町工場ぶっちゃけ対談 vol.1
こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!
この記事の目次
まずは、今月の活動報告
4月8日、「ファクトリーアートミュージアム・トヤマ」のグランドオープンセレモニーに行ってまいりました。
そこは、富山県高岡市の(株)フジタ、梶川貴子社長の「世界でひとつ 町工場にメタルアートミュージアムを作りたい!」という思いを実現した、正真正銘、唯一無二の美術館なんです。オープンしたばかりとはいえ、展示される作品は、どれも技術の粋と情熱によって完成された逸品ばかり。作品を見るだけの場所ではなく、ここから様々なモノがどんどんと生み出されていく、そんな予感がする素晴らしい空間です。
余談ですが、今回の訪問は、うちの奥さんもいっしょに、まあ、結婚30周年ということもあり、半分旅行ってことにしました。いつも会社の経理やなんかで苦労かけてるんで、少しは労をねぎらえたかな~、なんて。温泉につかっておいしいものを食べて。旬のしろえび、美味でした!
その富山旅行の少し前になりますが、地元、埼玉県草加市を拠点とする「若手経営者グループ・草加RINC(リンク)」の一員として、鎌倉への視察研修旅行にも参加しました。ちなみに、こちらでは、生しらすを堪能してきました(笑)
で、その草加RINCのメンバーには、知る人ぞ知る、あの浅井英夫さんがいるんですよ~。製造業、特に「ねじ」をネットで探したことのある方なら、必ず一度は目に触れているだろう「ねじあさい」の名前。「ねじなめんなよ」のフレーズでも有名ですね。
そんなわけで、もうかれこれ13年ほどの付き合いとなる、浅井さんとの「町工場ぶっちゃけ対談」を企画してみました。キーワードとして、ものづくり、ネットワーク、コミュニティなんてあたりをあげて話をするなら、まずは、浅井さんしかいない!というわけで、さてさて、どんな話になったのでしょう…。
今回は対談を記事にするのに、ライターとして同行いただいた、やはり草加RINCメンバーの後藤天美さんと共に、まずは、浅井さんの工場を見学させていただきました。長い付き合いのわりに、フル稼働中の現場を拝見したのは、実は初めてだったりして。
工場の一角、事務所のスペースには「ねじのアクセサリー」も飾られています。これがまた、ちまたの町工場マニア(?)には大人気で、デザインフェスタなどのイベントでは、浅井さんのブースに我先にと押し掛けるファンもいるほどです。
では、対談スタート
(ここから、聞き手・執筆は後藤さん)
ーねじの製作会社が、なぜアクセサリーを??
浅井:彼女に何かプレゼントを、という発想から、ねじをアクセサリーにできないかなって。本当に、単純な思い付きなんですよ。で、その時に一番に相談したのが栗原さん。金属のリングの形に丸く加工する相談でしたね。
ーその時の印象っていかがでした?
栗原:ねじをデザインリングにだなんて、おもしれーーー。って感じでした。そんなこんなで、デザイン的に仕上がってきたのが、今人気のネジリング。それが、2007年くらいの話なので、10年近く前のこと。思えばこの頃から町工場のオヤジたちが、「町工場のアクセサリー」づくりへの想いを熱く燃やしていた、ということになるんですね。
周波数という目に見えないもの
ーところで、最新機器ではない昔からの機械を使って、たった一人で製造から販売までを行う浅井社長と、最新機器を導入して従業員を雇用し、会社を動かす栗原社長。経営スタイルがまったく違うお二人が、なんでこうして意気投合してるのでしょうか?
栗原:なんか、浅井さんとは合うんだよね。全体的な考え方とか。それはもう「ものづくり」とか「製造業だから」とか、そういう枠に捉われない、「全体的な考え方」が
ー枠にはまらない、全体的な考え方って…??
栗原:最近、コミュニティってコトバが飛び交ってるよね。コミュニティって、何のためにあるの?その中で行われるイベントって楽しいの?みたいな…。僕が考えるコミュニティっていうのは、つながりたい人がつながる。つながりたい人と繋がる、そういう場なんだよね。
ー繋がる場ですか??
浅井:組織っていうのは、目に見える成果を欲しがるじゃない。でも、コミュニティに成果を求めることは、とてもつまらないことですよね。繋がる場から生まれるエネルギー、そこから生まれる面白いチャレンジ、やってみて初めてわかる、動くこともある。人が集まる場がコミュニティになるのなら、そんなふうに楽しめる場でないと
栗原:そうそう、あそびゴコロを楽しめる場、みたいな、ね(笑)
ーあそびゴコロ、その一言で理解しあえる関係。それが、周波数が合う、ということなんでしょうか?
栗原:コミュニティって便利な言葉。なんでもあてはまっちゃう。だけど、名前がある場だけがコミュニティってワケではないと思うんだ。例えば、浅井さんの周りにも浅井教(笑)みたいな名前のないコミュニティがあるわけで。仕事で繋がる、だけが繋がりじゃない。知らない世界を知り合う、これじゃなきゃダメというものを見つけられる、一人で考えても見つからなかった答えを見つけられる、そういうのがコミュニティの持つ意味なんだと思うんだよなぁ
浅井:あと、「一緒に何かをつくりましょう、一緒に何かをやりましょう」最初から「一緒に」がありきで集まる場があるじゃないですか。でもそれはコミュニティではないと思うんですよ。「一緒に」ってまずないですから。それはお互いに何も認め合えてない。個々のスキルを認める、個々を認め合う。まず自分、まず自分の仕事のスタイルの確立。「誰か」から始まる一緒には、何も産み出せんと思うわけで。
しょうがない、無理をする、これが積もると、絶対にビジネスにはならない。お互いの技術力を認め合えていないから、「友達価格」が出てくる。これが出る時点で、そこはコミュニティじゃないですからね。
栗原:商売としての、「友達価格」は、ないよね(笑)
取材後記
お二人はまったくタイプも違うし、同じ答えではない、反対のことを言い合う関係かもしれないけれど、今のこのご時世、一人の力で生きていくことはとても難しい。だから連携しあう、助け合う、お互いにないものを享受しあって、新しいチャレンジをしていく。
でもそこに、自分がもっている仕事やスキルに対しての「甘え」や「依存」があっては、決して手を取り合えない。そんな価値観をお互いの立場から理解しあているような印象を受けました。
これが「周波数が合う」ということなのかな。
ただ、まだ自分が足りていないと思うのなら、足りていないことを理由に依存をするのではなく、その場に全力で飛び込んで全力でしがみついていく。そんな勇気を持っている人なら、そこはしっかりと受け止めてくれる、そんなあたたかい空気を持つ町工場の社長さんたちでもあるのではないかと。。
これも、甘えか??笑
製造業とかものづくりとか、そんな枠組みを超えた、人としての生き方を学んだ時間にもなったのでした。
浅井社長は、栗原社長と並んで、製造業が生み出すオーダーメイドアクセサリーの第一人者。バラエティ番組の撮影、ドラマのロケ地、ラジオ出演、など、メディア出演でも有名な、ねじを製造する町工場の社長さんです。最古のものでは、昭和44年製造。の、機械を数十台一人で操り、キラキラ輝くねじをつくり続けていらっしゃいます。
まだまだネット販売が私たちの身近ではなかった頃から、企業ではなくエンドユーザーに対するネット販売を開拓したり、町工場になじみのない若者に広く愛される「魅せる」ものづくりを展開したり、プレミアムフライデーなど、新しい取り組みを即座に取り入れ、自社の新たな営業手法におとしたりと、なんとまぁ、斬新というか、革新的というか、自ら「市場」を開拓し続ける、今までお会いしたことのないタイプの社長さんでした。
ただ、じっくりお話を伺うと、そこにはものづくりにかける熱い情熱や、ネジに対しての深い愛情や、これからの製造業の動向を冷静に見据える洞察力など。斬新さだけではない、確かな経営者の姿勢に、たくさんの学びをいただく時間でもありました。
プレミアムフライデーは、町工場を見学しながら片手にビールをもって、経営談義に花を咲かせる、そんな素敵な時間を過ごすのも、いかがでしょうか。
ということで、ここからペンは再び栗原です
皆さん、どうでしたか?対談の企画、自分自身はすごく楽しくて、ちょっと恒例にしていこうかな?とか思ってます。ちなみに、今回の対談の場所は、浅井さんが週に3日は通うという小料理屋さん。
いやあ、ここでもおいしいものをたくさんいただきました。ここのポテトサラダが、何気にうまいんだな~
最後に、聞き手、ライターとしてご協力いただいた後藤さん、ありがとうございました!後藤さんは、ダイレクトメールの企画、制作、発送などのサービスを手掛けていらっしゃいます。なにかありましたら、ぜひ!