生きた工業地域が舞台になる「鉄工島フェス2019」

みなさん、はじめまして。C-OILING代表の大後裕子(だいごひろこ)と申します。

ブランディングを主軸に、生活用品メーカーで7年間企画職に従事の経験から、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行って累計約1,200点の商品を開発してきました。開発商品は各種TV、雑誌など各種メディアに取り上げていただいています。

鉄工島フェス2019

2019年11月3日(日)に東京都大田区の京浜島で「鉄工島フェス2019」が開催されました。

©︎IRON ISLAND FES 2019 / Ryosuke Kikuchi

2019年で3回目となる「鉄工島フェス2019」は東京都大田区にある工業専用地域・京浜島で行われる、音楽とアートが繰り広げられるイベントです。オープンファクトリーで行うような企業によるワークショップイベントは一切なく、工業地域をまさに「舞台」にして一般来場者に音楽とアートを楽しめる新しい形のイベントです。

作業現場がライブ会場

いわゆる音楽やアートのフェスというと、野原や公園などの広い会場に舞台を組んで、その上で演奏をしたりパフォーマンスをするものですが、鉄工島フェスでは実際に稼働している工場の作業現場が舞台となります。昨日まで通常通り稼働していた工場内の工作機械の前に最小限の機材をセットしたインダストリアルな空間で繰り広げられるアーティストのパフォーマンスに、たくさんの来場者は非日常を思い切り楽しんでいました。

工業地域を舞台に繰り広げられるアート作品

フェス会場内を歩いていると目に飛び込んでくるアーティストの作品やパフォーマンスもワクワクするものばかりです。

国内外で公共空間を中心に大型プロジェクトを行う「西野」逹による、車やタンスなどの工業製品が重なった3メートルを超える高さの圧倒されるようなオブジェの展示や、渋い色合いの工業地帯に一段と映える色鮮やかな集団「ケケノコ族」が会場のいたる場所をシュールに練り歩くパフォーマンスなど、様々なアートが工業地域一帯を舞台に繰り広げられていました。

有名ミュージシャンも参戦

鉄工島フェスでは実に様々なジャンルのミュージシャンが、作業現場を舞台にしたライブ会場で多くの来場者を沸かせていました。

最近人気沸騰中の女性二人組ラップユニット「chelmico」はジャンプスーツ風の衣装で登場し、午前中にも関わらず彼女たちの明るく弾ける歌声でフェスの最初のライブは大変な盛り上がりでスタートしました。

そしてトリを飾ったのはテクノミージックやDJとして有名な石野卓球。鉄工島フェスのロゴが赤く光るネオン看板の前で次々に繰り出されるダンスミュージックには、会場と音楽が合間って、思わず身震いをしてしまうほど盛り上がりでした。

工業地域の見せる、昼の顔と夜の顔

1日のフェスを通して感じたのは、インダストリーでかっこいいと思っていた工業地域の昼の顔と夜の印象が、音楽やアートによってよりくっきり表現されていたということです。

昼間のライブシーンでは、屋内とはいえ、ゆうに2階以上ある屋根の高い工場の空間で、来場者はそこここに置かれたままの大きな金属の部品、年季の入った工作機械、サビのついた古い工具を目の当たりにすることができます。遊園地やテーマパークのようなイミテーション装飾ではない本物のインダストリアルな空間も楽しんでいたようです。

そして日が暮れると、作業現場はガラッと印象が変わります。工作機械や天井に吊るされた工具がライトアップされ、そこにくっきりと影が落ちます。無骨な印象が鮮明になり、様々な会場全体が力強い雰囲気に包まれていました。

工業のかっこよさが伝わる新しい形のフェス

無骨な重機や高さのある工場の空間など、日々工業地域で働く人たちにとっては当たり前でも、普段触れ合うことのない一般来場者の人たちにとっては工業地域の持つ魅力を知る、新しいきっかけづくりの形なのかもしれません。

なんとこれだけの音楽とアートの祭典も、夜のうちに撤収され、翌日からまたいつも通りの工業地帯に戻ってしまうそうです。まるで1日だけの幻だったのではと思うほどあっという間の出来事ですが、しかし、きっとこの街には、工業・音楽・アートの根底にある、何かを作り上げることへの挑戦心が生き続けるのだと思います。

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