データから見る転職市場と中小企業が抱える課題
こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。
今回は中小企業庁が出している中小企業白書の内容を基に、中小企業における転職市場について考えてみました。
下の図は人材不足が経営に及ぼす影響をグラフ化したものです。人材不足が経営に及ぼす影響は大きく、今後さらに深刻化する可能性があります。人材不足の要因として少子化が上げられていますが、同時に作業の自動化により、人が不要になる仕事も多くなり、少子化=人材の不足という図式だけでは語れなくなってきています。
実際、みなさまの興味は「自社の採用」についてだとは思いますが、今回は全体的な傾向についてまとめます。
引用元:中小企業白書 2017
この記事の目次
転職者は300万人!!??
人材不足の前に、まずは転職者の人数を知る必要があります。
総務省統計局の調べでは 2016年の転職者の人数は300万人以上となっています。これはリーマンショック前の水準に追いつく勢いだそうです。
つまり、数字だけを見れば、転職者の人数は増えていることになりますので、採用チャンスはありそうです。ただし、離職者も多いということになりますので、採用だけではなく、従業員が辞めていかない会社作りも大切です。
下の図は、従業員規模別で見た離職理由の割合です。
中小企業の離職理由として多いのは
- 収入が少ない
- 労働条件が悪い
- 職場の人間関係
- 会社の将来が不安
になります。これらを改善できれば、人材の流出を抑えることができます。
ある企業様は「人が辞めないから、新卒しか取れない」と笑顔でおっしゃっていました。
もちろん経営的に改善が難しいところもありますが、職場の人間関係などは企業努力で改善できると思いますので、一度自社を見直して見てください。
引用元:中小企業白書 2017
求職者が有効と考える企業の探し方
引用元:中小企業白書 2017
上の図は求職者が有効だと考える転職方法をグラフ化したものです。
ハローワークを使った転職方法が最も多いですが、35歳未満では「就職ポータルサイト」、「知人からの紹介」が多くなります。最近ではインターネットを使って転職活動をする人が増えていますので、ポータルサイトや自社ホームページ上に採用情報を掲載していくことが大切です。
まずは自社の存在を知ってもらう必要があります。ハローワークへの登録、就職ポータルサイトへの登録、従業員に知り合いを紹介してもらえるように告知するなど、自社が採用活動を行っていることを積極的にアピールしていきましょう。
求職者が企業について調べる方法
引用元:中小企業白書 2017
上の図は求職者が企業情報を知るための手段として有効だと考えているものをグラフ化したものになります。
最も多いものが「求人広告」で、次に「採用担当者による面談」となっています。上図では自社ホームページの数値は高くありませんが、株式会社ディスコの調査では企業研究をする際は「個別企業のホームページ」を重視するという結果が得られています。
今は簡単に企業のホームページにアクセスすることができるため、ハローワークや就職ポータルサイトなどで企業を知った後に、ホームページも確認して応募するケースが非常に多いです。
従業員の方に自社を選ぶ際に一番参考になった情報元を聞いてみてはいかがでしょうか。
求職者の入職理由
引用元:中小企業白書 2017
最後に最も気になる「入職理由」についてです。
最も高いものは「仕事内容」で、「労働条件」や「収入」よりも高くなっています。求職者が自社の仕事内容ついて魅力を持ってくれれば、中小企業でも採用はうまくいという結果だと思います。
しかし、これは先程の離職理由とは逆の傾向であり、企業と求職者が求める職種に差異があることと、企業と求職者が求める労働条件に差があること考えられます。
つまり、求職者は仕事内容が良くて入社したけど、実際に働いてみると残業や収入が思ったものではなかったため、転職していると考えられます。
入社後の離職率を下げるためには、自社の内容を伝える際に、自社の魅力だけではなく、悪いところ、今後改善しないといけないところまで含めて、求職者に説明する必要があります。
まとめ
中小企業の採用状況は全体的に人手不足ですが、転職者の数は多く、自社の仕事内容に魅力を持って貰えれば採用はうまくいく傾向にあります。魅力を伝える方法としては、「ハローワーク」、「就職ポータルサイト」、「従業員の知り合い」などを使って自社が採用活動していることを知ってもらい、「ホームページ」、「会社見学」などで自社の情報を発信する方法が有効です。
課題は、自社の人材流出を防ぐことです。転職理由としては収入や労働条件が挙げられていますが、入社前に提示した仕事内容や労働条件に差異があることが大きな原因と考えられます。もちろん仕事内容を魅力的に伝えることは大切ですが、自社の良くないところも合わせて知ってもらうことで人材の流出はある程度防げるようになります。
人材は大きな経営資源の一つです。テクノポートはこれから中小企業の採用活動も積極的にサポートしていきます。
今後ともよろしくお願いいたします。