メーカーから共同開発・受託開発を受注するためのWebマーケティング

こんにちは、テクノポートの永井です。

メーカーは新製品や新技術を開発する際に、共同開発や受託開発という形で外部企業の協力を得ることがあります。共同開発は開発期間の短縮や開発のリスクを抑えることができるため、導入するケースは増えてきています。一方、共同開発をすることは自社技術の流出や開発内容の漏洩問題などのリスクを抱えるため、外部企業の選定は非常に慎重に行われます。

今回はメーカーが共同開発・受託開発を検討している際に、外部企業に求める条件と、それを踏まえたWebマーケティングの方法をお伝えします。

共同開発のときにメーカーが外部企業に期待すること

自社にない技術の取り入れ

共同開発する最大のメリットは、自社にない技術を取り入れて、製品のレベルを上げられることです。

最近の製品は複雑化しているため、一つの製品を作るためには様々な技術が必要となります。そのため、1社ですべての技術を網羅することは現実的ではありません。そこで、製品を作るためのコア技術は自社で保有し、その他に必要となる技術については外部企業に委託するケースが多くなってきました。また、特殊な加工技術については、設備の導入コストや技術者の育成期間などを考慮し、外部委託を前提に開発を進めることもあります。自動車のエンジンの制御を例に挙げると、エンジンはメーカーで用意し、燃料噴射のタイミングや空燃比の調整などは、デンソーやボッシュなどのエンジン制御を専門としている企業のシステムを採用しています。

その他にも、ヤマハ発動機はトヨタ車にエンジン自体を供給していたり、ソニーのイメージセンサーを多くの企業が導入したり、スマホのアンドロイドOSを様々な企業が導入していることなども共同開発に当たります。外部企業の協力を得ることで、メーカーはレベルの高い技術を低リスクで使用でき、外部企業も自社のリソースを専門技術開発に集中できるため、共同開発はお互いメリットがあります。

開発リスクの分散

技術開発は、設備投資や人件費など多額の資金と時間が必要な上、最悪の場合、開発がうまくいかないリスクを抱えています。そのため、外部企業と協力することで、開発リスクを分散させる狙いがあります。

自動車や航空機、船舶など、1製品の開発コストが大きくなればなるほど、その傾向にあります。例えば、飛行機のA380場合、日本のメーカーだけでも21社が開発に参加しています。この規模の開発をエアバス1社で賄うことは難しいため、複数の企業の協力を得ることが一般的になっています。

※出典:日本航空機開発協会「平成27年度版 民間航空機関連データ集」

開発プロセスの学習と外部企業への期待

開発プロセスや新技術の知見を共有することで、相互学習となり、企業の開発力が向上します。また、新規参入したい分野については、すでに参入している企業の指導を得ることで開発がスムーズに進められるなど、共同開発のメリットは多岐に渡ります。第二次世界大戦後、多くの日本企業は欧米企業から技術のライセンスを導入したり、共同開発を行ったりすることで技術力を磨き、今では世界中の企業にライセンスを提供できるほど技術力は向上しました。外部企業へはその他にも「この企業と開発したら何かやってくれそう」という漠然とした期待もあります。

トヨタとスバル、トヨタとBMWの共同開発で例えると、86/BRZの開発はトヨタ流のスタイルで、スープラ/Z4の開発はBMW流の開発で行ったと言われています。トヨタの開発はやり直しを嫌うスタイルのため、デザインが決まってからでないと部品の詳細は決めないのですが、BMWの開発スタイルは開発初期の段階で部品の詳細も決めていくそうです。BMWの方法はデザイン変更による手戻りが発生するため、一見無駄に思えますが、試作車と量産車の性能差異が少なく、量産開発期間の短縮に繋がります。逆にトヨタ流では試作車では可能であった性能が、量産の工場で作ることができずに量産開発期間が想定よりも延びるというケースが良くあるそうです。

どちらが良い方法なのかは開発の条件次第だと思いますが、自社の開発方法がベストではない可能性を学習できたことは、企業にとってプラスとなります。また、スバルなら、BMWなら、一緒に開発をやってくれるという期待があったからこそ成り立った開発だと思います。

参考:https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226265/032600242/

外部企業を選ぶ条件

開発能力があるか

外部企業を選ぶときに、最も重要なことは開発能力があることです。開発能力は簡単にいうと仮説→検証→フィードバックができる人材と環境がどれだけ揃っているかになります。開発は思った以上にスムーズに進まず、必ずと言っていいほど想定外のことが起こります。そのときに、

  • 想定外のことが起こった際に原因を追求する体制があるか(仮説)
  • 原因を改善する策を立てられるか(検討)
  • 改善策を実現できるか(設計、製造)
  • 改善が妥当であったことを振り返る検証力があるか(評価)

などが求められます。技術を任せるのであれば、検討、設計、製造、評価を外部企業の中で一貫してできること、また、共同で開発する場合はコミュニケーションの柔軟性も求められます。

製造技術があるか

メーカーは新しいものを製造するために「自社にない技術」を求めて、協力できる外部企業を探しています。そのため、製造技術を保有していることは絶対条件になります。(製品と直接結びつきにくい研究段階は別の話です)

製造技術は単に作る技術というだけではなく、

  • メーカーが作れないものを作れる技術(必須)
  • 量産技術(量産する場合は)
  • 低コストでの製造技術(製品の最終コストが販売に影響を与えるため)
  • 品質管理(不具合品を世に出さないため)
  • トレーサビリティ(不具合発生時に速やかに原因を調査するため)
  • 複数の製造拠点(天災などでもサプライチェーンが分断されないように)

という内容も求められます。

実績があるか

実績はその企業を信頼する証になります。特に、共同開発は委託側にも情報漏洩などのデメリットがあるため、中小企業を選定する際はコンプライアンスなども含めて、実績を確認したいと思っています。

具体的には

  • 自社と同等レベルの企業、もしくはそれ以上の企業と取引があるか
  • ティア1レベルと取引があるか
  • ISOなどの認証を取得しているか
  • 今回依頼する内容と同等の実績があるか

になります。とはいえ、どの企業と共同開発をしているかは公にできないことも多いため、実際は直接会って、企業見学などの後に契約に至ります。ただ、実績を公に出せるのであれば、メーカーとしては事前に知りたい情報です。また、実績とは少し異なりますが、途中で外部企業の倒産などが起こると製品供給に支障がでるため、財務状況の確認や将来性などを検討する場合もあります。

共同開発・受託開発を受けるためにWebに掲載する情報

得意分野の開発力、開発体制を示す

メーカーは外部企業に開発能力を期待しているため、開発における得意分野をわかりやすくまとめることが大切です。また、何でもできるではなく「この技術をコアとして、幅広い応用が可能」など他社に負けないコア技術は何で、それを使ってどのようなことができるかを相手に想像してもらえるような工夫をしましょう。

住友理工を例に上げると、コア技術に「高分子材料技術」を置き、それが派生する分野や製品について画像を使ってわかりやすく表現しています。また、「私たちの研究開発」というページの中で、これまでの開発事例を技術的な目線で紹介し、検討、設計、製造、評価が社内で一貫してできることを説明しています。

引用元:住友理工ホームページ

また、中小企業の例として、吸音などの開発を行っている愛知県のセキソーをご紹介します。同社は自社のコア技術(音質改善技術)、解析技術、評価技術をカテゴリーに分けて、わかりやすく紹介しています。

株式会社セキソー:http://www.sekiso.co.jp/technology/

製造技術(精度技術、量産、試作、低コスト、品質管理、トレーサビリティー)を示す

製造技術では、具体的に何をどのレベルで、どれくらい作れるかを掲載することが大切です。

富士フイルムを例に上げると「ミクロンからサブミクロンクラスの微細パターンを形成」、「MLAやマイクロ流路など3D形状の製作」、「量産に用いる複製型(Ni電鋳型)を製作」、「300µm厚の複製型を用いて様々な射出成形品」、「クリーンルーム内で高品質低コストな量産品」など、製造技術以外にもクリーンルームなどの製造体制についても書かれています。

さらに、「提供サービス」の項目ではより具体的な内容の掲載や言葉だけではなく画像を用いるなど技術をわかりやすく伝えるための工夫があります。

引用元:富士フイルム

可能な範囲で取引先の社名や実績を示す

これまでの実績は企業の信頼の証になります。可能な範囲で、取引先の社名や製品実績を掲載しましょう。社名が出せない場合は、イニシャルや大手メーカー、ティア1などと掲載するだけでも効果はありますし、製品が出せるのであれば製品の実績を紹介しましょう。

例えば、旭化成は自動車から医療まで様々な製品の共同開発を行った実績を「イノベーション事例」として、ホームページに掲載しています。具体的な社名が出ている場合もありますし、社名が掲載されていない場合もありますが、メーカーの信頼を得るには十分といえる情報量を掲載しています。また、分野を幅広く掲載することで、共同開発したときの期待感を高める効果もあります。

引用元:旭化成ホームページ

共同開発を積極的に行っていることを示す

基本的なことですが、共同開発や受託開発を積極的に行っていることを伝えましょう。開発内容の掲載だけでは、自社開発した技術のPRなのか、共同開発のための開発能力のPRなのか分かりづらくなってしまいます。

例えば、株式会社由紀精密(https://www.yukiseimitsu.co.jp/business/rd/)は「◯◯向け開発」、「メーカーと密に連携し」など、分野別に開発内容を分けた共同開発について過去の事例を幅広く掲載しています。
さらに、「開発事例」ページでは

  • 共同開発
  • 受託設計
  • 自社開発

とカテゴリーを明確に分けることで、「株式会社由紀精密は共同開発、受託設計をする企業です」とPRできています。

まとめ

共同開発や受託開発は依頼するメーカーにも、受託する外部企業側にもメリットがあります。メーカーは少ないリスクで新しい技術を得られ、外部企業は自社のコア技術をあらゆる企業の製品開発に役立てることができます。しかし、自社のコア技術やノウハウの流出、特許権など、契約を結ぶときにはそれなりの注意が必要です。特に、中小企業の場合、大手に技術を真似される場合も少なくありません。

それでも、自社の技術を多くの企業に使ってもらえる共同開発・受託開発をするメリットは大きいので、そのきっかけとしてWebを活用してみてください。

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