シェアリングエコノミーが自動車業界に与える影響

シェアリングエコノミーの影響を大きく受ける自動車業界

シェアリングエコノミーの普及により、最も大きな影響を受けるのが自動車業界と言われています。このブログを読んでいる方の中で自動車業界の仕事に携わっている方も多くいらっしゃると思います。

そこで、今回のブログでは自動車業界におけるシェアリングエコノミーの一般知識から、現状どのような動きが起こっていて、将来的にどのような変化が起こり得るのかについて書いていきます。

自動車業界におけるシェアリングエコノミーの一般知識

自動車業界のシェアリングサービスと言えば、Uberなどの相乗りサービスや、タイムズなどの車を借りることのできるサービスが代表的かと思います。これらのサービスは総称してモビリティサービスと呼ばれ、カーシェアとライドシェアの2種類に分けられます。

市場がどれくらい成長しているかというと、カーシェアで言えば2010年に1万人強だった会員数は2017年に初めて100万人を突破(公益財団法人交通エコロジーモビリティ財団)するなど、成長性は非常に高いです。

※公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団調べ

具体的にどのようなサービスがあるか

タイムズカーシェア

法人対個人におけるカーシェアの分野ではタイムズカーシェアがダントツで利用者数が高いサービスです。法人版サービスでは運転者の利用状況だけでなく従業員の運転傾向なども分かりとても便利です。弊社でも数年前に社有車をすべて売却し、カーシェアに切替えたことで大きなコストダウンを図ることができました。

Anyca

個人対個人におけるカーシェアの分野ではDeNAが運営するAnycaが、特に都心部で伸びています。弊社社員もオーナー側で利用していますが、外車でMT車という特殊な車種にもかかわらず、月の駐車場代ぐらいはペイできるそうです。

Uber

ライドシェアは世界的にはUberが有名ですが、日本での利用者は少ない状況です。日本では、自家用車を用いるライドシェアは「白タク行為」として禁止されており、交通不便な過疎地域等でしか認められていません。海外では都心部での利用が中心となるため、この規制が緩和されない限り日本での利用促進はないでしょう。しかし、日本の都心部では流しのタクシーがそこらじゅうを走っていますから、規制が緩和されても利用者は海外ほど伸びないのでは、とも言われています。

自動車メーカーの取組み

このような流れに最も影響を受ける自動車メーカー各社も黙っているわけではありません。国内外のメーカーの動向、更には新規参入企業がどのような動きを行っているかを紹介していきます。

国内外メーカー カーシェア事業の取組み

日本や欧米の自動車メーカー各社もカーシェアおよびライドシェアの分野へ参入を行っています。下記のように欧米のメーカーは積極的に取り組んでおり、関連サービスも手掛けている企業が少なくありません。

※出典:三井住友銀行レポート「自動車シェアリングの動向」

日本では、トヨタ、ホンダ、日産がカーシェア事業に取り組んでいますが、市場のほとんどはレンタカー事業を行っていたタイムズやオリックスといった会社に席巻されている状況です。

ライドシェアは新規参入企業が増加

ライドシェアに関しては自動車メーカーだけでなくIT企業を中心に様々な企業が出資や参入を行っています。ライドシェアの分野では、サービス事業者が自動車を保有する必要がありませんから参入障壁が低く、激戦市場になることが考えられます。既に自動車メーカーだけでなく、下記のような様々な企業が参入しています。

※出典:三井住友銀行レポート「自動車シェアリングの動向」

自動車業界への影響

上述したようにシェアリングサービスの成長率は高く、徐々に自動車業界に与える影響は大きくなると考えられます。具体的に自動車業界にどのような影響があるのかを考えます。

普及のポイントは「乗り捨て」が出来るようになるか

日本ではまだレンタカーと同じように、借りる場所と返す場所が同じ「ラウンドトリップ方式」が主流ですが、乗り捨て(ワンウェイ方式と呼びます)が出来るようになれば爆発的普及となるのではないかと考えています。

ワンウェイ方式が可能になれば、通勤や営業時の移動などでちょい乗りする、という需要を拾えるようになりますし、帰省時に使えるようになったりと、利用用途が一気に広がります。

GMが乗捨サービスを開始(Maven(メイブン))

GMが運営しているカーシェアサービス「Maven」は、世界でも珍しい乗り捨ても可能なサービスです。
参考:スマホで解錠・返却可能なGMのスマートカーシェアリングサービス「Maven」が目指す未来とは?(by Gigazine)

Times Car PLUS × Ha:mo

日本では都内でワンウェイ方式のカーシェアができないか、カーシェア業界最大手のタイムズが実験的にスタートしています。ワンウェイ方式では通勤や営業時の移動などが中心となるため、「Ha:mo(ハーモ)」という一人乗りの自動車を開発し普及を目指しているようです。

自動車業界にどのような影響があるのか

カーシェアの利用者が増えると、自動車の生産台数が減るのではないかと思われるかもしれませんが、地方での自動車保有者は減らないと予想されるのと、都心部でも自動車未保有者の自動車利用率が向上することから全体の生産台数は減らないのではないかと言われています。

ただ、自動車業界にとって新規参入業者が増え業界全体の再編が行われることは避けられないと思われ、下記のような変化が起こるのではないかと思います。

  • 自動車メーカーの中心顧客が個人ではなくカーシェア事業者へ変化
  • 乗り捨て専用の自動車、電気小型自動車が多く登場する
  • 自動車を製造するのが自動車メーカーだけとは限らない(IT業者の参入)
  • 電気自動車(=家電に近い)製造における異業種サプライヤーとの競争
  • 異業種からの新規参入者に対しては、自動車製造のノウハウを持っているサプライヤー側が主導権を握れる可能性が高まる

変化に対する準備と心構え

ものづくり経革広場の読者の中には自動車業界に携わるサプライヤー企業の方が多くいらっしゃると思います。サプライヤー企業はこの変化に対し、どのような準備を行い、どのような心構えを持つべきなのでしょうか。

個人的な考えとしては、様々なプレイヤーが参入し業界のルールが大きく崩れる中で大きな強みとなるのが「スピード」だと思います。変化の激しい業界の中で常に勝者となるのはスピードの早い企業です。そういった企業との取引にいかについていけるかが鍵になるのではないでしょうか。

日本のサプライヤー企業は中国に比べスピード感に劣ると言われています。しかし、これからの時代でそれは命取りになるかも知れません。下記は以前にもご紹介した4コマ漫画ですが、これが笑い事にならない時代になるかも知れませんので、今から心して準備する必要があるかも知れません。

※出典:カデーニャファクトリー

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