現場改善の定石

ものづくりドットコムの熊坂です。

このところ立て続けに私のインタビュー記事が、新聞とネットで公開されました。

https://www.monodukuri.com/media_printing_history

さして誇らしい人生でもありませんが、今の事業を始めた動機、目指しているビジョンを知ってもらうことは、利用する人たちにも重要であり、何より自分自身で確認できることが大事であったりします。必ずしもあらゆる計画がうまく進まない訳であり、そんな時はこれらの記事を読み返し、初心に戻って行動しようと思います。

さてものづくり革新の手法を一つずつ紹介していますが、今回は「現場改善の定石」についてお話します。

現場改善の必要性

3月の投稿で生産性の重要性を説明しましたが、実際に生産性を上げるのは容易でありません。できれば新しいことに手を付けずに、なんとか今のままで済ませられれば、という想いも理解できます。

しかしながら、残念なことに低成長の時代にあって、どこかが伸びればその分だけどこかが縮まるしかありません。つまり競合が改善して生産性を上げ、自社が従来通りでいたら、その分だけ競争力が下がり、売上や利益が下がることになります。

また仮に競合の改善度合いが少ないとしても、生産性を上げるということは少ない工数≒時間で多くの価値を生み出すということですから、労働分配率が同じで労働時間が同じなら報酬が増え、報酬が同じなら労働時間が減って、いずれにしてもより豊かな生活につながるはずです。報酬が増えずに労働時間も減らないとしたら、会社の内部留保が増えるので、将来的に仕事が無くなるリスクが減ることになります。要するに業務の改善は誰かのためではなく、すべて自分に還ってくるものです。

改善の方法は無数にあり、また個々に状況が違う現場に応じて工夫すべきものではありますが、一方であらゆる改善を無手勝流でやるのは効率が悪すぎます。今回は改善活動において初めに考慮すべき視点、定石を3つ紹介します。

定石その1:ECRS

これは現場改善に有効な、次の四つの視点の英語表現頭文字を示したものです。

(1)排除する(Eliminate)

本当に必要なものでなければ、工夫する前に捨てるべきです。

(2)結合する(Combine)

別々の機能、工程をひとつにまとめることで、作業時間の短縮、スペース削減などが可能となる場合があります。

(3)交換する(Rearrange)

従来の工程や場所を入れ替えることで、作業の円滑化、搬送距離/時間を削減できる可能性があります。

(4)簡素化(Simplify)

複雑な作業を簡略にしたり、繰り返しを減らすことで、作業時間を短縮するだけでなく、ミスの低減にも効果が期待できます。

定石その2:3S

これも現場改善に有効な、Sで始まる三つの視点を示します。

(1)単純化(Simplification)

材料、部品、製品、治工具、手順、工程、ルールなどを整理して減らします。

(2)標準化(Standardization)

材料、設備、部品、製品などの「もの」や、作業手順、作業条件などの「方法」を統一し、さらに規格化することで、効率的な作業を安定的に実現します。

(3)専門化(Specialization)

特定の製品に対して、ライン、機械設備、治工具、作業者などを限定して、効率や品質を向上します。

定石その3:5S

現場改善と言えばこれ!皆さんご存知の5Sは、もともとトヨタ系列の工場で2Sから始まったと言われ、その後3S、4S、5Sと発展してきましたが、今では海外工場へも展開するために、Sで始まる英語表記も用意されています。

(1)整理 (Sort)

不要なものを捨てることです。

(2)整頓 (Set in Order)

必要なものがすぐ使えるように配置、表示することです。

(3)清掃 (Shine)

掃除できれいにし、細部を点検します。

(4)清潔 (Standardize)

整理/整頓/清掃の3Sを一度やるだけではなく、維持する必要があります。

(5)躾 (Sustain)

決められたことを守るだけでなく、自主的に実行できるまで習慣付けることであり、ここまできて初めて完成と言えるでしょう。

分かってはいても、なかなかできないふか~イ活動です。

 

いかがでしょう、参考になったでしょうか?5S分野では清水英範さんがクリーン化の御専門です。不明の点やご相談はQ&Aや問い合わせフォームで質問してください。

熊坂 治

熊坂 治ものづくり革新ナビゲーター

投稿者プロフィール

山形県生まれ
東北大学工学部(応用物理学科)を卒業後パイオニア(株)に入社し、基礎研究、プロセス技術、生産技術、製造技術、工場計画、技術営業、事業開発など広範に担当。
2008年に経営工学部門、2009年に総合技術監理部門と技術士資格を取得し、退社後技術士事務所を開設して、品質工学をコンサルティング。
2011年に株式会社産業革新研究所を設立し、2012年にWebサイト「ものづくりドットコム」を公開。多くの専門家と協力しながら製造業のプロセス革新と課題解決を支援している。
博士(工学)、技術経営修士(専門職)、山梨学院大学客員教授(技術経営論)

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