With/Afterコロナ時代にサプライチェーンはどう変わるか

テクノポートの徳山です。6月になりましたが、依然としてニュースはコロナの話で持ちきりの状況です。

今回のコロナショックにより2020年度を中心に各社の業績に大きな影響があることは間違いありません。ゴールドマン・サックス証券が4月上旬に公表したレポートでは、日本の2020年4〜6月期のGDPは前期比年率マイナス25%と、データをさかのぼれる1955年以来、最大の落ち込みになると予測しています。

コロナショックで様々な分野の製造業が直面したのが「サプライチェーンの分断」という致命傷です。特に、自動車のような数万点の部品が必要となる製品などにおいては、たった1つ部品が届かないだけで製品が完成できず出荷がすることができない、という状況に陥ってしまいました。

今回の記事では、with/afterコロナ時代に製造業のサプライチェーンはどのように変わるのかを考察するとともに、弊社が行っているサプライチェーンを繋げていくための支援策についてご紹介します。

サプライチェーン再構築のポイントは「リスク分散」と「デジタル化」

コロナショックにおけるサプライチェーン分断で問題視されたのは、メーカー各社が経済合理性だけを求めて、サプライチェーンを部品調達を中国をはじめとした人件費の安い国に集中して構築してしまったことにあります。

今後のサプライチェーンの在り方としては、複数購買を進めることを前提として、海外調達におけるリスク分散と、行き過ぎたグローバル化からの脱却(国内製造・調達への回帰)だと考えられます。
また、調達活動の他にも自社工場での製造について、製造を途絶えさせないための感染症対策を主な目的とした対策が行われると考えられます。

調達先の分散「チャイナ・プラス・ワンの促進」

新型コロナが中国から広まったこともあり、中国に生産活動を頼っていた多くの企業のサプライチェーンが分断されてしまいました。この対策として、特定の国に依存した調達を控える動きが加速するものと思われます。

ここでは特に影響の大きかった中国企業からの調達を行っているケースを例に取り挙げますが、グローバル製造業の多くが今回の反省を踏まえ、今後同じような失敗をすることがないよう「チャイナ・プラス・ワン」の動きが加速すると考えられます。

「チャイナ・プラス・ワン」とは、リスク回避のために中国以外にもうひとつ生産拠点を構える動きのことです。その動きは、2010~2012年に起きた尖閣諸島問題の頃から始まり、2018年頃から激化した米中貿易紛争による米中間の貿易リスクを回避する目的でさらに広がりました。

このように、コロナが広まるずっと前から行われてきた動きであり、すでに多くの製造企業で進められていますが、今回のコロナショックでさらにこの動きは加速すると思われます。

「プラス・ワン」の候補国としては、アジア新興国のタイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ベトナムなどがその候補として挙げられます。今回のコロナ騒動において、感染症対策に秀でていると評価された国に関しては、その候補地として選ばれやすくなる可能性もあるでしょう。

そんなポスト中国の存在となり得るASEAN各国の製造業事情について、まとめた記事をいくつか掲載していますので、こちらもご参照いただければ幸いです。

海外市場に関する記事一覧

行き過ぎたグローバル化からの脱却「国内調達(製造)への回帰」

前述したような調達する国数を増やすことでリスクを分散していく方法もありますが、海外調達自体に大きなリスクを感じる企業は、海外調達(製造)自体の依存率を下げていこうとする動きも増えると思われます。

特に、簡単に替えがきかないようなキーパーツや、絶対に提供をストップさせられないような生活必需品に関しては、可能な限り内製化、もしくは国内調達ができるような体制を目指す企業が増えるのではないでしょうか。

また、製造・調達の分散が国内でも行われ、代替できる部品を柔軟に調達できるように自社製造+複数購買(マルチサプライヤー)が主流になると思われます。

この動きを促進するために経産省は、海外に生産拠点を持つ企業が日本国内にも確保するために建物や設備を導入する費用について補助する「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を発表しています。2020年度補正予算案で総額2200億円が確保されています。補助率は大企業が費用の1/2、中小企業が2/3とかなり高いので活用する企業が殺到するものと思われます。

製造を途絶えさせないための「工場のデジタル化」

リモートワークが難しく、作業者がいないと稼働が難しい工場内作業ですが、それでも感染症対策のために少しでも工場内の作業者を減らす動きが進むと考えられます。具体的には、無人、もしくは人が密集しなくても工場を稼働させるために、ロボットやAIを活用したファクトリーオートメーションが推進され、工場内の人口密度を下げるための設備投資が積極的に行われると思われます。言うならば工場の「デジタル化」の促進です。

また、自社工場だけでなく調達先に対しても、工場がデジタル化できているかどうかが求められる傾向が強まるはずです。今回のような感染症が流行した際にデジタル化できている工場の稼働は止まる可能性が低いからです。そのため、大手企業だけでなく中小企業でもデジタル化の取組みは広がると思われます。

中小企業であれば、ものづくり補助金やIT導入補助金を活用してデジタル化を進めてみてはいかがでしょうか。下記にコロナ禍の中小製造業を支援するための支援策がまとめられていますので、こちらもご参照ください。

弊社が行っている支援策をご紹介

日経ものづくりが行った調査によると、現状分断されてしまったサプライチェーンを補うための方法として「日本国内での調達している・調達を検討している」という会社が41.9%にも及んだそうです。多くの企業が日本の製造業の底力に期待しています。

そこで、弊社もコロナ禍の製造業を支援することを目的に、日本国内における受発注マッチングを促進する活ための取組みをいくつか始めましたのでご紹介させていただきます。

工場探索サービス「モノマド」の無償化

弊社が運営する工場探索サービス「モノマド」では、弊社が抱える中小製造業1,000社以上の幅広いネットワークを活用し、最適な工場を無料で探索代行・紹介するサービスを提供しています。

通常であれば、受注企業から紹介料や取引仲介料をいただくビジネスモデルとなっています。しかし、新型コロナウイルスの影響により、国内外の製造工場の稼働停止や倒産によりサプライチェーンが寸断され、モノづくりに支障をきたす製造業が急増しているという状況を鑑み、2020年5月1日から6月末までの間「モノマド」において受注企業に発生する紹介手数料を無料にすることを決定しました。

積極的に受注を受けていきたいとお考えの製造業の方は「>積極受注企業登録フォーム」から会員登録をお願いいたします。

信金中央金庫との連携

信用金庫の中央金融機関である信金中央金庫と連携し「モノマド」サービスの利用を促進します。具体的には、全国の信用金庫取引先である製造業からの「受注企業を探索してほしい」という声に対し、「モノマド」のネットワークの中から最適な工場を紹介します。特に新型コロナウイルスの影響を受けて大幅に受注が減少している企業を優先的に紹介していく予定です。

サプライチェーンチャレンジ

サプライチェーンチャレンジとは、産業の新結合をサポートする運動として、コロナ禍における製造業が、スマートフォンでも簡単に撮影できるようなノンストップの短い自社プレゼン動画を投稿することで、サプライチェーンを見える化する取り組みです。

この活動を主催している「一般社団法人スマートニッチ応援団」と提携し、当取組の参加者を増やし一社でも多くの製造業者をPRしていきます。また、繋がった製造業者のネットワークを活用した共同受注や製品開発といった新たな取組みにもチャレンジしていく予定です。

変化の時代にはピンチとチャンスが共存するものです。チャンスを掴むためにはとにかく行動するしかありません。弊社も微力ながら支援いたしますので、ご紹介した支援策に興味がある方はご連絡ください!

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