製造業もブランディングすることで売上をアップさせることが可能
こんにちは。ものづくり経革広場の永井です。今回は製造業のブランディングについての記事です。ブランディングの基本的な考え方から効果、事例まで紹介しています。ブランディングでお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ブランディングとは何か?
ブランディングとは「ブランドを作る活動全般」のことです。言い換えると、「製品や企業に対してお客様が持つイメージを作り出すこと」になります。例えば、
- CHANEL:「高額で知名度があり、所有しているとお金持ちというイメージ」
- UNIQLO:「デザインや品質は一定基準を超えていて、価格が安いイメージ」
というブランドイメージを作るために、各社が行っている活動になります。
ブランディングをすることの意味
ブランディングをするおもな目的は以下のとおりです。
- 企業の価値や信頼性を伝える
- 企業のイメージを浸透させていく
- 競合との差別化を図る(長期的)
ブランディングすることにより受ける恩恵
ブランディングすることによる恩恵はさまざまです。以下の3点がおもな恩恵と考えられます。
- 売上が向上する
- 目的が明確になる
- 経営戦略を立てやすくなる
ブランディングによる利益向上効果
ブランディングによって売上や利益の向上が期待できます。他にも考えられるおもな効果を紹介します。
ブランド価値による付加価値の増加
ブランディングは以下のような付加価値を生み出します。
- 安心感
一定以上の機能、品質を安定して出せるイメージの企業であれば、安心して製品を購入できます。 - 満足感
高級な製品を持っているという満足を顧客に与えることができます。 - 自身の価値観と合っている
例えば環境に気をつかう人であれば、SDGsを意識している企業の製品を選ぶ可能性があります。
クチコミの印象付け効果
クチコミはお客様が購入を判断するときの大きな材料になります。ブランドが確立している製品は、クチコミでオススメとして紹介しやすいです。そのため情報が拡散しやすく、印象もつきやすいです。例えば、今治のタオルを使ってみて
- 「これ今治のタオルで結構良いんですよ」
- 「これどこかで買ったタオルなんだけど、結構良いんですよ」
ブランド名があるかどうかで、製品の印象はガラッと変わります。ブランドは製品のイメージを相手に伝えるための代替用語です。「薄くて、暖かくて、安くて、冬にきるととっても良い」と言うより、「ユニクロのヒートテックは良い」と伝えたほうが伝わりやすくなり、クチコミを見た人も製品を探しやすくなります。このような形でブランドが確立するとクチコミ効果が何倍にもなっていきます。
ファンを増やすこともできる
ブランドそのものを気に入ってもらった場合、製品の買い替えやプレゼントのときなど、自分が好きなブランドを選ぶことが多くなるので、お客様のリピート購入が期待できます。
例えば、下記のようにブランドに安心感を持っていただければ、リピート購入者がどんどん増えていきます。
今治のタオル:使ってみたがやっぱり高品質の今治のタオルは違う。家のタオルをすべて今治のタオルに変えてしまおう。
ブランディングにより自社の立ち位置を明確にする
企業のブランディングは、自社の立ち位置を明確にできます。またブランディングに合うように経営の方針を決めることができます。
例えば、
「将来、品質を重視し、お客様の課題を解決できる企業にしたい」
と決めた場合、短期、中期、長期の目標が決まり、社員とも共有しやすくなります。さらに、現在そういったブランドの企業があれば直接話しを聞きに行くことも可能です。企業ブランドが確立されていれば、採用活動、取引先へのイメージアップなどあらゆる経営活動に良い効果が期待できます。
ブランディングに成功し、企業方針を大きく変えた事例
ブランディングに成功した製造業の事例を紹介します。
共栄精機
引用:株式会社共栄精機
共栄精機は「金属加工のコンビニエンスストアを目指して」を合言葉に、精密板金加工や機械加工といった金属加工を行っている会社です。お客様の要望に素早く答えるために、見積りのプロセスを変更しました。
従来は、外注する製品の見積もりは外注先に依頼していましたが、他社の見積もりも自社で行えるようにしました。その結果、早く加工対応できるようになり、競争相手が少なく、高単価で受注できるようになりました。
富士産業
引用:株式会社富士産業
富士産業は鋼材の加工、販売を行っています。SNSやWebマーケティングに力を入れて、ターゲットを一般消費者、デザイナーなどに変更しました。一般消費者からの小口、特急依頼にも対応する企業というブランディングを実施。一般消費者は必ずしも図面、仕様が固まっているわけではありません。また、金属部品単品を依頼するだけでなく、革との組み合わせなど複合品もあります。
そこで、自社だけで完結する金属加工業のビジネスモデルから異業種の協力会社と共同で製品を製作するモデルに変更しました。一般消費者からの問い合わせが増え、受注も増えています。
ソーケン
引用:株式会社ソーケン
ソーケンは微細・複雑形状の樹脂切削加工を得意とする会社です。他社と差別化するために、微細加工に特化した技術力の高い加工ができる点を打ち出してブランディングしました。その結果、Webマーケティングを活用して認知されるようになり、受注率が上がりました。
製造業のブランディング
最終製品を提供しているメーカーとは違い、製造業のブランディングは非常に難しくなると思われがちです。ただ、これまで製造業を続けているところであればすでにブランドはできているはずですので、それを言語化できれば自ずと問題は解決するでしょう。
ブランドは「お客様のイメージ」です。自社では気づかない技術がすでにブランドとして確立している場合は非常に多いです。
その時は、既存のお客様に下記のような質問をしても良いかもしれません。
- 「弊社の良さってどこにありますか?」
- 「なぜ弊社にお仕事を頼んでいただけるのでしょうか?」
製造業に詳しい人に相談してみることも大切です。人に聞くことで自社で見えないものが見えてきます。ブランドが決まれば、次はどのようにブランディングするかを考える必要があります。例えば、インターネットを使った広告やホームページ、製品を使っての営業、クチコミなど、ブランディングの手法はさまざまです。
ブランドを確立するためにはある程度費用はかかりますが、ブランドのメリットを考えればブランディングをしていく価値は十分あります。
まとめ
ブランドが決まればすべての行動に意味が出てきます。これは製品でも企業でも同じです。ただ単にブランドを作ることを目標とせず、ブランドを構築する過程であるブランディングを重視することがこれから大切になってきます。
ものづくり経革広場では、製造業のブランディングのお手伝いもしています。
もしブランディングについてお困りでしたらお気軽にご相談ください。