世界の日系製造業④「アメリカ:品質管理」後編

テクノポートの稲垣です。今回は世界の製造業インタビュー企画です。第4回目後半の今回は前回の記事に引き続き、アメリカのロックウェルオートメーション株式会社で品質管理のコンサルタントとして働く津吉政広さんにインタビューを行いました。津吉さんはこのモノカクでも記事を執筆頂いています。津吉さんのプロフィールはこちら。後編の今回は、

  • 「アメリカ企業の品質に関する考え方の違いは?」
  • 「アメリカと日本の商習慣の違いは?」
  • 「コロナウイルスで会社にどのような変化があったか?」
  • 「英語Webサイトを作ってアメリカに販路開拓したい企業にアドバイスは?」

などの質問に対し、現地企業でコンサルタントとして働く方ならでは意見をお届けします。

日本企業について

日本企業のイメージは?

Made in Japanの品質神話は昔ほどではありませんが、今でも活きていると感じます。なので、良い品質のイメージがあります。

日本企業が強い分野は?

自動車、自動車部品産業、機械、製造ロボット産業、電気製品(Panasonic、Sonyなど)だと思います。

アメリカ企業の品質に関する考え方は?

アメリカ企業は数字明確なデータを欲しがる傾向が強いと思います。例えば、不良品の割合などを数字ではっきりと示すこと、データで提出することが交渉事でも必要不可欠になります。

アメリカの商習慣について

アメリカと日本企業の商習慣の違いは?

アメリカでは基本返品が可能です。一度使ったものも返品されることがあるとも聞きます。それは、返品可能かどうかが会社の評判に影響することも関係していると思います。

製造業だと契約があるので、そこまでひどいケースはないと思いますが、製品を買ってもらってすぐに壊れているとクレームを言ってくるケースはよくあります。

日本企業とアメリカ企業のメールのやり取りに違いはある?

大きく違いは4つあると思います。

1つ目は、日本企業はアメリカ企業に比べて返信が遅い事です。アメリカ企業は少なくとも翌営業日には返信のメールがくることを期待しています。なので、メールの内容に対する返信はしなくてもいいので、「メールを受け取って検討に入った」、という趣旨のメールが欲しいですね。アメリカではこのスタイルが普通です。

2つ目は、日本企業のメールの文面は過剰なほど丁寧と言う印象を受けます。アメリカ企業は内容に対してストレートに返信している印象があります。

3つ目は、日本企業が使う専門用語がアメリカ企業が使うそれとは違うことが多い事です。端的に言うと、品質用語等の専門用語のチョイスを間違えている日本企業が多いので気を付けて欲しいということです。

4つ目は、CCが多くついていることと、責任者が誰なのかよく分からないことが多い事です。

アメリカ企業同士でのやり取りはどうやって行う?

社内でのやり取りはメールがほとんどです。注文などを含めて、私の産業ではお金に関することはメールでやり取りすることが多いです。

日本企業とのやり取りは、(日本企業は)英語が苦手なことが多いのでメールでのやり取りがほとんどです。電話対応があればもちろん良いと思いますが、アドバンテージになるかと言われるとはっきりとしたことは言えません。

ビジネスでよく用いられるSNSは?

LinkedInを使っている人が多いです。ただ、LinkedInは商売で使われることは少ないイメージで、転職や求人に関するやり取りをするイメージです。また、LinkedInは企業が求人広告を上げる最も大きなプラットフォームの一つでもあると思います。

アジア系労働者に対する差別はある?

ありません。会社のルールとして禁止されているため差別を受けたことは全くありません。ただ絶対数の問題もあると思いますが、アジア系の人が上級管理職につく割合は少ないと思います。

支店はアメリカ国内に設置した方が良いか?

そうだと思います。同じアメリカ国内の方が連絡が取りやすいですよね。あと、海外のやり取りになると商習慣の問題とかが複雑なので、アメリカ国内で直接やり取りできた方が何かと都合が良いと思います。

コロナウイルスについて(インタビュー実施日2020年5月2日)

コロナウイルスで会社にどのような変化があったか?

大きな変化は3つあります。

1つ目は、会社の出入りが厳しくなったことです。例えば、会社の入り口で検査をやって体温を測ったりですね。

2つ目は、家で働ける人は家で働くようになりましたね。現在、会社内で働いている人よりも家で働いている人の方が多いくらいだと思います。ただ、製品の実験だとか組み立てだとかは会社でしかできないので、そういう仕事をしている人は通常通り会社勤務しています。

3つ目は、アメリカ企業全体に言えることですが、オンラインできるものはオンラインでやろう、という風潮が強まりましたね。コロナウイルスが流行する以前からこういう企業は多かったですが、今回のパンデミックをきっかけに、さらに増えた印象があります。

コロナウイルスで私生活にどんな変化があったか?

お店が休業したり、学校が休校になったり、行くところが限定されとにかく不便になりましたね。特に、病院などの出入りはチェックが厳しくなり、病院内の食事などもすべて個室で済ませているところがほとんどです。

最後に

英語Webサイトを作ってアメリカに販路開拓したい企業にアドバイスは?

注意して欲しいことは3つあります。

1つ目は、言葉よりも写真デザインを重視した方が良いと思います。なぜかと言うと、あるWebサイトを初めて見て、そのWebサイトに留まろう、読もうと思うのは写真やデザインが目に留まるからだと思います。要は、第一印象が最も重要で具体的な内容は次に来ます。その意味において、言葉よりも写真やデザインを優先することが英語Webサイトを作るうえで重要だと考えました。

2つ目は、日本独特な言い回しをアメリカ英語的なストレートな表現に上手に翻訳することも重要だと思います。

3つ目は、図面データ実績を目につきやすい場所に配置する方が良いと思います。数字ではっきりと分かる情報を重要視するアメリカ企業が多いため、Webサイトを作る際には、そのような部分にも気を配る必要があると思います。

まとめ

いかがでしょうか。冒頭の4つの質問に対する答えをまとめると、

「アメリカ企業の品質に関する考え方の違いは?」

アメリカ企業は明確な数字やデータを求める傾向が強い

「アメリカと日本の商習慣の違いは?」

アメリカでは基本返品可能

「コロナウイルスで会社にどのような変化があったか?」

  1. 会社の出入りが厳しくなる
  2. 在宅ワークの推奨
  3. 事業のオンライン化

「英語Webサイトを作ってアメリカに販路開拓したい企業にアドバイスは?」

  1. 言葉よりもデザイン
  2. アメリカ英語的な表現
  3. 数字ではっきりと分かる情報の配置

のようになります。今回のインタビューを通して、アメリカ企業がWebサイトに求める情報の違い、メール対応の違い、返品ポリシーの違いなど、アメリカ企業と日本企業のビジネス上での様々違いを感じ取って頂けたと思います。今回のインタビューで得られた知見を、アメリカへの販路開拓に少しでも役に立てていただければ幸いです。

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