ホームページを使って量産品製造の問い合わせを増やす方法

こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。

かつては国内にあった多くの量産品は中国に流れてしまい、国内での受注は特に難しくなってきています。しかし、最近では品質などの問題で中国からの出戻りがあったり、工場が近い国内で作る流れが戻りつつあります。もちろん、量産品に求められるものはコストダウンがメインで薄利多売な仕事となりますが、それでも量産品は安定した受注を見込めるため、魅力的な仕事です。今回はホームページを使って「どのようにして量産品を受注できるか?」について、大手メーカーをターゲットとした場合の一例をまとめました。

【執筆者紹介】永井 満
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永井 満
テクノポート株式会社 東海地方責任者

大手メーカーで設計開発を経験しているWebマーケター。クライアントの技術を理解した上でWebサイト戦略を立てることを得意としてます。

【経歴】
日本大学大学院航空宇宙工学専攻
ボッシュ株式会社でディーゼルエンジンのポンプ設計を担当
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1.発注者が製造先を探す理由は何か?

まずは、発注者がどのような理由で製造先を探しているのかについて知る必要があります。 メーカーは既存の製造先を持っているため、新たに量産品の製造先を探す場合は何かしらの理由(ニーズ)が必ずあります。

  • コストダウン:最も大きな理由です。
  • 生産キャパオーバー:既存工場で対応できる量を超えたため、一時的もしくは長期的に助けてくれるとこを求めています。
  • 天災による製造停止:地震や大雨などで、既存工場が可動できなくなったため、一時的な協力を要請したいと考えている。納期優先。
  • 技術的に製造できない:新規部品のため、既存工場の技術力で対応ができない場合です。
  • 品質不良:既存工場の品質が明らかに低く、改善の余地がない場合の転注先を探している場合です。
  • 複数社購買によるリスクヘッジ:これまで1社供給だったものをリスクヘッジのために供給先を増やしておこうという場合です。

ホームページで量産品の受注を狙うには、これらのニーズを満たすための情報を提供することが大切になります。

2.製造先の選定条件

次に、製造先を探す際の選定条件です。先程の理由に追加して、メーカーごとに独自基準を設けているケースがあります。大手メーカーになればなるほど基準は厳しくなりますが、下記に該当する項目があればすべてホームページに掲載してください。

製造技術

当たり前ですが、最も大切なことは図面通りに作れることです。これは試作品ではなく、量産品の製造ラインで作れることが求められます。量産品になると寸法のバラツキが発生するため、如何にバラツキの少ない方法で製造できるかが求められます。

→製品事例(製品写真、寸法、寸法公差、幾何公差など)

生産能力

所定のロットを製造できることは当たり前ですが、今後の生産増加の可能性も含めて、キャパに余裕のあるところを探しています。また、長期的(年単位)に見たときに、生産能力を維持できるのかどうかも注意しています。

→製品事例+月産対応可能個数、生産設備

品質管理

不具合品があると大本の生産ラインが止まる可能性があるため、製造側の製品バラツキの管理方法がきちんとしていることが第一条件になります。また、不具合品が市場に流れた場合、製造工程まで追えることが求められるケースもあります。

そのため、製造側はある製品が「いつ、どのラインで、どのようにして」加工されたかを管理する必要があります。

→品質管理の取り組み、測定設備

生産拠点

東日本大震災で東日本の製造ラインが止まったことから、「複数の拠点を持っていること」を新規取引条件として加えたところもあります。

→拠点ごとの生産体制

コスト

コストは安いことが求められますし、年々値下げ要求が必ず入ります。コストダウンはそのまま利益ダウンに直結しますが、VA・VE提案をしてくことでコストを抑える努力をしていく必要があります。

→VA・VE提案の実績

実績

生産設備、品質管理、製造技術を聞いても新規取引に不安のあるところは「実績」を重視します。

3.メーカーの担当者のメリットとなる情報を掲載

ホームページには、できる限りの情報を出して「量産品を作る能力がある」ことをアピールしてください。2の内容について、該当する部分をそのままアピールしていただいても大丈夫です。量産品の場合、製造先の選定はメーカーの購買が調べるケースがほとんどです。そのため、その購買が最も気にしている内容(自分の評価が上がるポイント)である、コストと安定供給について詳しく記載しておくと、購買の心を掴めます。

また、製造の可否の判定については、設計、生産管理、品質管理部門がメインになってきます。それぞれが気にするポイントは、

  • 設計:期日までに試作品を完成させることとコスト。
  • 生産管理:安定供給とコスト。
  • 品質管理:安定供給とコスト。

となります。量産品の場合、どうしても「コスト」が優先事項にあがりますので、コストを抑える提案や初期の段階で少し高めにもらえる交渉などは必須になります。

まとめ

量産品の新規受注は難しい状況ではありますが、ホームページを使って問い合わせを増やすことは可能です。具体的には、「量産品を作る能力がある」ことをアピールした上で

  • コストが安い
  • 品質管理が徹底している
  • 製造技術力が高い
  • 製品バラツキが少ない
  • 生産能力が高い

など特徴を出すことが求められます。

今回は大手メーカーの考えを中心にしましたが、生産個数が少なくなるとまた別の必要条件が出てきます。ホームページでは貴社がほしい仕事内容に対して、適切な情報掲載が求められます。テクノポートでは製造業のマーケティングのお手伝いもしていますので、いつでもご相談ください。

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永井 満
テクノポート株式会社 東海地方責任者

大手メーカーで設計開発を経験しているWebマーケター。クライアントの技術を理解した上でWebサイト戦略を立てることを得意としてます。

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日本大学大学院航空宇宙工学専攻
ボッシュ株式会社でディーゼルエンジンのポンプ設計を担当
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