成功事例から考える、海外マーケット攻略
こんにちは!製造業経革広場の山口遥です。
今回で私は2度目の投稿です!はりきっていきましょう~!
さて、今回も「海外進出」をテーマにしたいのですが、皆さんの周りでは海外進出を成功されている企業さんはいらっしゃいますか?
興味はあるけど、なかなか踏み出せない!という方も多いかと思います。
そんな時は、実際に経験されている方に聞くことが一番の近道!
ということで、以前インタビューさせて頂いた海外進出の成功事例を、本日はご紹介しようと思います。
その会社は、千葉県茂原市にある“株式会社日本クロス圧延様”。
圧延加工、鍛造加工、材料販売等をされている企業様です。
まったくのゼロからスタートをされた、日本クロス圧延様。
しかし、海外企業と渡り歩くための戦略と、そこから生み出された自社製品のブランド化の発想…
着実に、海外マーケットに根を下ろしつつあるようです。
その最前線で活躍されている、岡社長にお話を伺いました。
○大きな壁、そして方向転換
山口:御社は海外進出に関して、かなり良い成果を上げていると伺いましたが、実際には最初から好調だったのですか?
岡社長:最初はまったくのゼロからのスタートでしたよ。
必ず海外にもニーズはあると考えていましたが、実際には全く上手くはいかなかったのが現実です。
自社の製品を海外に持って行っても、同じものはいくらでもあると言われました。
最初はどうしたらいいものか、頭を悩ませました。
そこで、精度を上げるだけでは意味はなく、自分たちが持っている技術で一体何ができるのか?をロジックに落とすことが重要なんだと考えました。
山口:好調に見える御社でも、最初は壁が存在したんですね!
考え方の方向転換をして、具体的には何をなさったのですか?
岡社長:日本人は「起承転結」で話したがるでしょう?
しかし、海外の商談の場ではそれが通じない。
向こうの人たちは結果を先に知りたがる。数値も具体的に見える化しなくてはいけない。
例えば、うちの製品によってコストが○○%削減可能、精度が○○%upしましたといった具合に。
山口:そのマーケットに合わせた戦略が必要ということなんですね!
岡社長:そうなんです。
自社の製品が海外では何に使われているのか?市場調査がカギですね。
海外における同業者と戦うのか?はたまた特殊な技術を売り込みたいのか?
そこから方向性を決める。会社の意思決定が必要です。
そこで私たちは、自社ブランドに挑戦しました。
○自社をプロデュースする
山口:何か開発なさったのですか?
岡社長:いや、ゼロからの開発ではありません。
「技術」を売り込むのではなく、「商品」に目を向けたのです。
商品をブランド化し、パッケージとして売り出しました。
日本以外の国と戦うのですから、小手先の商品ではダメです。
がむしゃらに、ではなく、しっかりプロデュースすることが肝心です。
海外の方たちには、「なんでもできまっせ!」は響かないようです。(苦笑)
山口:なるほど。ブランド化してプランニングしていく、ということですね。
ブランド化、というのは何か特別なことをされてるのですか?
岡社長:まず、お客さんに安心を与えるためにそのブランドに特化した、別会社を設立しました。そのブランド名が社名になっています。
「日本クロス圧延」とは、全く違う、「R&D Materials」という名称です。
材料販売の専門商社です。
http://www.kkkr.net/
山口:会社を設立?!それは思い切った決断ですね!社長の覚悟と本気度が感じられますね!
指揮を執っているのは、担当の方がいらっしゃるんですか?
○まずは、自らが先頭に立つこと
岡社長:いいえ、基本的には私が担当で進めています。
山口:社長が自ら、全てですか?
岡社長:だって会社の方針なんですから、会社のトップがやらなきゃダメでしょう?
昔、流通関係の仕事をしていたこともあって、最初は輸出の書類関係や手続も全てやっていました。
しかし今考えると、全部自分でやっていたことで、形になるまでかなりの時間をかけてしまいました。
つい最近、英語・中国語を話せるスタッフが入ったので、とても助かっています。
山口:海外向けの広告・宣伝などは何かされているのでしょうか?
岡社長:弊社では、Google Adwordsのリスティング広告を出したり、海外での展示会に出展しています。
Adwordsでは掲載期限と月の限度額、狙う国を絞って利用しています。
Webは海外への広告としては有力ですし、問い合わせもかなり来ていますよ!
ベースとしては、日本の製品のクオリティに関しては信頼度が高いですから、小手先の商品ではダメなのです。
逆に言えば、ちゃんとプランニングさえできれば興味を持ってくれます。
まだまだ弊社も成功とは言えないですからね!
…「誰と」「どこで」戦うのか?しっかり見極められているのだなぁと感じました。
「選択と集中」という言葉はよく耳にしますが、岡社長の様に高い目標と実行力のある方のお話は、心の芯に響くようでした。
何より、長いインタビューにも嫌な顔一つせず、色んな質問に誠意をもって答えて下さった、岡社長。
とても謙虚な彼の姿勢に、従業員の方だけでなく、異国の地の製造業さんやバイヤーさんも惹かれているのでしょう。
かく言う私も、その一人ですが…。
製造業経革広場 山口遥