世界の製造業「インドネシアの今」

こんにちは、ものづくり経革広場の橋本です。

天然資源に恵まれ、「最後の楽園」と呼ばれるバリ島など日本人にも人気のリゾート地としての一面をもつ国。国際協力銀行が2015年に行った海外投資先有望国調査で、堂々の第2位に輝いたインドネシアについて調べてみました。

インドネシアの概要

インドネシアは191万931㎢もの国土(日本の約5.1倍)を持ち、1万3,466もの島から構成されている、世界最多の島を抱える国です。そこに世界第4位の約2億5,500万人(2015年)もの人口を擁しており、世界最大のイスラム人口国としても知られています。首都はジャカルタで、ASEAN(東南アジア諸国連合)の本部があります。GDP成長率は5.02% (2016年)で2017年の成長率は5.1%を目指しています。

インドネシアの産業構造は第一次産業13%、第二次産業43%、第三次産業44%となっています。

(出所:世界銀行

ちなみに、日本でもおなじみのデヴィ夫人はインドネシアのスカルノ元大統領の第3夫人でした。

ビジネス環境

世界銀行が発行するDoing business 2017において、インドネシアのビジネス環境ランキングは190国中91位でした。(2016年6月調査のもの)

ビジネス環境ランキングの内訳

事業立ち上げ

建設許可取得

電力調達

不動産登記

信用力

投資過保護

納税

対外貿易

契約強制力

破産処理

151位

116位

49位

118位

62位

70位

104位

108位

166位

76位

前年調査からの改善点は下記となります。

・事業立ち上げ

法人登記や貿易資格のための手続きを簡潔にするために申請書を様式化しました。また、資本金の最低必要額を廃止することで資本金が少ない人でも法人設立ができるようになりました。

・不動産登記

不動産登記を簡潔にするため、地図情報や土地台帳に関する記録をデジタル化しました。

・信用力

信用力を高めるため、担保登記ができるようになりました。

・納税

納税を簡潔にするため、オンラインシステムを導入しました。

・対外貿易

輸出入手続きをより簡潔にするため、国内一括窓口サービスにおいて顧客サービスおよび書類提出機能の強化を行いました。

・契約強制力

契約時の小さなクレームに関しては手続きを簡略化することにしました。

インドネシアの製造業

インドネシア製造業の業種別名目産出額をみると、2000 年、2013 年ともに「食料品・タバコ」が最大で、その割合は19.6%(2000 年)から 34.3%(2013 年)に上昇しました。この間、同国の一 人当たり GDP は 870 ドルから 3,675 ドルへと約 4 倍強に増加しましたが、基幹産業の「基礎金属・金属製品・非金属鉱物」は 11.6%(00 年)から 9.5%(2013 年)に、「電気機器・同部品」は 10.5%(2000 年)から 6.8%(2013 年)に低下しました。所得水準の上昇を受け、普及が進んだ輸送機器でさえ 9.9%(2000 年)から 8.8%(2013 年)に低下しています。

インドネシアはこれまで資源輸出に依存した成長モデルでした。そのため、資源輸出による所得分配を製造業の育成(外資誘致を含む)に使用してこなかったことが影響しています。

強み

・電力供給の信頼性が高い

インドネシアは世界第4位もの人口を抱え、かつ国土が複雑な地形であるにも関わらず、国民の96%が電力供給を十分に受けています。他の東南アジア諸国に比べて、停電の頻度は圧倒的に低く、2015年にビジネスで停電の被害を受けたのはたった2回だけでした。世界銀行の企業調査レポートによると、企業活動における障害で電力供給をあげたのはインドネシアの企業の中でわずか1%でした(世界総計では10%に及ぶ)。

弱み

・汚職

汚職撲滅運動によりインドネシアの腐敗認識指数ランキングは2005年の137位から2015年の88位に上昇したが、まだまだ汚職が蔓延しています。

・非効率な官僚組織

2015年予算のインフラ整備費290兆3,000億ルピア(約2兆7,000億円)のうち、6月下旬時点で執行されたのは8%に当たる23兆2,000億ルピアにとどまりました。複雑な法制度や煩雑な手続き、官僚主義による最終的な許認可の遅れが経済成長を大幅に遅らせています。

・インフラ不足

資源輸出のビジネスモデルや官僚主義による予算執行の遅れにより、インフラ整備が進んでいません。製造業誘致を進めるためにもインフラ投資が重要になってきます。

インドネシアのネット事情

インドネシアのインターネット普及率は51.4%です(2016年6月)。アジア諸国のインターネット普及率と比較すると非常に低い値となっています。(下記、インターネット普及率の比較グラフ)

InternetWorldStats.comよりデータ取得

しかし、人口ベースでみると順位が変動します。

普及率は低いとはいえ、人口が多いためWebを活用するメリットは大きいと考えられます。

インドネシアに進出している中小企業

丸茂工業株式会社

丸茂工業は愛知県が本社であり、輸送用機械器具を中心とした熱間鍛造品全般を製造しています。インドネシアのジャワ州カラワン県のKIIC工業団地にPT.MARUMO INDONESIA FORGINGがあります。主に、自動車・オートバイ向けの鍛造部品の製造を行なっています。

志貴野メッキ株式会社

志貴野メッキは富山県が本社であり、資本金5,000万円、社員数70名規模の会社です。インドネシアのジャワ州カラワン県のKIIC工業団地に関連会社の志貴野インドネシア株式会社があります。電子部品をはじめ、機械部品、自動車部品等あらゆる表面処理を手掛ける一方、半導体製造におけるハード、ソフト両面における開発を行なっています。

最後に

インドネシアは世界第4位の人口と安定的な電力供給があるマーケットです。しかし、資源依存のビジネスモデルが続いており、東南アジア諸国に遅れをとっているのが現状です。「汚職」「非効率的な官僚組織」「インフラ不足」の課題に取り組み、資源依存から早々に製造業の競争力向上へ舵を切らなければ今後の成長はないと考えられます。グローバルなサプライチェーンに組み込まれていないこともあり、現状、海外進出先としてのインドネシアはあまり魅力的ではないのかもしれません。

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