数字ではない情報を整理するN7

ものづくりドットコムの熊坂です。

会社で仕事をしているうちに少しずつ守備範囲が変わっていくことはよくあります。自分の場合学部生の専攻は応用物理でしたが、50歳で技術士を取る時は経営工学(生産マネジメント)で受験し、53歳で社会人入学した大学院は技術経営専攻でした。ものづくりドットコムで扱うテーマも製造業全般ながら、経営工学/技術経営分野にやや偏っているのは、私の専門分野だからです。

そんな中、知人の編集者から声がかかり、ものづくり・産業技術専門誌である月刊JETIの10月号から1年間、「開発/設計者のための技術経営」というテーマで連載することとなりました。ここ、ものづくり経革広場の記事と重複するところもあり、できるだけ現場で役立つMOTを目指して、自分なりの視点を打ち出していきたいと思っています。

さて毎回ひとつずつ紹介しているものづくりキーワードですが、今回は「N7(新QC7つ道具)」を取り上げてみます。

N7?

N7とは”New QC 7 tools”つまり「新QC7つ道具」の略称で、QC7つ道具の略称Q7に対比してこう呼ばれます。しかしそもそも新QC7つ道具自体がQC7つ道具に比べて認知度が低く、その略称であるN7と聞いて即座に回答ボタンを押せる人は、品質管理関係者だけでしょう。

N7の起源ですが、まず製造業におけるQC活動の高まりとともに高度成長期の’60年代末頃から「QC7つ道具」が主に生産現場改善で数値統計に使われていました。それに加えて定性/言語情報の分析に対するニーズが高まったため、日科技連主導の元で’72年から新しいツールの検討が始まり、管理者・スタッフのために’77年に発表されたのがN7です。

その中身は、親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイアグラム、PDPC法、マトリックスデータ解析法の七つであり、主に品質改善、業務改善の計画用途で使用されます。以下簡単に説明します。

(1)親和図法

あいまいな事柄を理解するにあたり、複数のメンバーで意見、事実等をカードに記述し、集めた中から親和性の高いグループを探し、そこに新たな名前を付けていく事で、構造を明らかにし、事象を整理してゆく方法です。考案者の川喜多二郎氏のイニシャルからKJ法とも呼ばれます。

(2)連関図法

複雑な事象に関して「原因→結果」という矢印を付してゆく整理法です。事象が複雑に絡み合う問題では、多くの要因を検討する必要があります。全ての項目、要因を原因→結果の関係で整理する事で、真の原因に手を打ち、効果的に対処することが可能になるほか、作成する過程で気づかなかった要因を発見する契機ともなります。

(3)系統図法

ものごとを考える過程で、ある項目と因果関係のある複数の項目を順次ツリー状に結び付けてゆくことで系統的に整理する方法です。目的を実現する方策・手段を展開してゆく「方策展開型」と、組織図などのように業務や機能の構成要素を系統的に整理する「構成要素展開型」に大別でき、いずれも思考を構造化して整理する方法です。

(4)マトリックス図法

マトリックスとは縦横すなわち行と列からなる構造ですから、この図法は、ある事象を表現する2つの特性を縦横の表形式に配置することで問題点を多面的に把握し、その解決に役立てる方法です。2つの項目の関連度合いを◎○△などと記入してゆく事で、問題の分布状況や全体像が理解しやすくなります。 項目の選び方が重要ですので、連関図や系統図などを利用して重要項目を選択します。

(5)アローダイアグラム

プロジェクトの計画に際して、作業と作業を矢印(アロー)で結び、そこに所要時間を配置することで、最短時間やCP(クリティカルパス)を見つける方法です。タスクをバー状に表現するスケジュール管理のガントチャートに似ていますが、この場合タスク数が増えてしかも相互の関係性が複雑になると管理が難しくなるため、PERTの価値が出てきます。

(6)PDPC法

Process Decision Program Chart(過程決定計画図)の略称で、何らかの計画を策定する時に開始からの過程を、いろいろと予測される全ての事態に対してあらかじめ対策を準備して、矢線でつないだ図を作っておく方法です。もともと1968年の東大紛争の際に、当時教授だった近藤次郎氏が、予測困難な紛争の進展とその分岐ごとに異なる対応を計画したことから創り出したものであり、未確定、未知な事項に対して迅速に行動する必要がある場合に有効です。

(7)マトリックスデータ解析法

多数の数値を整理するにあたり、説明変数同士の相関をもとに、できるだけ少数の指標で記述し、それを平面上に表す手法で、多変量解析分野では主成分分析と呼ばれます。手順としては説明変数間の相関行列を作り、説明変数と同数の主成分を定義し、それぞれの寄与率を評価する事で、各主成分の意味を考えます。特徴的な2つの主成分軸で各サンプルを評価すると、当初の説明変数で比較するよりもそれぞれの特徴を一層際立たせることが可能になります。

QCサークルや問題対策会議などで、たくさんの意見が出た時に、そこから有効な考えを導きだすことが重要となります。ひとつの意見も無駄にせず、しかも明快な結論を出すことは容易でありません。ここで挙げた方法を試して、課題解決に役立ててください。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、浅田潔さんがN7の専門家です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

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