IoT導入事例ファイル1: 中小企業5社のスマホを使ったIoT

初めまして、製造業のデジタル化を応援するライターの宮田文机です。IT・HR・ビジネス戦略などを専門に、盛岡と東京の二拠点で活動しています。

政府の後押しや技術の普及を背景に工場へのIoT 導入が進んでいます。しかし社内にIT人材がいない、古い設備を交換する余裕がないなどの理由で着手できていないという経営者・担当者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?そこでこの連載ではIoT化を職場改善につなげた企業の例を紹介、明日から役立つIoT化知識をお届けします。

第一回のテーマは、今や生活必需品ともいえる「スマホを使ったIoT化」です。

【執筆者紹介】宮田 文机
この記事の執筆者
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宮田 文机
盛岡在住ライター
執筆テーマ:IT・AI・ものづくり・HR・採用ノウハウ・ビジネス戦略
【経歴】
関西の大学を卒業後、東北のWeb・マーケティング企業にて2年間勤務。HR・IT系の記事執筆・編集経験を積み、その知見を生かしてフリーライター業務を行っています。ユーザー目線でベストな言葉を取捨選択し記事に反映することがモットーです。
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炉の遠隔監視・操作を可能にした岡谷熱処理工業株式会社

金型や工具の熱処理事業を行う岡谷熱処理工業株式会社。深夜無人状態で「焼き入れ」「焼き戻し」の作業を行っており、落雷などトラブル要因が発生するたびに社員が現場に駆け付けなければならないという問題がありました。

そこで熱処理炉・コーティング炉の炉内温度や使用電力量、冷却水温度などのデータをスマホで監視し、遠隔操作できるシステムを構築。働き方改革につながっただけでなく早急な問題の把握と立て直しに役立ったそうです。さらに製品の受注表の作成といった事務作業もスマホで登録できるようにすることで効率化・迅速化、さらにスムーズなデータ集積にもつながりました。

データの取得が容易になるIoTにおいて“いつでもどこでも状況把握ができる”という効果は代表的なものです。

独自開発のシンプルなシステムを活用する久野金属工業株式会社

愛知県の金属加工メーカー、久野金属工業株式会社はプレス加工を行うライン自体にセンサーを装着。社員がスマホで、1日の機械の稼働時間やサイクルタイム(一つの製品を生み出すまでに費やされる時間)などを把握できる環境を整えました。このIoTシステムは久野金属工業株式会社が関連企業と共同開発したもので「IoT GO」と名付けられています。

このようにIoTシステムを独自に開発、それ自体をビジネスとする製造会社も存在します。実は同システムが計測する対象は機械のオン/オフだけ。それだけで稼働時間や停止時間、サイクルタイムなどの重要指標は計測することができます。

そのようなシンプルなシステムから導入することが工場のIoT化で失敗しないコツのひとつです。ぜひ参考にしてください。

問題の原因特定を一目で可能にした株式会社土屋合成

文房具、自動車部品、時計など幅広い製品のプラスチック射出成型業を営む株式会社土屋合成。同社が実現したのはスマホとネットワークカメラを掛け合わせた生産状況監視システムです。

まず同社はメーカーの混在する成型機49台の稼働状況を取得し、正常稼働は青色で表示、停止中は赤色で警告など、一目で把握できるシステムを構築しました。そのうえで工場・事務所の全体にネットワークでつながったカメラを設置し、映像で問題発生時の様子を確認できるようにしました。

そうすることで原因特定が速やかに行えるようになりかつ問題解決に割かれる人員を減らすことで生産性向上にもつながったということです。

タブレット

クラウドサービスを上手に活用する株式会社幸田商店

食品製造業の現場でもIoTとスマホの活用による改革が始まっています。株式会社幸田商店は茨城県ひたちなか市に位置し、ほしいも、きな粉などの製造販売を行う企業。以前は生産管理なども手書きで行われていた幸田商店ですが、効率化を狙ってIoTを導入。原料と商品の出入庫情報をバーコード読み取りで入力できる体制を整え、リアルタイムでの在庫管理を可能にしました。

文章だけでなく画像や動画でも記録できるため情報量やわかりやすさが高まるという、データの質に対する成果もあったそうです。同社のシステムはkintoneやOneDriveといったクラウドサービスを用いることでコストが抑えられています。

導入スピードや運用の容易さにおいてもクラウドサービスには利点があります。

ノウハウ継承にIoTを生かす大鉄精工株式会社

医療機器や潜水艦など高い精度の求められる精密機械の切削加工を行うのが大鉄精工株式会社。同社はその貴重なノウハウの蓄積に「Teachme Biz」というクラウドベースのマニュアル作成ツールを導入。実際の作業現場で写真を撮影しその場でマニュアルの作成ができる環境を整えました。

紙の場合難しかったマニュアルの更新や差し替えも容易になり、指導の幅も広がったということです。

実はマニュアル作成もデジタル化によって得られるメリットの大きい作業です。

まとめ

スマホとIoTを掛け合わせ社員の負担軽減や生産性向上、ノウハウ継承につなげた中小企業5社の事例をご紹介しました。スマホは、最も普及したIoT機器ともいえます。うまく活用すれば安価かつ高速の導入・定着化も望めるでしょう。自社に重なる事例はないかぜひ振り返ってみてください。

この記事の執筆者
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宮田 文机
盛岡在住ライター
執筆テーマ:IT・AI・ものづくり・HR・採用ノウハウ・ビジネス戦略
【経歴】
関西の大学を卒業後、東北のWeb・マーケティング企業にて2年間勤務。HR・IT系の記事執筆・編集経験を積み、その知見を生かしてフリーライター業務を行っています。ユーザー目線でベストな言葉を取捨選択し記事に反映することがモットーです。
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