経営者に求められる「人間性」とは

私の連載は本日で一旦終了となります。最後に「弁護活動」を通して感じることを書きたいと思います。

社員目線から経営を考える

この連載は、株式会社吉原精工の改革にスポットを当ててきました。「社員目線から経営を考える」という吉原会長の試みを、法的に分析するという取組みをして来ました。弁護士として活動している中で、よく遭遇する①退職の場面の問題、②賃金にまつわるトラブルをメインに取り上げ、法的なアプローチの一端を解説しました。

しかし、語弊を恐れずに言えば、私が一番伝えたかった点は「法律のテクニック」ではありません。

「法律」を使うのは人間です。どのような立派なテクニックを使っても、土台となる経営者の「人間性」がぶれていれば長続きはしません。この考え方に賛否両論はあると思いますが、私は経営者の「人間性」こそが一番大切だと思います。ここでいう人間性とは、経営者は聖人君子であれということではなく、多角的な視点をもって考え、「脳に汗をかく」ことができる知性のことです。

このような考え方に至った理由は、私の弁護活動に起因している点が大きいと思います。

企業側の弁護士をしていると、

  • 「一円も残業代を支払いたくないから、賃金規程をうまく作って欲しい」
  • 「経営者が絶対なので、歯向かう人間はすぐにクビにできて当然だ」
  • 「有給を平気な顔で取得する従業員がいると、士気が低下するからどうにかして欲しい」

といったような、一方的に過ぎる要望を伝えてくるクライアントがいます。

しかし、このような経営者に従業員はついてこないのが現実です。ついてきていると思っているのだとすれば,それは恐怖政治を敷いた結果、「裸の王様」になっているだけであり、土台が足元から崩れている危険性を認識できていない非常に危ない状態だと言えるでしょう。

働き方改革

私が吉原会長に出会い、直接お話をして書籍も拝読したとき、一貫していたのは「人間に対する洞察力の深さ」でした。逆の立場だったらどう思うのか、自分が従業員だったら働きたいと思うか、という点にストイックに向き合い、企業の舵取りをしておられました。その「多様な視点で物事を考え抜く」という知的労働が習慣化しているため、気がつけば「働き方改革を体現している会社」として多くのマスコミに取り上げられることになったのだと思います。

「働き方改革」という言葉が独り歩きしている感はありますが、すべて「人」の所業です。

私も一経営者として、「多角的な視点からストイックに考え抜く」ということを習慣化し、一緒に働く人が幸せになる組織を作りたいと思います。それ以外に、「良い組織」は作ることはできないと思います。

「法律」はその上でこそ活きるものだと信じて疑いません。

本連載を最後までお読み頂いた読者の皆様、お付き合い頂き本当にありがとうございました。またどこかでお会いしましょう!

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