ものづくりベンチャーと町工場の連携が進まない理由

ものづくり経革広場の徳山です。先日「経済産業省がものづくりベンチャー支援するネットワーク作りに乗り出す」というニュースを見つけました(以下、毎日新聞の引用)。

経済産業省が、「ものづくり」を手がけるベンチャー企業の製品試作を支援するネットワーク作りに乗り出す。製品のアイデアを持つベンチャー企業と、既存の町工場のものづくり技術を結びつける拠点「スタートアップファクトリー」を民間施設の中から選定し、2018年度から設備導入補助や人材育成支援を実施する。ベンチャー企業が、市販レベルの製品を試作する段階で事業に行き詰まる「量産化の壁」を解消するのが狙い。

以前から同様の取り組みは各地で行われていましたが、経済産業省が本格的に乗り出す、ということで大きなニュースになっていました。そもそも何故ものづくりベンチャーと町工場がうまくマッチングせず製品開発がうまく進行しないのでしょうか?両者との接点が多い弊社なりの理由をいくつか考えてみました。

①町工場がものづくりベンチャーとの取引を嫌がる

多くの町工場がメーカーからの下請け仕事に慣れてしまっていて、図面がないと物を作りたがりません。ものづくりベンチャーの仕事は面倒な割に利益にならないのでどうしても積極的に引き受けようとは思わないようです。また、金型製造など大きな資金を要する製造案件の場合、資金回収のリスクが発生するため取引に至らない要因にもなっています。更に加えると年齢差(ジェネレーションギャップ)から生まれるコミュニケーションロスも大きく、取引を敬遠される要因になっていると思われます。

②ものづくりベンチャー側の知識不足

次に指摘するのが、ものづくりベンチャーの多くが初めて製品開発に挑戦するため、製品を製造するのにどれぐらいのコストがかかるか分かっていないということです。3Dプリンタなどの機器が流行した影響でものづくりのハードルが下がったように感じていますが、それは試作の話で量産に関してのハードルは全く変わっておらず、そのギャップを理解できていないことが多いようです。

③製品製造における横断的な知識を両者が持っていない

町工場は製造におけるプロだと見られるが、多くの会社がニッチで部分的な仕事しかしておらず、自社の設備でできることを前提に考えてしまうと最適な製造法を提案できる訳ではありません。なので、どのような素材・加工法が最適で、どのような協力工場が必要かをコーディネートできる存在にはなりにくいです。最適なコストでスピーディに製品を製造しようとした時に、全ての部品を一から作るのではなく、既製品などの活用も視野に入れて設計することも必要で、その辺りの知識も必要となります。

ゆえに、上記のような問題点を払拭できるような民間施設と連携しないと当取組はうまくいかないのではないかと考えています。具体的には、積極的に協力してくれる町工場のネットワークを築くこと(日頃の人間関係から多少無理も聞いてくれるような)、ものづくりベンチャー側の製造に関する教育を行うこと、両者の間に立ちコーディネートできる人材の確保、などが必要になるのではないでしょうか。

また、ものづくりベンチャー側が初期投資におけるリスクを全面的に背負わなければならない現状も製品開発における大きな阻害要因になっていると思われます。クラウドファンディングなどの解決手段もありますが、寄付者へのリターンなどのコストも考えると十分な資金源にはならないことが多いです。もっとリスクを分散する仕組みが求められます。

資金調達に関しては、今後ものづくりベンチャー向けのベンチャーキャピタルなどが増えてくると思われるので、リスクを全面に背負うケースも減っていきそうです。しかし、ベンチャーキャピタルに今後求められる支援として、資金やマーケティング面の支援だけでなく、上記のような製品製造におけるコーディネータ的な役割を担うことも必要となるのではないでしょうか。

記事の最後の方に「事業化を目指す会員に深センの企業から支援の声がかかっている。このままでは事業アイデアが海外に流出してしまう」とありますが、この脅威はとても大きいと思います。こういう話を聞くと「コストが安いから中国企業」と思われがちですが、深センなどの企業と取引する会社はコスト以外のメリットを感じています。それが分かりやすく表現されている四コマ漫画がありますので最後にご紹介します。これを見ると町工場側の変革も求められそうですね。。

 

関連記事一覧