製造業の企業ブランドを決定する2大要素について
こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。
製造業にも企業ブランディングの必要性が高まってきました。これまで取引のない企業に対してはホームページや展開会に出展するなどをして、企業ブランドを認知させていきますが、既に取引のある企業に対してはどのようにすればよいでしょうか。ブランドはお客様が貴社に持つイメージそのものです。そのため、お客様との接点となる「製品」と「企業としての対応」の2つを工夫することで、貴社のブランドをある程度操作できるようになります。今回はその2点についてまとめました。
この記事の目次
1.製品が与えるブランドイメージ
製品はブランドイメージを相手へ伝えるために最も重要な役割を担います。。精度などが図面値に入っていることは当然のことですが、それ以外にもお客様が見ている点について紹介します。
1-1.きれいな仕上がり
製品をぱっと見てわかるのが仕上がりです。図面通りに製品ができていることは当然ですが、「きれいな仕上がりは=いい仕事している」と思ってもらえます。
例えば、切削加工であれば小さなキズ、打痕、ツールマーク、面取りなども見られています。特に、溶接の場合は美しい溶接痕であることが一種のステータスにもなります。
もちろん仕上げ加工を無駄に追加することで、コストや納期が遅くなったりしては意味がありませんが、コストが同じであれば美しい仕上がりを目指すべきだと私は思います。
「図面値に入っているからいい」ではなく、「なるべくきれいな製品を納品する」ことで「きれいな製品を作る企業」というブランドを作ることができます。
1-2.低い不良率
量産ではいかに気をつけようとも不良品は出てしまいます。自社の中で不良品を発見することができればよいのですが、お客様先で発見され、かつラインを止めてしまった場合は多大な損失を与えてしまいます。
そのため、量産品の場合は1個の出来ではなく、数万個の製品の出来を良くする必要があります。なかなか難しいとは思いますが、不良率が10ppm未満ですとお客様も安心して依頼できます。
不良率の低い製品を提供することで「安心して量産を任せられる企業」というブランドを作ることができます。
1-3.見せる技術力
加工方法がわからない製品や自分では到底出来ない加工を見た時に、技術者は感動します。
例えば、細穴深穴加工、薄肉加工、微細加工などのわかりやすいものや、高精度なプレス加工やはめあいなど見た目ではわからなくても、気づいたときに「えっ?」と思える加工です。
普段の打ち合わせのときに「実はこのようなものを作ってみたんですよ。おもしろくないですか?」といった、ちょっとした会話から自社の技術力をさり気なくPRすることで、「難しい加工もできる企業」というイメージをもっていただけるようになります。
2.企業の対応が与えるブランドイメージ
2-1.過去まで追える品質管理
不良品を出さないことはもちろんですが、不良品が出てしまった時に原因を追求できるように生産行程を再現し、改善できる企業は「安心して任せられる企業」というブランドを作ることができます。
特に、大手メーカーの場合は不良の再発を嫌います。不良品が出た時は、製品がいつ、どこで、どのように加工され、なぜそのような製品が流出してしまったのか、そして今後はどのようにすれば改善できるのかを明確に提案しなければなりません。
逆にそのような管理をすることができれば大手メーカーからも信頼されるブランド力を身につけることができます。
2-2.見積もりよりも安いコスト
コストは企業ブランド決める上で、かなり重要な項目になります。もちろん、実際にコストが安いことは大切ですが、コストを安く感じさせる工夫も大切です。
例えば、ある企業では「見積もりよりも加工時間を短縮できたので、安くしました」ということを通じて自社のブランド力を向上させています。
「安くするための努力をしていることを相手に見せる」ことで、「低価格で依頼できる企業」というブランドを作れます。
2-3.予想よりも早い納期
納期は企業努力である程度調整が可能です。
納期を守ることはもちろんですが、短納期での対応や依頼した納期より少し早めに納品するなどをすることで、企業のイメージを変えることができます。
例えば、実際の加工可能な日よりも1日遅めに伝えて、1日早く納品するれば、加工側の手間は変わりませんが、発注側の印象は良くなります。 また、本当に困っている時に短納期で加工をしてあげることで、お客様の信頼も増します。
また、納期だけではなく、電話対応や見積もりなどに対してレスポンス良く対応していくことで、「仕事が早い企業」というブランドを作ることができます。
2-4.不具合発生時の突発対応
製造をしている以上、不具合の製品が出てしまうことはさけられません。品質管理に気をつけていても、不具合品は必ず出てしまいます。
不具合品は相手先で見つかることが多いので、相手が怒っている状況の中で、原因追求をしていかなければなりません。
このときの対応が「誠実かどうか」で、企業のイメージは大きく変わってきます。対応が良いと「何かあっても安心して頼める企業」となりますが、対応が悪ければ「二度と頼みたくない企業」になってしまいます。
不具合品は出さないに越したことはありませんが、相手の予想を超える対応をするこでピンチをチャンスに変えることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ブランドはお客様のイメージです。既に既存の取引のある企業に対しては「製品」と「企業としての対応」で、自社のイメージは良くも悪くもなります。
これからブランド戦略を立てていこうとお考えの方は参考にしてみてください。