オランダ繊維系企業が顧客に「米軍」を選んだ話

このブログは「日本で生産(つく)って海外に販売(うる)!」を目指して、実践と情報を発信することで、国内で「ものづくり」を続ける中小製造業の海外販路開拓を応援します!

こんにちは、株式会社日本クロス圧延の岡です。

弊社は小規模な金属材料のメーカーです。国内での流通量が減少する中、海外に材料を販売しようと考え、自社製品を「R&D Materials」というブランディングをし、そして実際に海外にプロモーションしながら経験したノウハウやダメだったことなどを発信していきます。

特に本章では「加工技術」を売り込むには?というテーマでコラムを書かせていただいています。

 今回は雑談です!

海外も面白い技術がたくさんあるのです。

先日オランダの繊維メーカーで、カーボンナノチューブを繊維にコーティングする技術を持ったメーカーの方と飲みながら話をしました、とても面白かったのでちょっとご紹介しますね。

そのカーボンナノチューブは表面が超微細なトゲトゲ状になっていて、ウイルスとか細菌が付着すると、その棘で細菌を突き刺して殺してしまうとのこと...お酒の勢いもあって、思わず嘘だー(笑)と笑ってしまいましたが、相手がムキになっていろいろ説明してくれましたので、とりあえず仕組みはわかりました。

いくらなんでも細菌が棘には刺さって、死んじゃうなんて漫画の世界です(笑)

実際はウイルスや細菌は負極に帯電していて、それに対してこのカーボンナノチューブ繊維は正極に帯電する性質があるので、細菌が磁石のように棘に向かって引っ張られていって、最後にグサッとささり、最近の核に棘の先端が触れるとDNA情報を消去してしまうので活動を停止してしまう、いわゆる死んでしまうとのこと。

だけどノロウイルスは殺せないとのこと、なぜかというとノロウイルスには「核」がないので、針が刺さっても平気なのです。そういえばノロウイルスに感染しても薬くれないよね、薬でも死なないから、たくさん水を飲んで体外に出すしか方法がないと言われ、へーってなりました。

そんな話しながら「じゃあ、院内感染の予防用に病服とかに使用したら面白いね」といったら、みんなそう考えるよ!だけどコストが高いから採用されないのが現実とのことです。

高いんだったら高くても売れる業界に

現在は殺菌といえば過酸化水素水など漂白剤といわれるものが主流ですが、これは全く薬品を使わないので「無害」な製品なのです、だから院内で使用したいけど高いから売れない...で考えた結果「米軍に売っちゃおう(笑)」となったのです。

なんだか海外の人の発想って、保守的な日本人と違ってぶっ飛んでるよね(笑)

防弾ベストなどに使用するケブラー繊維にカーボンナノチューブをコーティングした繊維を編み上げて、ケブラー製のシーツを開発しました。

販促にあたってオランダといえば「蘭学」の元祖で西洋医学の権威がうじゃうじゃいるらしく、事前に権威のある教授のゼミにお金を出して殺菌効果を検証し、教授のお墨付きをもってプロモーションした結果、ついに米軍に正式採用されました。

戦場の過酷な環境下で負傷した兵士を、このシーツに包めば殺菌効果で感染症を防げ、緊急移動するときにはシーツに包んだまま、ずるずる引っ張って移動してもケブラー繊維なので数kmアスファルトに引きずっても破れないという、ミリタリーな製品になりました。

さいごに

今回は雑談でしたが、面白いなあと思ったのが、製品化において売り先を想定して製品開発することは当たり前ですが、その想定する顧客に「米軍」とかハードルが高いところを攻め込んでいくなんてロマンがあるよね。

米軍とかNASAで採用されてから民生用に落としこんでいく手法は昔からあったのですが、実際に話を聞くと採用までの緻密なプランや努力があって、やっと採用されるわけで、その工程はドラマを見るより面白いですね。

 

日本の中小製造業の海外販路開拓に少しでもお役に立てればと思いブログを書かせていただきました。何かの参考になれば幸いです。

次回もまたよろしくお願いいたします。

この記事の執筆者
岡 正俊

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