試作から量産へ!量産移行時に考慮すべき4つのポイント(スタートアップ向け)

テクノポートの井上です。前回に続き、スタートアップ、ベンチャー、個人の方など、ものづくり未経験者の方に読んで頂きたい記事となります。最近、新製品のアイディアをもとに試作モデルを作り、量産化の資金集めにクラウドファンディングの利用を検討している人が増えてきました。今回は、試作から量産へ移行する段階でよく起こる問題と注意点について紹介します。

試作から量産段階に入る際の問題

製品の試作モデルができれば、製品開発の一つのヤマは超えたのかも知れません。しかし、量産工程に進む段階で新たな試練が待っています。この段階では下記のような様々な問題で頓挫する可能性があります。

  • 市場に出したい価格と原価が合わなかった
  • 部品点数が多く、金型の費用が予想より高かった
  • 量産ができない形状だった

量産段階で問題が起きる原因は?

問題を大きく分けると、コストと加工の実現可能性に分けられます。

コストの実現可能性ついて

皆さんが日頃目にする市場に出回っている製品は、非常に安価な原価で作られているものがほとんどです。規模の経済により、安くたくさん作る仕組みがあるためです。100円均一ショップを製造業の方が見ると、「よくこの値段で、この部品点数の製品を作れるな」と驚愕する製品がたくさんあります。

数を多く作れば、製品単体の原価が占めるイニシャルコストの割合は低く済み、また、仕入れる材料費自体も安くなります。そのため、市場に出回っている安価な製品と比較しても価格では勝てないことがほとんどです。スタートアップではユーザーを特定し、ある程度の高単価製品として売り出さなければ、市場で勝負することは難しいと言えます。

加工の実現可能性について

ほとんどの場合で、試作と量産で加工方法が違うということを認識する必要があります。量産の場合、同じものを安く安定して作るために金型を利用した加工方法に切り替わります。

その場合に試作では加工できていても、量産では加工できなかったり、仕様変更が生じる可能性があります。できる限り問題が起きないよう、試作から量産に移行する際の考えるべきポイントをまとめました。

試作から量産に移行する際に考える4つのポイント

1.そもそも量産の必要があるのか?

規模の経済について少しお話しましたが、もちろんたくさん作れば原価は安くなります。ただ、原価は高くなってしまっても価格競争に巻き込まれない、高付加価値製品を少量作るということも選択肢としてはあるはずです。

しかし、リスクもあります。その優位性を継続できるかが問題となります。模倣されて、規模の経済で安い類似品が市場に出回り、製品が負けてしまうようであれば意味がありません。

また、当たり前のことですが、最も利益が出るのは原価を抑えて、高単価かつ大量に売れているときです。新製品投入した初期段階では、新規性と競合の少なさから付加価値が高まり、高単価で売れる可能性があります。しかし、大量に販売するためには、ある程度のイニシャルコストをかけて量産体制を作るというリスクを取る必要がでてきます。リスクをできる限り小さくするためには、生産数と原価の関係性も理解し、本当に量産が必要かどうかを十分検討することが大切になります。

2.生産数と原価の関係性を理解する

では、金型を作るメリットが生まれる最小のボリュームはどれぐらいからでしょうか?作る工法、金型の種類によっても異なりますが、基本的には数千個以上と想定しておくと良いと思います。

まだ、市場で売れるかわからないものを数千個作るというのはリスクが高いため、数百単位で生産を検討するケースがあります。ただ、それではイニシャルとして金型費を償却しようとすると原価が大幅に上がってしまい、販売価格と合わなくなってしまいます。そのため、初回生産ロットが少なくても、金型に関してはそれ以降の量産計画を踏まえた減価償却を考える必要があります。

また、製造業者側の事情もあります。金型を維持管理することを想定すると、初回ロットだけではあまり仕事としての旨味がありません。販売年数を想定しての生産予定数を提示したほうが協力的になって頂けます。

3.最適な加工方法の選定する

製品を量産するための工法は一つではありません。どのような加工方法が量産に適しているか、そのボリューム、形状、材質によっても異なります。広い視点で工法を模索する必要があります。

また、量産の場合は、金型、プレス、射出成形、切削、表面仕上げ、組み立てなど、検討項目がかなり増えて複雑になるため、設計者だけでは検討できないことがほとんどです。製品開発の全体を把握し、コントロールするプロダクトマネジメントと呼ばれる仕事領域が必要になります。

4.量産試作を早い段階で作る

量産段階においても試作が必要となり、初期の試作モデルとの違いは下記の通りです。

試作モデル(デザイン、機能性モデル)
→作りたい製品がまずは形になるかを検討するためのモデル

量産モデル
→原価低減、品質の安定化を目的とし量産を検討するためのモデル

加工方法が異なることが多いため、現状の形状で量産が可能なのか?より量産しやすい形状に変更可能か?量産しやすくするための補助具(治具等)は必要か?など、量産に関しての実現可能性及びそれにかかる費用をじっくり検討する必要があります。

この検討はクラウドファンディングなど資金調達をする前に必ず必要となります。かっこ良いデザインの試作ができたからといって、量産の実現可能性が無ければ資金を集めても失敗となってしまいます。

いかがでしたでしょうか?今回は試作から量産へ移行する段階で、よく起こる問題と注意点について紹介しました。製品開発の際の参考にして頂けたら幸いです。

また、弊社では製品開発支援のための無料工場探索・紹介窓口「モノマド」を運営しています。製品開発でお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

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