自社製品を持たない中小製造業のブランディングにロゴは必要か??

こんにちはものづくり経革広場の永井です。自社製品を持たない中小製造業はどのようにして自社の良さを知ってもらえるかについて、考察しました。

【執筆者紹介】永井 満
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永井 満
テクノポート株式会社 東海地方責任者

大手メーカーで設計開発を経験しているWebマーケター。クライアントの技術を理解した上でWebサイト戦略を立てることを得意としてます。

【経歴】
日本大学大学院航空宇宙工学専攻
ボッシュ株式会社でディーゼルエンジンのポンプ設計を担当

【寄稿実績】
伝え方が悪いと逆効果! Webで自社技術に興味を持ってもらうための戦術
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ブランディングにロゴを使う理由

まずはブランディングにロゴを用いる理由を2つに分けて説明します。

製品の付加価値を理解してもらう

まず一つ目は製品にロゴを入れることによって、製品の付加価値をお客様に理解してもらいやすくなることです。

例えば、

  • トヨタのロゴが入っている自動車であれば、壊れにくい、高品質、アフターサービスも充実している。
  • ユニクロのロゴが入っている服であれば、値段が安い、値段の割に品質が高い、どこでも買える。

など製品単品では表現できない価値を伝えることができます。

差別化

二つ目は製品の差別化です。ロゴによって製品に付加価値が伝えられることで、製品の差別化が可能になります。

トヨタの86とスバルのBRZはほとんど同じ自動車ですが、ロゴが入ることで印象は驚くほど変わります。このようにロゴを付けることによって他社の製品と差別化し、製品を変えることなく自社の強みを表すことができます。

中小製造業はロゴを使ったブランディングが難しい理由

ロゴは製品と合わせることでその力を発揮します。では、自社製品を持たない企業にとって、ロゴは必要なのでしょうか。まずは、中小製造業が抱えているブランディングの課題について考えていきます。

1.製品に自社の社名を出せない。

メーカーは自社の製品にロゴを入れますが、部品を加工している製造業のロゴを入れることはありません。メーカーにとって、名前も知られていない製造業のロゴを入れるメリットはありませんし、逆に自社のブランドを落とす可能性があるからです。

製造業はせっかく技術の高い加工を施しても、製品と技術を結びつける手段が持てないことになります。

2.取引先の名前を公表しにくい

メーカーは自社の製品がどこで作られているのかを隠したがります。これは自社の製品を作っている企業名を出すメリットがないこと、ライバル企業に知られた際にノウハウを奪われる可能性があることが考えられます。

つまり、メーカーから加工のみを委託してもらっている中小製造業は、どこと取引しているのかをホームページやパンフレットなどの資料で公表しにくい状況にあります。

例えば、トヨタに製品を納めていることは、自社の技術を品質が高いことを表しています。しかし、トヨタの名前を公表できないため、他のメーカーからは「本当に技術力があるのか?」を毎回疑問視されてしまいます。

3.加工した部品も公表しにくい

製造業はメーカーの部品を加工します。当然、自社で設計した部品ではないため、その権利はメーカー側にあり、勝手に部品を公表することはできません。

つまり、中小製造業でどんなに高い技術を持っていたとしても、製品と技術を結びつけてもらえない、一流の取引先の名前は公表できない、加工した製品は公表できないという三重苦に悩まされることになります。

では、中小製造業が自社をブランディングすることはできないのでしょうか、ロゴを持つ意味はないのでしょうか。

中小製造業でもロゴを使ったブランディングはできます!

私は中小製造業でもロゴを使ったブランディングはできると考えています。

1.製品以外の部分でロゴを活用する

ロゴの役割は「付加価値」を想像してもらうことにあります。

製品+ロゴは最もわかりやすい組み合わせですが、技術・品質・スピード・加工方法など製品以外の考えをすれば良いと思います。

例えば、品質をアピールするためには、自社で品質基準を明確に作り、それをクリアした加工部品はロゴと一緒に納品にするなどの工夫をすることによって自社の付加価値を相手に知ってもらうことができます。

2.ロゴを見てもらえる場面を作る

自社のロゴを見てもらう場面を強制的に作ることです。

例えば、加工部品を納品するときに、自動車、箱、納品書などに自社のロゴを見えるところに入れておくなど、製品に近いところで自社をPRする方法もあります。

また、加工部品の品質管理としてレーザーマーキングをするときに、ロゴも一緒に入れておくなど、製品とロゴをなんとか組み合わせることも可能かもしれません。

いろいろと工夫することで、中小製造業でもロゴを使ったブランディングは可能です。

他社事例

HILLTOP様はアルミの試作に特化した中小製造業です。試作品であるため、当然製品を公に出すことはできませんが、自社で特殊な加工事例を多く作ることで、技術のPRをしています。「ピンク」をコーポレートカラーとして、「あのピンクの企業!」として覚えて貰えるようにロゴや工作機械もすべてピンクで統一しています。

中田製作所様は「アルミ精密加工」をキャッチコピーにしています。青とコーポレートカラーとして、納品の箱にも青色を使っています。このように統一したイメージを作ることで、自社を覚えてもらいやすくなります。

現在、ロゴをお持ちで無い方はぜひ作ってみてください。また、今お持ちの方は「どのような方法で見てもらうか?」を社内でいろいろと検討してみると新しいブランディング方法が生まれるかもしれません。

次回は、ブランドの発信方法について、あらゆる面から考察します。次回もよろしくお願いいたします。

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永井 満
テクノポート株式会社 東海地方責任者

大手メーカーで設計開発を経験しているWebマーケター。クライアントの技術を理解した上でWebサイト戦略を立てることを得意としてます。

【経歴】
日本大学大学院航空宇宙工学専攻
ボッシュ株式会社でディーゼルエンジンのポンプ設計を担当

【寄稿実績】
伝え方が悪いと逆効果! Webで自社技術に興味を持ってもらうための戦術
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