製造業の調達分野にイノベーションを起こすキャディ株式会社
ものづくり経革広場の徳山です。先日、製造業の調達分野においてイノベーションを起こそうとしている「キャディ株式会社」という会社様とお話をする機会がありました。
AIやIoTの活用によって、製造業のバリューチェーンの様々な分野でイノベーションが起こっています。しかし、調達という分野においては昔ながらの商習慣が根強く、発注者と加工業者の中継ぎを商社が行っているケースが多いことなど、非効率な状況が続いています。商社が間に入ることで調達業務の負担減に繋がるという利点はありますが、発注者にとっては調達コストが高くなりすぎたり、相見積もりが習慣化することで加工業者は受注できるかどうか分からない仕事に対する見積もり業務が増大したり、という弊害が生じてしまっています。
※同社Webサイトより引用
その効率化することができていない調達分野にAIの技術を持ち込むことによりイノベーションを起こそうとしているキャディ株式会社。今回はそんな興味深い取組みを行っている同社のサービス「CADDi(キャディ)」をご紹介します。
この記事の目次
発注者と加工会社を自動見積のテクロノジーでつなげる「CADDi」
「CADDi」は、製作したい製品の3DCADデータさえあれば、人手を介さずWeb上で見積額を算出できる画期的なシステムです。現状は板金加工に特化していますが、2019年以降は機械加工品などにも対応していく予定だそうです。
特注板金加工品の3DCADデータを「CADDi」にアップロードすると、瞬時に見積・納期が表示され、そのまま発注することが可能です。
実際に製品を加工するのは、同社が独自に開拓した板金加工業者ネットワークの中から選び出された最適な一社(もしくは複数社)です。従来の商習慣を変えてしまう取組に対し保守的な会社が多い中で、このような先進的なサービスに賛同してもらえる多くの板金加工業者の協力を得ることができているのも、当サービスの大きな強みと言えるのではないでしょうか。
なお、3DCADデータがない場合でも、2D図面データ(dxf、dwg、pdfなど)があれば、同社スタッフがアナログ対応していただけるそうです。外注先をお探しの方は利用してみてください。
※データのアップロード画面(サービスサイトより引用)
加工業者にとって「CADDi」が一つの選択肢になるように
どうしても発注者側の力が強くなってしまう当業界において、同社は加工業者への配慮も忘れていません。「CADDi」では1社当たりに発注する仕事量を会社全体の売上の最大30%程度に抑えるよう調整しているそうです。もちろん一社当たりの仕事量を増やせば、加工業者への影響力が増大し仕事のコントロールがしやすくなりますが、それは発注者側の論理です。加工業者側にとってキャディの仕事へ依存してしまってはリスクが高いし、力関係が対等でなくなってしまうため、敢えて一社当たりの仕事量の調整を行っているそうです。
発注者だけでなく、加工業者の繁栄も考慮しなくてはビジネスモデルが成り立たなくなる、同社のビジネスモデルは絶妙なバランス感覚が求められるのだと感じました。
見積もり業務から開放され本業に専念できる
加工業者にとって「CADDi」を利用する一番のメリットは、煩雑な見積もり業務から開放されることです。山積みになった図面の見積もりを夜遅くまで行ったことのある社長(営業担当の方)はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。当システムが普及すれば加工業者は見積もり業務から開放され本業に専念できるようになるかも知れません。
現状多くの発注者が「CADDi」を利用し発注量は右肩で上がっていて、協力してくれる加工会社を積極的に探しているそうです。工場のキャパにまだ余裕がある板金加工を行っている方は一度コンタクトを取ってみてはいかがでしょうか(弊社にご連絡いただければ担当者の方をご紹介することも可能です^ ^)。
取材先企業情報
社名:キャディ株式会社
代表者:代表取締役 加藤 勇志郎
資本金:7,500万円(資本準備金含む)
従業員:20名