協力工場を増やす時の見極めポイントと良い関係の築き方

テクノポートの井上です。今回は、自社の売上を伸ばすために、連携の取れる協力工場をどう増やすかについて紹介します。

協力工場の必要性について

製造業で受注拡大を考える際に、設備の稼働率に限りがあるため、物販小売のようにたくさん売れれば良しというわけにはいきません。受注生産のため、受注には波があり、すべての設備を稼働率100%にキープすることは至難の業です。高い稼働率をキープするために、時には協力工場を利用し、受注の波をコントロールできるようにする必要があります。

また、人手不足の影響でしょうか?発注者側がそれぞれの会社に手配をかける手間を省きたいために、装置や部品一式をまとめて発注したいというニーズも増えています。その場合に、受注側としては、協力工場と連携した一貫生産対応が求められています。

しかし、やみくもに協力工場を増やしても、連携がうまくとれなかったり、品質等のトラブルが起こった際の対応が後手にまわったりと、お客様の信用を落としてしまう可能性があります。そのリスクを懸念して協力工場を積極的に活用していないというお話をよく伺います。信頼できるパートナーとしての協力工場をどう開拓するかが課題となっています。

協力工場の活用を熟知した専門家にインタビュー

円滑に業務を遂行できるかは、その会社の対応力、管理体制、関係性によって大きく異なります。数ある会社の中からパートナーとすべき会社を見つけ出し関係性をどう構築していくか?ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポートを行っている野崎社長(COSMO ALPHA株式会社)にインタビューしました。

同社は自社工場を持たないため、協力工場と密な連携をとり、お客様からのニーズにいかに迅速に対応するかを突き詰めている会社です。実際に実践している協力工場を見る際のポイントや、関係性の構築方法について詳しくお伺いしました。

野崎社長の紹介

直近10数年で3社の金属部品加工会社に在籍し、加工現場から調達、品質管理、既存取引先への営業活動、新規開拓営業まで一通りの業務を経験。
在籍した会社では、卓越したコミュニケーションスキル、関係構築スキルを生かし、既存取引先からの受注拡大、新規顧客開拓に大きく貢献する。その経験を活かし独立、ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポートを業務とするコスモアルファ株式会社を立ち上げる。

主な実績
精密部品加工会社A 2007年2月~2014年1月
・社内で取り込めない案件等を協力会社で賄うべく、新規開拓、育成を行い、大手メーカーとの直接取引でリーマンショック後の赤字会社を売上2倍にして黒字化までもっていく。
精密部品加工会社B 2014年2月~2015年3月
・在職中新規取引先5社契約、トータル1700万円受注(約10ヶ月で)
精密部品加工会社C 2015年5月~2019年8月
・新規取引先を6社開拓
・入社時に倒産しそうだった状態から3年で売上2倍にして黒字転換させる。

どのような基準で協力工場を見ていますか?

大きくは2つです。

  • レスポンスの良い会社か?
  • 品質、検査体制が整っているか?

レスポンスの遅い会社はお客様を待たせることになるため取引は難しいです。品質、検査体制に関しては、例えば10個の完成品があった際に全数検査しているのか?検査票は普段から添付している会社なのか?検査していることの証明ができるか?などを見ています。検査表は言われなくても出すのが一般的ですが、中には出さない会社もあります。「俺が寸法に入っているといえば入っている」という会社も時にはありました(笑)。

何を使って検査するかも大事です。ノギスだけで良しとするのか、マイクロも使うのか。他に測定具は何を持っていて、普段何を使って測っているかも見ています。3次元測定機も持ってはいるけど使っていない会社も多いですしね。また、改善していく姿勢があるかどうか?も大事ですね。自分の会社はこうだという基準が固まってしまって、柔軟に対応して頂けなさそうな会社もあります。

つなぎとめたい会社への対応は?

見積もりだけで終わるパターンもありますが、つなぎとめておきたい会社さんはあります。そのためにどうするかですが、基本的にはコンタクトを取り続けます。ただ電話するだけでは限界がありますので、そこの会社がやっている業界以外の情報を提供したり、そこに合った仕事を直接紹介したりしています。加工業者同士の仕事は間に入らず直接やってもらってます。そして、どんどん会社と会社を繋げていきます。自分の管轄外であれば、直接やってもらうことも多いです。協力工場も、お客様にも同じスタンスで情報提供や取引を繋いだりしています。

間に入らなくても会社を繋げて継続的な取引になっていくと、質の良い協力会社を持っている会社、という付加価値が弊社にでき、色々な仕事の相談を受けるようになります。そのため、目先にある仕事を取ろうとせず、先を見越して良い会社に良い情報提供をして信用をもらいます。そのように情報提供や、取引をつないだりすることで、協力工場との関係性も仕事が始まる前から作れるようになります。

余談ですが、間に入ることに別の付加価値がつく時もあります。間に入って取りまとめないと仕事が進まないような協力工場がそれにあたります。依頼者側が電話しても現場に入っていて、電話になかなかでなかったり、メール返信が無かったりする場合などです。間に入って、その会社に合ったコンタクト手段で窓口となり仕事を進めます。そうすると依頼者側だけでなく、協力工場側からも喜ばれます。

依頼等の際に協力工場へ配慮していることは?

依頼する際に気をつけていることは、サイズや精度など設備的に合う加工内容かどうかです。逆にそこで依頼者として信頼できるかどうかを見られていると思います。頼む側がわかってる人かどうかは仕事をするにあたり大事なポイントです。そのため、的外れだけは避けるようにしています。

問い合わせメールを送った後、すぐ電話して、見積もりしてもらう前に設備的に合う加工内容かどうかを確認しています。ある程度電話で話を聞いた上で直接見に行くことも多いです。直接見に行ってみないと何が得意かわからないので。

また、やってみないとわからないものもたくさんあります。そんな時は途中でギブアップしてもらいたくないので、形になるまで出来る限りやってもらいます。やり方も教えます。こういうやり方で、こういう精度を出しているというようなところまで踏み込みます。そのため大失敗し大きく損失出したこともありますが(笑)リスクを負いすぎた時もあります。ただ、やりきること、完了させることが大切だと思います。良かったときも、だめだった時でも進捗は報告します。

見積もり出して高かったなら、何をもって高いとしているのかを聞きます。他社でいくらだったという決定価格も聞いて伝えています。

まとめ

以上、野崎社長へのインタビューでした。間に入ることの付加価値を持ち、継続的な取引をするためには、発注側だけでなく、受注側への配慮も非常に重要と感じました。協力工場に依頼するといっても仕事を出してやるというスタンスでは長続きしないということがよくわかります。協力工場への理解を深め、パートナーとして共に仕事を行っているというスタンスが重要と感じました。今後も野崎社長へのインタビューを連載予定です。少しでも売上向上のお役立ちになれば幸いです。

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