月井精密のデジタル化への道【2】

こんにちは。名取磨一です。

前回のブログでは、デジタル化へまい進するため、NCのマシニングセンターを購入しようと銀行へ向かう事を決意したところまででした。銀行の反応は如何に。

事業計画書

それまで自分では借金の経験がなく、会社は借金などしなくとも、うまく回っていくものだと思っておりました。しかし、製造業においては定期的に大きな設備投資をする必要があり、数千万円もする機械を現金で一括購入することの方がリスクが大きいということを税理士や金融機関の方から教えてもらい、借金をするということに強い抵抗感を感じつつも、初めて銀行融資を申し込むことにしました。

その際にどのように事業計画書を作成したらよいのかもわからず、融資担当の方に経理の仕方、会計の仕分け方、管理会計、決算書の読み方など手取り足取り教えてもらい、なんとか事業計画書を完成させ、銀行に行くと意外にも温かい目で事業計画のプレゼンを聞き入れてくれました。融資を受け、弊社にとって初めての数値制御の工作機械であるマシニングセンターを設備することができました。

CAD/CAMとの出会い

しかし、どんなに生産性の高い工作機械を設備しても、ダウンタイムを減らし稼働率を上げなければ、売り上げにはつながりません。早急にマシニングセンターのプログラムを早く作る方法を教えてもらう必要がありました。

山梨県都留市でマシニングセンターの達人がいると聞き、知り合いから紹介してもらって1週間泊まり込みで修業させてもらいました。そこで生産効率を劇的に上げることのできるツール「CAD/CAM」に出会いました。

CAD/CAMはまさに僕の考える「デジタルものづくり」には欠かせないツールで、これを使いこなせばどんなメーカーの工作機械でも動かすことができると知り、今度はドイツ製の5軸マシニングセンターを導入し、ドイツのものづくりを学ぶために、シュトゥットガルトに修業に向かいました。

当時はまだ生産効率がとても低い状態でしたが、好景気の追い風もあり順調に設備投資を重ね、人員も増加し、受注量も伸びていきました。しかしこの時、売り上げは伸びているのに利益が思ったほど伸びない状況にあることに気が付きました。中小製造業によくある「忙しいのに儲からない現象」です。

原因は見積りに

当時は北京オリンピックと円安の影響で毎月のように材料代や工具代、燃料代が上がっていましたが、僕が行っていた見積り方法はまさに「どんぶり勘定」でした。そのため、経費が上がって利益を圧迫していることに気が付きませんでした。

そんな中、突然やってきたのがリーマンショックでした。新規案件はストップし、依頼される仕事のボリュームは半減し、次から次に値引きの価格交渉に応じなければなりませんでした。客先からは毎日のように「どこまで値下げできる?」と聞かれ、今まで受けていた仕事をどんどん値下げしていきました。

低価格対応と円高対策のため、タイのアユタヤにてローカル企業とジョイントベンチャーを組んでNatori High Precision Thailand CO.,LTD.を設立し海外生産を進めることで損益ギリギリの状況が続きました。

会社を維持するためには、どこまで値下げしたら赤字がどれくらいで納まるのかが正確に算出できるシステムがないと会社維持は不可能なのではないかと思いました。

その時初めて製造業には「技術力」と「見積力」が必要であるということに気が付きました。

このように、設備投資や人員の増加、リーマンショックや海外進出など中小製造業は会社の状況が刻々と変化する中、見積り金額自体も刻々と変化していかないと、きちんとした最終利益を確保できなくなるのではないか、との思いから助成金を活用し、大学と連携し合いながら「クラウド見積りネットワークサービスTerminalQ」を開発し、株式会社NVTを立ち上げました。

現在は「日本で試作・タイで量産」という製造の流れを確立し、「世界中で使えるクラウド見積りネットワークサービスTerminalQ」を使って国内2工場、海外1工場、協力企業約100社をつないで連携をとりながら「デジタルものづくり」を推進しております。

今後ともよろしくお願いいたします。

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