町工場ぶっちゃけ対談 vol.2 ~町工場、フランスへ~

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

いきなり個人的な話で恐縮ですが…。先日(5月13日)、長男が結婚式を挙げまして、新郎の父親のあいさつなど いう経験をさせてもらいました。ここにも、ちょっとしたエピソードもあるんですが、もし、よかったら、私のフェイスブックなど、ご覧になってください。

というわけで、今月の活動報告は番外編となりましたが、さっそく、本題の方に。

町工場ぶっちゃけ対談の第二弾をお送りします。なんと、二回目にして、対談のお相手はフランス在住、DYSHOW INDUSTRIE SARLの代表、石塚裕さんです!

石塚さんは、神奈川県茅ケ崎市で金属切削加工の(株)ダイショウを営んでいましたが、2015年末、一念発起、日本初、町工場のフランス進出を果たし、現在、彼の地で奮闘中です。

工場全景

MAKERSLINKの創設期に知り合って以降、同じ仕事の同志として意気投合し、フランスに渡るまでの経緯もリアルタイムに垣間見させてもらっていました。出発直前のある夜、上野の居酒屋ではずいぶんと飲んで、ほんとにいろんな話をしました。

【執筆者紹介】栗原 稔
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栗原 稔
会社名:株式会社栗原精機/合同会社メイカーズリンク
役職:代表取締役/代表社員
執筆テーマ:コミュニティが創る、新しいものづくり・製造業の未来
【経歴】
医療機器メーカーで設計製造部門に従事したのち、家業である金属加切削加工業の株式会社栗原精機に入社。平成15年に代表取締役社長に就任。製造業のプロから趣味のハンドメイド作家まで、ものづくりに興味関心のある人たちが集う「ものづくりコミュニティ・MAKERS LINK」を主宰する。
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では、さっそく、フランスの石塚さんとつないでみましょう!

栗原:石塚さん、こんにちは!よろしくお願いします。

石塚:Bonjour!おはようございます!よろしくお願いします!

栗原:あ、おはようございます!フランスは、いま、朝の10時ですね、気候的にはどんな感じですか?

石塚:気候的には、本来は日本同様、暖かいはずですが今年はまだ肌寒い感じです。

(ここで、石塚さんに来客あり、しばし中断、からの再開)

栗原:おお、お客さん!フランス人の方ですか?

石塚:いつも来る知人なのですが、こちらは挨拶とおしゃべりが長いので、朝も現場と事務所全員と握手しに回ります!毎朝20人以上と挨拶と握手と簡単なおしゃべり(Bonjour.ça va?)とやっています!
おはよう!調子はどう?な感じです!

栗原:フランスの日常の朝の風景なんですね。例のほっぺをくっつける挨拶?

石塚:BISE(ビズ)ですね。あれは異性向けか、親しい知人同士の挨拶ですね。仕事場ではほとんど握手です!

栗原:あ、そうだったんだ…。石塚さんが一時帰国の折にお会いして、あれから2ヶ月ちょっと経ちますが、その後はいかがですか?仕事のほう…

石塚:今までは営業的な種まきが多かったのですが、ここ数か月は少し方向転換して、現場の仕事を中心に進めるよう、動いています。

主に使っている5軸マシニング

フランスの名機、HURONの汎用フライス、日本でも有名ですね。

CAZENEUVEの汎用旋盤、今はなき昌運のカズヌーブ旋盤はこのメーカーの技術提携から生まれました。

現場内 日本と比べて土地に余裕があるので機械の配置はスカスカな印象です。

日本の技術や製品に対する評価

栗原:ところで、今回、あらためてお話を聞こうと思ったのは、石塚さん、日本の町工場の販路開拓や営業代行といった事業を展開しようと考えてるっておっしゃってましたよね。具体的にどのようなものなのか、教えていただけますか?

石塚:自分の活動は、現地生産や受託加工分野での、我々規模の町工場「初」の欧州進出と考えています。そこで自分の特異性を生かした仕事や可能性を見出したく、同じ仲間を増やしたいと思っています。日本の町工場の仲間に自分の存在を有効に使ってほしい、と考えています。その手段の一環です!まだ大まかな骨格しかできていませんが、町工場の欧州、フランス進出のお手伝いをさせていただこうと思っています。

栗原:なるほど、まさしく、石塚さんが架け橋になろうという!実際のところ、そちらでの日本の技術や製品に対する評価って、どうなんでしょう?

石塚:技術の評価は上々ですが、例えばフランス製と比べた場合、価格と品位のつり合いってありますよね?「きれいだけど、この価格(日本)なら、見た目悪いけどこちら(フランス)の品位でいいや」品位が良くても、価格で勝たないと受注につながりませんね。高品位を求められる仕事ももちろん存在しますが!

栗原:日本はちょっと過剰品質?

石塚:そうかもしれません。ですが、そこを追求しているからこそ技術や環境、設備の向上もあるわけで、それはそれでいいと思います。使い分けができればいうことなしですね!

ちょっと話は脱線しますが・・・

日本は中間層といいますか、平均値の層が多いですよね。分布図で言うと、真ん中がすごく多いっていうグラフ!なので技術レベルも「そこそこ」やる会社が多いいと思うんです!

あとは気を使う文化ですね。こちらは、ピンからキリのレンジがすべてにおいて広い。なので、すごいいい加減に見える会社もあれば、日本より尖っているなぁと思える会社ももちろんあります!

栗原:たとえば、MAKERSLINKの中にも、かなり優秀な技術を持ってる加工屋がいると思うんですが、それでも、やっぱり中間な感じなんですかね~

石塚:平均的に良品(優秀な技術)を出し続けられるポテンシャル、日本の特色だと思います!平均的、持続的に・・

栗原:そっか、では、具体的に、ターゲットをどう定めたらいいでしょう?

石塚:継続して付き合うことが出来れば、日本の良さは出ると思います。そこに到達するまでが大変なんですが!

栗原:だからこそ、石塚さんの出番なわけだ!

石塚:東南アジアや振興の地域と違って、欧米で認められるまでには時間はかかると思います。文化レベルも高いですし!ですが、フランスは親日ですし、一般的にはメイドインJapanはもっぱら受けはいいんです。日本でもフランス製ってイメージ良いですよね!

「メイドインFrance By ジャパニーズ」という自分の立場を両国で、双方向で生かしたいですね!(笑)

「外工場」

栗原:石塚さんが先陣を切ってくれているわけで、では、日本にいる私たちとしたら、どんな考えで、どんな活動をはじめたらいいですか?ここまで、主に技術的な話でしたが、日本の町工場の製品をフランスで広めるというのは?製品?商品かな?

石塚:両方だと思います。日本の町工場の存在や、できることの可能性の認知がそもそも外国でないじゃないで すか!しかし日本の町工場はいろいろな手段で海外を目指している、これって素晴らしい志だと思います。製品、商品含めてこれからアピールが重要になると思います。まずは知ってもらうこと!

栗原:ほんとにそうですね。

石塚:海外の町工場の製品って、日本にあります?東南アジアの安いものはあっても、欧米の高品位なものは、 まだ少ないと思うし、日本から海外へ出ているものも、町工場規模では少ないです。

栗原:お互いにもっと知り合わなくちゃってことですね?

石塚:そもそも論ですが、町工場って地域に根差しているから町工場(下町の工場)と言われるわけで、海外に行く必要性ってあるの?という考え方もあると思います。

栗原:では、まず、「脱」町の工場!だ!

石塚:自分は「外工場」って呼んでます(笑)国内市場の下支えは必ず必要なので、国内で頑張ることは基本ですが、技術の価値を認めてくれる市場が必ずあるので、そこに売り込むことは自然なことだと思っています。

栗原:おお!外工場!

石塚:外工場の可能性を町工場の仲間で探っていきたいです!

栗原:そのための、アピールの材料は、MAKERSLINKを通じて、いろいろ集められます。これから、すごく楽しみだし、期待も大きくなりました。もちろん、課題はたくさんありそうですけどね。

石塚:課題、その通りです。常にもがきまくっています(笑)

栗原:もがきがいがありますよ、なにしろフランスでもがいてるんですから! また、ちょいちょい、こうやって情報交換していきましょうよ。記録に残す、いろんな人に見せる、というのも、ひとつのカギになると思いますし。

石塚:そうですね!

日本の町工場プロダクトを事務所に展示しています

富士山とモンブランの融合のサンプル。日仏製造業アライアンス「ACT」のサンプルです。

事務所です。神棚がないので、お札だけ並べてます。パートナー企業の社員一名と共有しています。フランス語を含め、いろいろ教えてもらいながら仕事を進めています。

栗原:最後に、石塚さんの活動をまとめた記事を書いてもらっていいですか?

石塚:ちょっと宣伝になりますが、このあとに貼り付けさせていただきます!

栗原:本日はありがとうございました!

石塚:Au revoir ! A bientôt ! さようなら!またね!

【DYSHOW INDUSTRIE SARL 町工場、製造業向けの営業代行活動】

  1. フランスで事業展開のテストをしてみたい方向けのサポート
  2. フランスで町工場プロダクトを販売したい方向けのサポート

サポート内容は目的に応じて決める予定です。Franceでの事業、販売のためのスタートアップのためのサポートとなります。一定期間(半年単位)の契約形態で月5000円程度から始められるお手軽な形の情報提供を予定しています。

例)

  • 希望する情報収集活動
  • フランス顧客へのサンプル、会社案内の配布、宣伝活動(フランス語パンフレットの製作 別途実費)
  • 弊社WEBサイト、FBなどへのリンク
  • メルマガをとおした業界情報の提供

上記から得られる反応をみなさまにお伝えして、今後の販路開拓、製品開発等に生かしてもらうという試みです。

興味のある方は個別に承ります(yutaka.ishizuka.fr@dyshow.jp)

【DYSHOW INDUSTRIE SARL プロフィール】

ウェブサイト:https://www.dyshow.eu/

ブログ:http://dyshow-fr.blogspot.fr/

設立:2016年3月

住所:Saint Etienne 近郊 ZA Les Baraudes Saint-Genest-Lerpt 42530

パートナー企業:AS-MECA BERNARD http://asb42.com/fr/accueil/

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栗原 稔
会社名:株式会社栗原精機/合同会社メイカーズリンク
役職:代表取締役/代表社員
執筆テーマ:コミュニティが創る、新しいものづくり・製造業の未来
【経歴】
医療機器メーカーで設計製造部門に従事したのち、家業である金属加切削加工業の株式会社栗原精機に入社。平成15年に代表取締役社長に就任。製造業のプロから趣味のハンドメイド作家まで、ものづくりに興味関心のある人たちが集う「ものづくりコミュニティ・MAKERS LINK」を主宰する。
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