9兆ドルで世界第1位(世界第2位はドイツ:0.7兆ドル)

現状

  • 製造業のPMI(Purchasing Managers’ Index:購買担当者景気指数)は2020年3月に40.3を記録するも、翌月以降急速に回復し2020年11月に54.9を記録
  • 米中の貿易摩擦により、中国国内での研究開発に力を入れ、国内でのイノベーションに注力する動きが広がっている

今後

  • 中国製造2025(2025年までに世界の製造強国の仲間入りを目指すために策定された基本方針)を推し進めるために以下の10分野の産業に注力する見込み


出典:中国製造2025重点領域技術創新路線図

  • 2050年までの中国製造業の今後の方針は以下の通り
    ー2020~2035年:製造強国の中堅ポジションを目指す、イノベーション先進国を目指す(経済力、技術力の向上)、貧富の格差を是正
    ー2035~2050年:製造強国のトップグループ入りを目指す、社会主義現代化強国を目指す、国力と国際影響力で世界をリードする国家

日本企業の進出状況

ここからは日本企業の視点から中国の製造業市場を調査した結果です。下の図は中国に進出した日本企業数(拠点数)の遷移を示したグラフです。


データ引用元:海外在留邦人数調査統計|外務省

グラフと関連データから以下のことが分かります。

  • 進出日本企業数は2011年に大きく増加したものの、その後は32000社付近で推移
  • 進出日本企業の約4割が製造業関連の企業が占める(卸売業が約3割)

現状

  • 進出地域で最も多いのが中国東部の華東地域で全体の約67%を占める(中でも上海市は全体の約46%を占める)
  • 進出企業の年売上高は、「1~10億円未満の企業」が全体の約31%、「10~100億円未満の企業」が約39%となり年商100億円未満の企業が全体の約7割を占める
  • 進出した製造業の中でも「金属加工、加工機械製造(切削、旋盤、研削盤による加工、加工機械の製造)」関連の企業が最多

今後

  • チャイナリスク(人件費の高騰、中国人民元安、政府からの環境規制強化指導などのリスク)を危惧した企業がチャイナプラスワン(東南アジアへ拠点を分散させる動き)を考える企業が増える見通し
  • 2019年の調査によると、中国進出日本企業の8割以上が中国市場での現状維持・拡大を望んでおり、今後も中国ビジネスに対する日本企業の見方は大きく変わらない予想

中国に進出した日本企業

岐阜精機工業

▶基本情報

  • 本社:東京都大田区
  • 従業員数:5人(中国工場170人)
  • 事業内容:プレス加工試作・量産、プレス金型製作

▶概要

自社独自開発のプレス金型を使用し、精密プレス部品・深絞り加工品の製造を行う企業。2002年より中国広東省の工場に生産拠点をすべて移動し現地での製品生産を行う。中国工場では日本スタッフが駐在し品質管理を行う体制をとる。同工場では生産に加えて、近隣の協力工場で製作した金型加工品の検査を行っており、品質管理に注力している。

岐阜精機工業の中国工場に駐在し品質管理を行う波多野さんへのインタビューはこちらです。(2020年2月実施)

株式会社武蔵テクノケミカル

▶基本情報

  • 本社:東京都台東区
  • 従業員数:10人(役員3人除く)
  • 事業内容:工業用洗浄剤の製造・販売

▶概要

工業製品向けの洗浄剤、洗浄システム(洗浄剤+洗浄機)の製造・販売を行う企業。2005年に上海、2009年に深圳に営業拠点を設立。その後2014年に、大連に洗浄剤の工場を設立。工場には日本人スタッフが常駐していないため、品質管理は現地従業員が行う。大連工場では現地日系企業との取引に加え、日本本社への輸出を目的とした製品を製造している。

株式会社大栄製作所

▶基本情報

  • 本社:京都府京都市
  • 従業員数:60人(グループ計150人)
  • 事業内容:精密板金加工品の製作、販売

▶概要

産業用板金製品加工、加工品の販売を行う企業。2003年に同社初の海外工場を上海に設立。同工場では現地の日系企業向けの板金部品の供給を行っており、同工場の顧客の99%を現地日系企業が占める。現地の製造で用いる材料は日系資本の入った現地企業からの調達を行っており、多品種小ロットの部品から大型組み立て部品まで幅広い要求に対応している。

まとめ

今回は中国の製造業と産業構造を日本企業の視点から調査しました。調査の結果、中国製造業は新型コロナウイルスの影響から急速な回復傾向を示しており、2020年の最終的な経済活動レベルは前年とほぼ同水準まで回復する見込みであることが分かりました。

また「中国製造2025」に代表されるように、中国政府は先進技術分野を始めとする製造業全般の強化を全面的に推し進めていくことが分かります。

進出する日本企業側の視点から分析すると、年商100億円未満の企業が進出日本企業の約7割を占めており、欧米諸国に比べ進出に対するハードルが高くないことが予想されます。また、今回紹介した日本企業は現地日系企業への部品調達と日本への輸出を目的とした工場を所有していることが分かります。今回の内容が中国進出に関心のある方の参考になれば幸いです。

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